2009年6月1日月曜日

日本代表の圧勝はドイツでの失望の繰り返しに向かう序曲か!!

Friendly Match Kirin Cup Soccer 2009 Matchday 3 Japan 4-0 Belgium @ National Stadium
Japan:Nagatomo 21,Kengo Nakamura 23,Okazaki 60,Yano 77

ベルギー戦後 岡田監督会見 (1/2)
キリンカップサッカー2009
(スポーツナビ)

前半20分くらいまでは非常にいいリズムだったんですが、そのあと徐々にペースダウンしたというか、8割くらいの力でいいだろうというような……。パスを出しっ放しになったり、ボール際を詰めに行かなかったり、ロングボールに対してストッパーが競らないで中盤に任せてしまうというようなプレーが多々見られるようになりました。ハーフタイムに「何のためにこの試合をやっているんだ。ウズベキスタンに勝つためにやっているんだ。もう一度、考え直してほしい」と言いました。

後半に関しては、アグレッシブなサッカーをやってくれたと思います。非常にいい形からの得点も生まれ、失点もなく済んだということで、試合に関しては満足しています。ただ、この2試合、得点を取って失点ゼロという結果は出ていますが、それがウズベキスタン戦では何も保証してくれるものではない。ここでまた、気持ちを新たにして、いよいよウズベキスタンとの試合。明日の夜、集合して、向こうに乗り込んで、何としても勝って帰ってきたいと思います。


ベルギーは代表キャップ0の選手が9人。北京五輪で活躍した選手が多かったとはいえ、ヨーロッパでは中堅国のさらにバックアップメンバーといえるチームだった。

その相手に自由にサッカーができたこと、簡単にゴールが決まったことで選手は勘違いしたのではないか。南米のレベルでも、ヨーロッパのレベルでも対等以上に戦えると。

今回、日本サッカー協会はチリとベルギーの来日メンバーのキャップ数を載せなかった。載せてしまうと若手中心でレギュラーメンバーでないことは一目瞭然になるからなのか、それとも、別の意図があったのかわからないが、英語版のWikipediaを見れば、すぐにわかる事実を隠したわけだ。

しかし、チリもベルギーも若手中心ということを岡田監督も選手も知らなかったとは思えない。今回岡田さんが檄を飛ばした理由は、相手が若手だからと言って手を抜くなという意味ならよくわかる。しかし、メディアに対してそのことを一言もコメントしなかったことで、W杯ドイツ大会に向かってファンが騙されていった過程を同じように辿っているようにも見える。

ジーコ解任の騒動が起こった直後に中国で行われたアジアカップ優勝があり、内容はひどかったにも関わらず、メディアはジーコを絶賛、ファンも日本代表は強いと勘違いし、ドイツで失望のどん底に突き落とされた。インターネットの相談サイトで「ドイツで日本は決勝トーナメントに行けますか」という質問がいくつも立てられ、「オーストラリアには楽勝、クロアチアに引き分けで、勝ち点4で通過」という意見を自称コアなサッカーファンや指導者ライセンスを持っている人間が自信満々で答えていた。オーストラリアはヨーロッパでプレーする選手が多く、簡単には勝てない。クロアチア、ブラジルを相手に勝ち点を稼ぐのも難しいという意見はすべて黙殺された。結果的には苦戦論のほうが正しかったわけだが、その意見を拾いあげて反省するわけでもなく、また同じことが繰り返されようとしている。

W杯アジア最終予選でコンディションで絶対的な有利な状況で、ホームのオーストラリア戦にゴールレスドロー。あまりにもひどい試合をしながら負けなかったという一点だけで評価をうけ、今回のキリンカップでファンは日本は強いと勘違いした。岡田就任時には支持率は低かったのだが、本当に強い相手とやっていない日本は負けないことで支持率を伸ばすことに成功したのだ。

トルシエがサンドニ(Stade de France)フランスとやって日本の本当の実力を知らしめたようなショック療法が必要なのではないか。

岡田が今回ガツンとやったとしても、本大会出場が決まれば、メディアはベスト4と煽り、そして選手は勘違いし、ファンは騙されるのだ。

――この2試合、中村憲をトップ下で起用したが、その狙いと成果は?

狙いというか2トップを組める万全のメンツがいなかったこと、そしてもし大久保を前に持ってきて2トップを組ませると、左のMFが手薄になるということで、ここ2試合はこういう形で戦いました。ウズベキスタン戦に関しては、松井も合流しますし、どういう形で行くかはまだ決まっていません。憲剛に関しては、チリ戦の後にも言いましたが、僕は彼の点に絡む才能というものを非常に感じていますので、あのポジションがいいだろうと。あの形でいくときに憲剛ははまると。それ以外のときには、また別かもしれない。そこはウズベキスタンと戦う前に、選手のコンディション、連係を見て考えたいと思います。

――中村憲を起用するときは4-2-1-3だと。4-2-3-1の田中達也とは役割が違うと言っていたが、そこを具体的に教えてほしい

まあ、大して変わらないんですけど(笑)。憲剛は、遠藤、長谷部、(中村)俊輔があそこで絡めばプラスになるんですが、真ん中で距離的に近いところにいると、ある程度ボールが回ると。憲剛にはそこだけではなくて、トップが下がったり、トップがサイドに流れたりしたスペースに出ていくようにと要求しています。達也を使うときは、ほとんど2トップでやっているんですが、FWとして前線での早い動き出し、裏へ狙っていく動きを求めています。これはシステムに求めているのではなくて、逆に彼らの特長にこちらが合わせているという感じだと思います。


田中達也を使っているときは2トップだったのか。玉田も中盤まで下がってくることが多いし、パスを回すためだけに入れているのかと思っていた。

中村憲剛がいて、パスが回るというのはいいことではない。パスが回らないよりはいいことだが、サッカーはゴールを決めなければ勝てない競技だ。パス回しの妙技を競う競技なら、遠藤、長谷部中村俊輔に中村憲剛をミックスして試合に出せばいいが、そういう競技ではない以上、フィニッシャーはどうしても必要となる。システム論よりも中村憲剛がフィニッシュ能力が高いということをもっと強調すべきだった。

――さきほど(ベルギー代表の)ベルコーテレン監督が、日本が2010年ワールドカップ(W杯)でベスト4を目指すことについて「言うは易し」ということを言っていたが、監督はベスト4を目指す上でどういったキーワードが大事と思っているか

簡単です。本気で目指す。信じて目指す。そうすれば、何をやらなければならないかというのが、当然のごとく、分かってくるはずです。1人1人もそうだし、チームとしても分かっているはずです。そんなに生易しいものではないということも、みんな知っています。だから本気でやるかどうか。今日でみんな一度解散しますけど、酒をかっくらっているようでは、ベスト4には入れないことはみんな分かっているはずです。本気で目指すかどうか、それだけだと思います。


本気で目指すという言葉では何も伝わってこない。キリンカップですら相手はベストメンバーではなかったのだ。国際試合でも列強と試合を組んでもらえない。オランダ戦もがちがちのベストメンバーとは限らない。ベスト4となるとヨーロッパの列強かブラジル、アルゼンチンを破るアップセットが必要なわけで、厳しい条件で試合をやったことがない日本には圧倒的に経験がかけている。

メディア受けが悪かったトルシエはヨーロッパ遠征もしたし、コパ・アメリカにも出場した。オシムはチームの骨格を作るときにヨーロッパでEURO 2008のホスト国であるオーストリアスイスと試合をした。本気の相手と試合をしたわけだ。

本戦直前に調整のために試合をしたのでは本気度はわからない。いざ、本番になって戸惑っていたのでは何もできない。

岡田監督4発快勝も怠慢プレーにキレた…キリン杯(スポーツ報知)

「W杯ベスト4は生易しいことではない。そのためには、本気で目指す、信じて目指すことだ。きょう一度、チームは解散するが、酒をかっくらっているようでは本気ではない」と会見を締めくくった。しかし、ある若手選手は「きょうは飲みに行きますよ」と明るく話した…。4大会連続のW杯出場は目の前だが、W杯本戦ベスト4へ道のりは、はるか遠く、険しい。


岡田さんが言っていることの逆を若手選手はやっている。これでは独り相撲と言われても仕方がない。

試合後 ベルギー代表ベルコーテレン監督会見
キリンカップサッカー2009
(スポーツナビ)

――今回はベルギーのトップ2チーム、アンデルレヒトとリエージュの選手が来ていなかった。もし彼らが合流していたら結果は変わっていたか?

今、名前が挙がった2チームから9人の選手が来ていない。そのほかにもフランス、イタリア、ドイツなどのリーグ戦で忙しい選手がいて、15人ほどの選手をそろえることができなかった。ベルギーは1000万人の小さな国で、これだけの優秀な選手が欠けるというのは非常に厳しい。


わかっているならなぜ報道しなかったのだろう。ベストメンバーじゃないことは、サッカーに詳しいファンならすぐにわかったはずだ。しかし、そういうことは大きな問題にならなかった。TBSはチリをW杯南米予選3位としか言わず、2軍であることを隠し続けたし、日本テレビもベルギーは北京五輪4位ということだけを強調した。

日本代表ビジネスのためにファンを騙したのだとしたら、そうとうに悪質だ。

都合が悪いことを報道しない自由があるとはいえ、その部分を指摘する声はあまりにも小さい。これからも反省することはないだろう。W杯ドイツ大会の失望はアジア最終予選で埋められると考えているかぎり、メディアが変わることはないだろう。だから、世界最速というまったく意味がないことで盛り上がることができるのだ。世界最速だからといってシードをもらえるわけではない。

主演・中村憲剛、客演・中村俊輔 (1/2)
キリンカップ2009 日本代表 4-0 ベルギー代表
(スポーツナビ)

「サッカーは常に進化して変化している。5年前、10年前と今のチームを比べることはできない。チームもサッカーも、そして選手も常に前に進み、より良い選手になるために努力しているので、世代の違うチームを比べるのは不可能だ」

30日の前日会見、ベルギー代表のベルコーテレン監督はこのように語っている。この時の質問内容は「2002年当時の日本代表と現在のチームを比べて、どのように変わっていると思うか?」というものであった。

ベルギーといえば、2002年ワールドカップ(W杯)での日本の初戦の相手であり、この試合は日本が本大会で初めて勝ち点をもぎ取ったメモリアルゲームでもあった。7年ぶりの対戦ゆえに、懐かしさも手伝って「あの時から成長した日本」という言葉を引き出したくなる感覚も分からないでもない。とはいえ、フットボールの世界での「7年前」は、そうとうに大昔であるのも事実だ。それは、あの試合でゴールを挙げ、日本中を沸騰させた鈴木隆行や稲本潤一の姿を、今の代表に見いだすことができないことからも明らかだ。ちなみに日韓大会の登録メンバー23名のうち、今回招集されているのはGK楢崎正剛のみ。今さらながらに隔世の感を覚えずにはいられない。


やはり日本のメディアはバカなのかという質問。ベルコーテレン監督代行がリップサービスで、「日本は進化している」と言えば満足だったのだろう。しかし、世界のサッカーはそんなに甘くない。7年も前になる過去の対戦からは、ほとんど得るものはない。タクティクスはかなり進化したし、世代も交代しているのだから。

あらためて、今回のキリンカップの収穫を3点、挙げておきたい。

収穫その1は、岡崎のゴール感覚。昨年10月9日のUAE戦で、背番号24を付けてA代表デビューを果たした岡崎も、今ではすっかり背番号9が似合うストライカーに成長した。今年に入ってからは、7試合で6得点をたたき出し、日本の課題だった決定力不足は払しょくされつつある。チャンスと見れば、ニアに身を投げ打ってネットを揺らす泥臭いプレースタイルは、良くも悪くもきれいなサッカーに慣らされてきたわれわれに、新鮮な驚きと感動を与えてくれる。最終予選も大詰めに入り、われわれはようやく、魂を熱くさせてくれるストライカーを獲得した。この事実は、大きい。

収穫その2は、本田がチームにフィットしたこと。1月28日のバーレーン戦(アジアカップ予選)では、周囲に合わせることばかりに腐心して、まったく存在感を示すことができなかった本田だが、この2試合は右MFのポジションで鮮烈なアピールに成功した。正確なパスと広い視野、そして遠めからでもゴールを狙うアグレッシブな姿勢。加えてこの試合では、遠藤と中村憲がベンチに退いてからは見事な「王様ぶり」を発揮して、セットプレーでブレ球も披露している。プレーだけではない。試合後、中村俊とのポジション争いについて聞かれると「その方が面白いでしょ。そんな簡単にレギュラーを取ってもね」と、しれっと答える。去年の北京五輪では、ビッグマウスが空回りしていた観もあったが、今はプレーとキャラクター、両面でチームに程よい刺激を与えている。今の本田なら、(キャラは違うが)若き日の中田英寿のような役回りを期待できるかもしれない。

そして収穫その3は、本稿のメーンテーマである「憲剛システム」であり、攻撃の「主演」としての中村憲である。岡田監督は、背番号14のトップ下起用について「2トップを組める万全のメンツがいなかった」ことを理由に挙げている。だが、たとえ消極的な理由であっても、これだけ結果を出したとなると、実のところ「憲剛システム」はオプション以上の価値を持つ、と考えをあらためても良いように思う。むしろ中村憲を「主演」に据え、これまで多くの負担を強いていた中村俊を「客演」に回すことで、かえって攻撃のバリエーションは広がるのではないか。今後の指揮官の判断に注目したい。


岡崎が点をとれるストライカーになったことは認めよう。それは収穫だった。彼はゴールに対してどん欲で、得点感覚が一気にブレイクした。問題はもっと高いレベル、ヨーロッパの列強や南米のベストメンバー相手に通じるかどうか。そこで通じるなら、ヨーロッパへの移籍は見えてくるだろう。

本田圭佑は右サイドというよりも、右サイドから中に入ることが多かった。スペースがかなりあったために自由に動き回れたのか、プレスがあまり効いていなかったために中でも自由にプレーできたのかは判断が難しい。もっと本番ではスペースは詰められる。そこで同じようにプレーできるなら収穫といえるだろう。彼はまだエールディビジでしか戦った経験しかない。今季の活躍もオランダ2部でのことだ。もっと高いレベルを経験しなければまだわからないとしか言いようがない。これから伸びるかもしれないが、今の時点では中村俊輔とは経験の部分でまだ見劣りがする。その中村でさえ、日本代表に戻るとサイドのプレーエリアを守るという基本を忘れてしまうのだ。

中村憲剛については中央突破の戦術にこだわるのなら、成功といえるだろう。しかし、それだけでは世界で勝てない。サイドからのアタックは長友、内田任せなら、彼らの裏側が弱点になる。そういうことを指摘できないところは弱点でもある。

日本代表はおそらく本大会には出場できるだろう。しかし、このままでは1勝もできないまま敗退したドイツの繰り返しだ。

日本はもっと本気の世界と戦わなければならない。コンフェデレーションズカップに出場できないのは痛いが、今のメンバーはアジアでも勝てなかったということも忘れてはならない。

4 件のコメント:

どらぐら さんのコメント...

さすがに選手は騙されていないと信じたいですし、
もちろん良識あるファンも騙されてはいないとは思いますが、
マスコミやそれを鵜呑みにしてしまったファンが間違った認識を持ってしまったら、
本当にドイツの二の舞になってしまいそうで怖いですね・・・。

ベスト4と言うのは簡単ですし、そうやって選手たちを奮起させることは間違いではないと思いますが、
問題はその目標に対して関係者がどれだけの努力をしているかですよね。
マッチメイクに関しては、監督の顔が広くないとなかなか難しいのかもしれませんが・・・。

そういう意味でも、コンフェデに出場できないのは痛いですね~。
まずはW杯出場を決めないと話になりませんが(苦笑)

匿名 さんのコメント...

すでに指揮官があのお題目を唱え続けることで、「ベスト4」を信じないと代表チームの一員になれないキモい雰囲気になりかけてると思いますよ。

kiri220 さんのコメント...

>どらぐらさん

ベスト4を目指すというならそれでいいのですが、そのためにどうすればいいのかというところが見えてこないのですね。

明確なサッカービジョンがないから、ベスト4はいいけど、どうやって勝ち進むのといった。

韓国のように疑惑のゴール取り消しという怪しい試合はできないでしょうし。

日本はヨーロッパの列強に比べて代表で一緒に練習する機会が多いから、戦術はきちんと植え付けられるのでしょうけど、その戦術が誰にも理解できないのでは意味がないですね。

W杯出場は間違いないとは思いますが、本戦になって間違いに気付くというのはやめてほしいですね。

ジーコのときはコンフェデレーションズカップ2回も戦って、わからなかったから本戦までわからないのは協会の体質かもしれませんけどね。

kiri220 さんのコメント...

>匿名さん

岡田監督というとベスト4しか出てこないですね。
それを受け入れないと代表になれないというのは、監督の趣味の問題だからいいのですが、できなかったときにはどう責任をとるのかも明らかにしてほしいものです。

グループリーグ敗退だとまたドイツの繰り返しになりますからね。