2009年1月29日木曜日

バーレーン戦の敗戦を受けて、日本代表の課題点

AFC Asian Cup 2011 Qatar Qualifying Stage Group A Matchday 2 Bahrain 1-0 Japan @ Bahrain National Stadium
Bahrain:Salman Isa 24

バーレーン戦後 岡田監督会見
AFCアジアカップ2011カタール予選
(スポーツナビ)

前半、なかなかボールを引き出すことができず、選手間の距離が近くてボールが回らなくて、どうしても一発裏狙いという形が多かったです。しかし後半になって選手間の引き出し(の動き)も早くなって、後半の途中からようやく流れが出始めたんですが、最後のところでの工夫がいまひとつ足りなかった。

それと中盤でミスパスが多くて、どうしてもそこからカウンターを受けるという形がありました。後半は(ミスを)抑えていましたが、あれだけミスが出るとなかなか最後までいかない。しかし後半途中からの流れ、われわれがやらねばならないことは明確になったし、今度の(ワールドカップ=W杯予選の)オーストラリア戦に向けて教訓になることもあったと思っています。今日の負けは残念で悔しいですが、これを生かしていかないといけない。


プレスをかけられると弱いという弱点を露呈したことに対して、岡田も記者も触れなかった。一番の弱点について触れてしまうと、日本代表神話が崩れてしまうとでもいうように。

バーレーンは前半から積極的にプレスをかけ、日本ボールを奪い、縦への突破でチャンスを作った。

そして後半は攻撃を執拗にディレイさせ、日本の態勢が整ったときにはもうスペースがないという状況になっていた。巧遅の攻めは悪くはないが、もっと速い攻めも必要だったのではないか。あるいは岡田のサッカーではこのレベルが限界なのではないかということを見せつけられたゲームだった。

敗戦の地から持ち帰るもの (1/2)
アジアカップ予選 バーレーン代表 1-0 日本代表
(スポーツナビ)

一方で、この試合については(当初から分かっていたとはいえ)コンビネーションに課題が残ったのも事実。来月の11日にはW杯最終予選の大一番、対オーストラリア戦が控えていることを考えると、このアジアカップ予選2試合でチームとしての完成度を高めておく必要がある。とりわけ、この試合でキャプテンマークを巻いた中村憲剛1人に負担を強いることとなった中盤については、「合宿している中で、どうしてもそこのポジションがちょっと物足りなかった」(岡田監督)。そこで、欧州組からは本田圭佑と稲本潤一、そして国内組からはキャンプ参加が免除されていた遠藤保仁が、新たに招集された。

しかし、欧州組は今がシーズン中だからいいとして(稲本がプレーするドイツはウインターブレーク期間中だが)、遠藤の招集はあまりにも時期尚早な判断であったと言わざるを得ない。昨年のJリーグ閉幕後も、クラブW杯や天皇杯でフル稼働していた遠藤には、今しばらくの休養が必要であった。結局、わざわざバーレーンまで連れてきたものの「ちょっと今のペースでは厳しいかもしれない」(岡田監督)ということで、さんざん引っ張られた挙げ句、遠藤はベンチ外となった。そのため、前への推進力が持ち味の稲本は、中村憲の隣で「遠藤のような役回り」を期待されることとなったのである。

今にして思えば、遠藤の復帰にこだわり、それが無理と分かると個性を度外視した役割を稲本に強いる――そうした行き当たりばったりの選手起用が、中盤のバランス崩壊につながったように思えてならない。もっともこの“ミスキャスト”は、遠藤のコンディションを綿密にリサーチさえしていれば、十分に回避できるリスクであった。結果、遠藤は休む機会を奪われ、稲本は本来のパフォーマンスを発揮できず、中村憲は1人でさばき役に徹しなければならない状況に追い込まれてしまったのである。


遠藤が万全な調子なら違っていたかもしれない。

たしかに運動量がない稲本に中盤のバランサーを任せるのは無理だった。というよりも、怪我で遠藤、川口、水本が離脱。青木、今野、安田もベンチから外れたが、遠藤の代わりはいなかった。

それなら遠藤がいないプランBをたてておくべきだったのではないか。中村憲剛と谷口を並べて中盤の運動量を高めるとか。あるいは中村憲剛のために青木か今野を入れて守備の安定をはかるとか。

同じ戦法だけで戦うのは無理がある。

(1)DFがスピードに対応できていない

前半24分の失点は、局面だけ見ればセットプレーによる失点である。だが、序盤からバーレーンは縦方向への素早い攻撃で相手ゴールに殺到し、受け身に回った日本は防戦一方となっていた。いったんボールを押し戻しても、すぐさまインターセプトされてピンチの状態に逆戻り。前半の失点は、時間の問題だったように思う。

確かに、中盤でのボールの取られ方の悪さは気になった。だが、それ以上に不安に思えたのが、加速して突っかかる相手に対し、センターバックの2人が追い切れていなかったという事実である。中澤佑二にしても寺田周平にしても、高さと強さには定評があるものの、スピードで揺さぶられると予想外の脆さを露呈してしまう。これは今後の大一番に向けて、決して小さくない不安材料である。

(2)中盤でタメが作れない

「もう少しタメができればいいけれど、急ぎすぎてカウンターでやられていた」と長友佑都。一方の内田篤人も「もう少し中盤でタメを作るというか、キープできる人(が必要)かな」。ミックスゾーンの別の場所で、両サイドバックが「タメができる人」の必要性について言及していたのは、何とも暗示的である。

中盤でボールをキープし、タメを作ることで両サイドが積極的に飛び出していくという「日本らしさ」が感じられるシーンが、この試合ではほとんど見られなかった。結局、今回の中盤の構成で、そうした働きが期待できたのは中村憲のみ。稲本も本田も、時おりサポートに回る動きは見せていたが、それが効果的だったとは言い難く、各人の役割も最後まであいまいなままであった。

(3)リードされた時のオプションがない

結局、アピールできずに消えてしまった本田に代えて、ベンチは後半18分に香川真司を投入。さらに13分後には、守備に忙殺されていた岡崎慎司を下げて興梠慎三が起用される。しかし、岡田監督が切ったカードは、いずれもゲームに劇的な変化をもたらすことはなかった。香川にしても興梠にしても、いわゆる「コンセプト」を重視しての起用であろう。だが、リードされた場面でのオプションとしては、まだまだ経験不足の感は否めない。終了間際には、パワープレーを期待したのか巻誠一郎が送り出されるが、時すでに遅し。1点のビハインドをはね返すことができず、日本は昨年3月に続いて、またしても敵地でバーレーンに屈することとなった。


中盤で簡単にボールを奪われるしーんが目立ち、そこからショートカウンターを浴びることも多かった。そして、攻撃はサイドをていねいにつくことが最後まで出来ず、1対1でもボールを奪われ、ロングボールを前線に放り込むだけという単純な攻撃になったことは残念。

を投入したものの、前線でためを作ることができず、シュートも精度を欠いた。3枚の攻撃も同じ役割を求めたもので、より高いレベルのものではなかったのは確か。攻撃に変化をつけるものではなかった。

岡田監督は「誰が入っても組織として機能するコンセプト」を掲げている。だがそれは、選手の個性を度外視し、場合によっては削ぎ落とすリスクさえもはらんでいる。今回スタメンで起用された2人の欧州組が、いずれも本来のパフォーマンスを発揮できなかったのも、その理由の一端は過度のコンセプト遵守にあったのではないか。勝利のためのコンセプトが、かえってチームや選手のポテンシャルに縛りを加えていたとすれば、早急の修正が必要であることは言うまでもない。


誰が入っても同じというのは大事だが、選手を交代させると劇的に変化するということも重要なのではないか。クラッシャーとも言われる岡田だけに、選手が壊れることが不安にもつながるだろう。しかし、リードされた場合にはどうしても取り戻さなければならない。それができないのでは、監督としての仕事が出来ているとは言えないだろう。

取り戻すというのは姿勢のことだ。一方的に攻め続けて入らなかったのなら仕方がないともいえるが、攻撃はワンパターンのボール回しを続けるだけで決定機を作ることもできなかった。

そこに問題があるのではないだろうか。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

ご無沙汰しております。
うわべだけを取り繕って芯のところがキチンと出来ていない、岡田ジャパンについてはそんな印象を持ってしまいます。さらに言うと、オシム時代にせっかく出来かかった芯を壊してしまった様な‥。
「技術が無ければこのサッカーは難しい‥。」など、コメントも思わず「えっ?オイオイ、知っているとは思うけど、あんたが監督をやっているチームはまだ世界基準に届かない日本人のチームなのだよ?」とツッコミを入れたくなるような、自己弁護にしても何とも妙なコメントが増えてきたような気がします。
ワールドカップ予選は突破するでしょうが、また本戦で惨敗ですかね。

kiri220 さんのコメント...

>urimasaさん

お久しぶりです。

オシム時代にはダイナミズムが出てきていてこれからさらに上積みがあると思っていたのですが。

岡田になってからこれが完成形なのかというレベルで、期待ができなくなりましたね。

日本はヨーロッパの予選に組み込まれれば3位になれるかなれないかくらいのレベルで、首位に与えられる自動出場権も2位に与えられるプレイオフの権利もとれないと思います。
下手したら6位か7位かもしれないですし。

そういうことは理解できていないのでしょう。

オーストラリアに勝つということもなんとかなるくらいに考えているのかなあと思ってしまいます。

本戦ではさらに厳しくなるでしょうね。
可能性があるとしたら南アフリカがシードのホスト枠に入るくらいでしょうか。