2009年1月21日水曜日

イエメン戦の苦戦は岡田の選手起用にあり

AFC Asian Cup 2011 Qatar Qualifying Stage Group A Matchday 1 Japan 2-1 Yemen @ Kumamoto Prefectural Athletic Park
Japan:Okazaki 7,Tatsuya Tanaka 65
Yemen:Farid 47

イエメン戦後 岡田監督会見 (1/2)
AFCアジアカップ2011カタール予選
(スポーツナビ)

選手は、試合前から非常にやる気に満ちていて、モチベーションも高くて、今日はかなりハードワークしてくれると思っていました。確かにハードワークしてくれたしやる気もあったんですが、立ち上がりで簡単に点が取れて、相手がダブルリベロみたいな感じでディフェンスを固めてきました。中盤で(味方の)サイドバックがフリーになって、簡単にできるように思えてきて、だんだん一発狙いや強引な突破が増えてきました。それとともにやる気が裏目に出て、中盤からものすごくスピードアップしてミスが出る、または、そのスピードのままでいくので、最後に詰まってしまうというような形が出てしまいました。

後半、立ち上がりに1点取られて、正直あまり策を打ちたくなかったんですが、ちょっと(選手が)自分たちだけで解決できそうになかったので、システムを変えて中盤を厚くする形にして、だいぶ流れは出てきました。しかし相手も国を代表しているチームなので、必死で守ってくるとなるとそう簡単にはいきません。「入った」と思ったシュートでもかき出される。これが国際試合の公式戦というものだと思います。

そういう意味で、経験の少ない選手たちがその厳しさを分かっただろうし、ボールを持ってから何かしようとしても遅いというのも分かったと思います。その上で、勝ち点3を取ってくれたということで、わたしとしては満足しています。まだまだやるべきことがあるのは当然分かっていますが、1月10日から、恐らくオフの間も練習して(合宿に)臨んでくれて、素晴らしいキャンプになりました。そして、そこで結果を出した選手たちには、本当に感謝しています。


コメントだけを見ると選手が若くて経験がないために上手く機能しなかったと読みとれるが、ハーフタイムを挟んだことが抜け落ちている。岡田はハーフタイムになんら手を打つことができなかった。

国際試合の公式戦の厳しさと言いながら、前半イエメンのシュートが0だったことで慢心したのは岡田だったのではないか。格下相手に決めきれないというみっともない試合をしておいて、勝ち点3がとれたということだけを喜んでいたのでは意味がない。

満足ではなく、シュートをきちんと枠に飛ばすということをはっきりと言わなければならない。オシムもボールを一個ずつ渡してシュート練習をさせるべきかということを言っていたはず。

イエメン相手に入ったと思うシュートが掻き出されるなら、ヨーロッパや南米の列強相手なら枠に飛ぶシュートも撃たしてもらえないだろう。そのことがわかっているのだろうか。

――前半は1点しか取れかなかったが、この流れをどう思ったか。それからハーフタイムに選手にハッパを掛けるようなことはあったか?

最初にも言いましたように、前半に関しては立ち上がりは結構良かったんですが、だんだん「行ける」という雰囲気になって、パスを探してから受ける、受けてから動き出す、または一発狙い(のプレーが多くなった)。それに加えて、中盤から非常にスピードアップして、スピードアップすれば当然ミスが出るし、最後のところでスピードアップする効果がなくなる。

ハーフタイムでは、中盤でもう少し早くサポートして、シンプルに(ボールを)動かすようにと。相手は2枚(守備で)余っているのだから、ごり押ししても(突破は)難しい。サイドを変えて、そこで爆発的なスピードアップをしようというような指示は出しました。彼らは戦う気持ちはありましたし、非常に頑張っていたので、ハッパを掛けるということはなかったです。


岡田は代表合宿で特になにかを教えたりはしていないという。それでも怪我人があれだけ出るのは、選手が悪いということなのだろうか。どうしても管理が悪いとしか思えないのだが。

ハーフタイムの指示についてはサイドを変えてスピードアップということだったが、サイドチェンジは各駅停車が多くて、効果的ではなかった。ダイレクトに右サイドから左サイドに振ってということはほとんどできなかった。世界の潮流がオーバーロードからのサイドチェンジというのに、代表の選手でもサイドからサイドへのダイレクトのチェンジパスができない。それは問題ではないのか。

そういうことがつっこめないマスコミもひどいのだが。

いずれにしても、プレスをかけられても苦戦する、引かれても苦戦するというのでは、代表は勝つ相手が限られてくる。プレスが弱くてどんどん前に出てくる相手というのは世界の列強ではまったくいないだろう。W杯でベスト4というのは戯言としかいいようがない。

試合後 イエメン代表アルナシュ監督会見
AFCアジアカップ2011カタール予選
(スポーツナビ)

とてもいい試合だった。テンポが早く、選手全員が自分のやるべきことをやっていた。両チームがまじめに最後まで粘り強くサッカーをして、最後まで集中していたので、引き分けに終わると思ったが、結局われわれが敗れてしまった。日本はとても強いので、当然の結果だったと思う。ただ、われわれは日本に1週間もいないし、コンディションもよくなく、練習期間も長くなかった。それでも面白い試合になった。日本のファンも楽しんだのではないか。


岡田に対してブーイングは出なかったのだろうか。試合中は少なくとも出なかった。ヨーロッパなら解任騒動になっていてもおかしくない。アジアカップ予選というコンペティションで、W杯アジア最終予選のライバルのサウジアラビアが6-0で勝った相手に苦戦したのだ。どういうことだとしか言えない。しかも、イエメンは疲労困憊でコンディション不良だった。

シュート1本の相手に負けるというのはよくあることだが、シュート25本撃って2点しかとれなかったことを大いに反省すべきだろう。本来なら3-0で勝ってもおかしくない試合なのだ。あるいはもっと大差でも。

「若さ」の裏側で (1/2)
アジアカップ予選 日本代表 2-1 イエメン代表
(スポーツナビ)

ボール支配率は75%と25%、シュート数は27本と1本。それでもスコアは2-1――ある意味、実に「サッカー的」なゲームであった。もちろん、内容的には決してほめられたものではない。「ホームで」「格下相手に」「あんなに押していながら」などなど、批判のネタにも事欠かない。しかしながら、このゲームを評価するには、いくつかのエクスキューズは差し引いて考える必要がある。

前述のとおり、今はオフシーズンであり、いくらキャンプでトレーニングを重ねたところで、自ずとコンディショニングには限界がある。また、スタメンの大半は経験の少ない選手ばかりで、はやる気持ちをコントロールできず、人数をかけて守りを固める中東勢との戦いにも慣れていなかった。ゆえに「勝ち点3を取ってくれて満足している」という岡田監督のコメントは、かなり本音に近いものであったと思う。

あらためて、今回のイエメン戦のミッションを整理してみよう。(1)主力選手を休ませること、(2)新たな戦力をできるだけ多くテストすること、(3)オーストラリア戦に向けてチーム状態を上げていくこと、そして(4)勝利すること。このうち、少なくとも(3)以外はすでに達成できたわけで、中期的な視点で見れば、スコア以上に実りのあるゲームだったと言えるのではないか。

その上で、この日チャンスを与えられた若い選手たちは、実戦で得た課題や教訓と真摯(しんし)に向き合い、今後のプレーに生かしていかなければならない。先輩格の巻も「こういう経験を、次にしっかり生かさないと意味がない」と実感をこめて語っている。

良くも悪くも「若さ」が前景化していた、今回のイエメン戦。とはいえ、この試合のテーマは決して「若さ」だけではなかったと、個人的には思っている。

例えば、巻や中村憲といった「ベテラン」とは言い難い選手たちが(たまたま、そういう役回りになったとはいえ)、その発言やプレーの端々にリーダーとしての自覚を漂わせていたのは、うれしい発見であった。巻はクラブで、中村憲は代表で、いずれもイビチャ・オシムに見出された選手。残念ながらオシムは、協会とのアドバイザリー契約が切れて日本を離れたが、前代表監督の意思は確実に今の代表に受け継がれている。


問題点は若さではない。ヨーロッパではもっと若い選手がU-19,U=21といった国際大会で経験を積んでいる。飛び級も多く、この年代でクラブのレギュラーという選手も少なくない。

岡田基準にあわせれば、イタリア代表のキエッリーニはCBとしては若すぎるだろうし、アルゼンチン代表アグエロメッシもBチームとなる。年齢だけで判断すると選手のポテンシャルを見誤る。

本田圭佑が招集されるようだが、彼も結果を残せなければ呼ばれないことになるだろう。日本人でヨーロッパのビッグクラブでプレーする選手は多くない。今季はチャンピオンズリーグのノックアウトラウンドでプレーする日本人は0だ。

経験という話をしていては、いつまで経っても日本代表は前に進めないだろう。監督自身が経験を積む場を摘み取っているのだから。それを指摘する人間が出てこないかぎり、未来はないだろう。

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