2009年6月18日木曜日

現実が見えない岡田と心中しかないのか

2010 FIFA World Cup South Africa Asian Qualification Round 4 Matchday 10 Australia 2-1 Japan @ Melbourne Cricket Ground
Australia:Cahill 59,76
Japan:Tulio Tanaka 40

オーストラリア戦後 岡田監督会見
2010FIFAワールドカップ・アジア最終予選
(スポーツナビ)

選手たちに関しては、チームとして非常によくまとまってやってくれたと思います。ただ、もう少しマイボールの時間を長くしないと、うちのサッカーをやるには厳しいと。ハーフタイムにも「サイドを変えて、下げてもいいからボールキープを長くするように」と言ったんですけど。なかなか中盤のところで縦に早かった場面が多くて、うまくいかなかったと。ただ、崩される場面はほとんどなくて、やっぱり(危険なのは)セットプレーの高さ。セットプレーを与える回数を少なくする、そのためにもマイボールの時間を長くしないといけないと思っています。とにかく、長い予選でしたけど、選手たちは厳しいスケジュールの中、本当に最後までよく頑張ってくれたと思います。


オーストラリアは世界の16強だ。そしてベストメンバーではない、彼らに対して十分な力を発揮できなかった。日本もベストではなかったとはいえ、サッカーのスタイルを貫けなかったということは、今の時点で世界に通用しないということではないか。セットプレーを与えないようにするのは常識だが、1回も与えないようにするのは難しい。セットプレーの守り方を徹底できなかった岡田に責任があるのではないか。

――この2試合、ポゼッションができない試合が続いていたが、今後「自分たちのサッカーができないと勝てない」というのでは本大会は苦しいのでは?

もちろんわれわれはもっと、いろんなメンバーの組み合わせなどで、十分ポゼッションできる、自分たちのリズムに持っていけると思っています。それとともに、より強い相手(との試合)になった場合、対応する策もやっていかないといけないことが出てくるだろうとは思っています。


岡田監督「豪州に勝てなければベスト4は無理だ」
日本代表 岡田武史監督インタビュー
(スポーツナビ)

――ホームのオーストラリア戦では相手が引き分け狙いで思い切り守備的でした。あれだけ守られると、FWにこじ開ける力はありませんね

僕は、そういう見方はしていないんですよ。逆に言うとオーストラリアがアジアであれだけボールを相手にキープされたことは初めてですよ。僕は「こういう相手にもあれだけ回すことができるんだ」と思った。それに、あれだけ守られると、世界中、どのチームも、簡単には点は取れません(笑)。でも引き分けに満足してはいけない。

何が勝つために必要なものだったのか。1つ見えたポイントは、ゴール前に入っていかなきゃいけないということです。「中盤で回すのに人数をかけているのでゴール前に入れません」では、彼らに勝てませんよ。彼らは、中盤で日本みたいにボールを回すならば、きっとゴール前には入れないでしょう。でも、われわれは回したところからまた入っていく、だから勝てるんです。「前線でプレッシャーをかけているからゴール前にいけません」。それじゃあ勝てないんです。前線の選手も守備に参加し、なおかつ、ゴール前でシュートを打てなきゃダメなんです。そういうことが徐々に見えてきているので、僕は、あのオーストラリア戦をネガティブにとらえていないんです。


コンディション不良のオーストラリア相手にボールを回すことができたが、今回はボールを効果的に回すことができなかった。回すために回すというのならできたのだが、アタックを仕掛けるところでは効果的なボールは入らなかった。

岡田がインタビューで答えていることとは180度違う現実。マスコミはここを突っ込むべきだったのだ。インタビューではオーストラリア相手にボールをキープすることができたと自画自賛していたが、今回は逆の結果になった。メンバーが揃っていないのは相手も同じこと。それをどう説明するのかと。

――オーストラリアのチームをどう思うか?(オーストラリア人記者)

おそらく今日のオーストラリアに関しては、日本もそうでしたが6人くらいベストメンバーが欠けていると思います。この試合で、どうこう言うつもりはないですが、平均的なレベルとして非常に高いチームだと思います。前回のワールドカップ・ドイツ大会で優勝したイタリアに延長で負けた、力を持ったチームだと思っています。


イタリアに負けたのは事実だが、延長ではない。アディショナルタイムにトッティのPKでイタリアが勝利した。岡田は自分が見た試合を記憶していないのだろうか。サッカーファンであれば、印象に残った試合はきちんと覚えているのが当たり前だろう。いや、イタリアとの試合はスカウティングの上で見なければならない試合だった。それを怠ったということか。

サッカーに対する情熱が足りないのではないのか。あるいはW杯ドイツ大会をしっかり見ていないのではないか。

――今日の試合で、日本は相手のペナルティーエリアまで攻められなかったが、選手の組み合わせで活路を見いだせるのか、それとも新たな手立てを考えるのか?

何も大きく変える必要もないし、この1試合で悲観することもないと思っています。松井のボレーや(矢野)貴章のボレー、たくさんではないがチャンスを作っていましたし、もう少し全体を押し上げてからの攻撃になっていれば、こぼれ球を拾ってまた攻撃するという展開に持っていければ、それほどすべてを変える必要はないと思います。


つまり、中央突破は捨てないと。どれだけサッカーの能力値が低いのだろう。通用しなければ、攻め方を考えるものだが、それができない監督に率いられるということは不幸でしかない。

予選は通過した。どうして、本戦は違う監督にしないのだろう。

試合後 オーストラリア代表ピム監督会見
2010FIFAワールドカップ・アジア最終予選
(スポーツナビ)

――最終予選をグループ1位で終わったことは、オーストラリアにとってどれだけ重要だったか?

リズムがどうこうというより、(重要なのは)今日の試合に勝つことだと思っていた。1点取られたのは気になるところだが、この調子でいけばアジアでも、そして世界でも一番になれるかもしれない。


岡田がベスト4などという妄想を掲げるから、こんな嫌味を言われる。世界一というのは日本はベスト4という目標を受けてのことだろう。こういうシニカルな皮肉を額面通りに受けとって、反論もできないメディアはバカとしかいいようがない。

――前半に先制されたが、後半で逆転できる確信はあったか。それから、逆転してから2人の選手を代えた意図は?(日本人記者)

もちろん、点を取られた瞬間から次のゴールを狙っていた。すぐに1点返したし、さらに追加点を奪うことができた。交代については、疲れている選手や、あまりプレーをしていない選手にプレーをさせるという意図があった。


つまりは逆転してから、流しても大丈夫という確信があったということになる。そうでなければ、経験を積ませるという言葉はでないだろう。日本に対するリップサービスがあっても、本音では大きな実力の差があったということだ。

最終予選の終わりに (1/2)
日々是最終予選2008-09(メルボルン編)
(スポーツナビ)

先日、ホテルでパソコンに向かっていた時のこと。つけっぱなしにしてあったテレビから、いきなり日本語が飛び出してきたので反射的に顔を上げた。画面に映し出されていたのは、横一列に並んだ日本人(?)のサッカー選手たち。彼らは、さながら映画『少林サッカー』のようなアクロバティックなヘディングやボレーキックを繰り返し、放たれたシュートは次々と標的に命中していく。そこに日本語のナレーション。「日本人は、いつもこんな練習をしているのです」――そして画面が切り替わって「オーストラリア対日本 6月17日 MCG」の文字。そう、日本戦を告知するCMだったのである。

あまりの馬鹿らしさに、最初はあっけにとられたものの、その後じわじわと笑いがこみ上げてきた。もちろん実際の日本代表が、こんなトレーニングをしているわけがない。だが、日本の特性であるボールスキルとアジリティ(敏しょう性)を生かすべく、素早い攻守の切り替えと高速パスサッカーの精度を高める練習を繰り返してきたのは周知のとおり。オーストラリアの人々が見たら、さぞかし曲芸めいたものに見えることだろう。そうして考えると、このCMは、彼らの日本(代表)観を端的に表していると言えそうだ。

日本が今、目指しているサッカーは、オーストラリアから見れば「驚き」というよりも、むしろ「奇妙なもの」として映っているのかもしれない。そのこと自体、別に気にすることではないだろう。とはいえ、そんな彼らの認識を「驚き」に、さらには「賞賛」にまで引き上げるとするなら、この試合こそが最大のチャンスである。日本がこれまで愚直に繰り返してきた「自分たちの」「日本らしい」サッカーが、ここMCGのピッチで炸裂することを切に願いつつ、キックオフの時を待った。


ちょっと動画を探してみたが、見つからなかった。

ただ、日本のサッカーはサーカスというところに特化していると欧米にはとらえられているということがよくわかるCMではある。サッカーよりもラグビーの人気が高いオーストラリアで、こんな扱いを受けているのだ。

彼らの驚きはサッカーの質ではなく、ゴールを目指さない奇妙なサッカーに対してなのだろう。

結局のところ、この試合でも日本は、中盤でイニシアチブを取ることができず、なおかつセットプレーでの高さ勝負も敗れてしまった。こうなっては、どう考えても勝ち目がない。昨日のコラムで、私は「サッカー国力では、日本はオーストラリアに勝る」「だから負けるわけにはいかない」と書いた。その思いは、こうして実際に敗れた今でも変わることはない。だからこそ、この敗戦はあらためて身にしみた。どうやら私は「Jリーグの底力」というものを、いささか買いかぶってしまっていたようである。国内リーグのインフラと競技レベルでは、断然アジアのナンバーワンではあるものの、それが代表チーム同士の戦いとなったときに「Jリーグの底力」は、まだまだオーストラリアの個の力に太刀打ちできない。その事実が、図らずも今日の試合で如実に明らかになってしまった。


Jリーグはかなりレベルが高くなった。しかし、金融危機で夢がある場ではなくなっているのも事実。スタジアムもヨーロッパの比べれば貧弱だ。屋台は出ているけれども、レストランはないスタジアムでは食事をしながらサッカー談義をすることはできない。いくらアジアのコンペティションで勝ったとしても、オーストラリアの選手の主戦場はアジアではなく、ヨーロッパなのだ。

だが、そうした現実を目の当たりにしながらも、岡田監督は「何も変えるつもりはありません」と断言する。「何も大きく変える必要もないし、この1試合で悲観することもないと思っています。(中略)もう少し全体を押し上げてからの攻撃になっていれば、こぼれ球を拾ってまた攻撃するという展開に持っていければ、それほどすべてを変える必要はないと思います」。その上で指揮官は「今のチームというのは、ある程度チームとしてのまとまりはあるので、大きく変わることはないと思います」と、大幅なメンバーの入れ替えがないことも示唆している。この発言に、どれだけのファンが納得できただろうか。

はっきり言おう。今の岡田監督の強化のための方策というものは、有名大学に合格するために、暗算の速さを究極まで高めようとしている“だけ”のような気がしてならない。もちろん実際の試験では、計算の速さだけでは解決できない、さまざまな応用問題がある。それを、暗算のスピードと正確さだけで打破しようというのである。それも、たった1年で。いかに好意的に考えても、これは「無謀である」と言わざるを得ない。

だが、どうやら岡田監督は本気のようだ。というよりも、それ以外の発想が見当たらないような印象さえ受ける。してみると、冒頭で紹介したCMも、実は日本の現在の状況を端的に表しているようにも思えてしまう。いずれにせよ、当初は笑っていられた日本サッカーのパロディーも、実はあまり笑えないものであることに、あらためて気付かされた次第である。

早々に本大会出場が決まった日本にとり、今後は「日本の目標」をどこに設定するかが課題となる。すでに、メディアによって独り歩きした感の強い「W杯ベスト4」も、実のところ、選手を奮起させるための“記号”でしかない(少なくとも私はそうとらえている)。逆に本気で、それこそミッションとして「W杯ベスト4」を狙うならば、現状を見据えて「監督交代」も視野に入れるべきであり、それは本来ならば監督ではなく協会会長がアナウンスすべきことである。その意味で、すでに“暴走”気味の感がある「W杯ベスト4」はいったん封印し、あらためて日本協会は来年のW杯に向けた目標設定を明確にアナウンスすべきではないか。さもなくば日本は、またしても4年前と同じ過ちを繰り返すことになるだろうし、それだけは、何としても避けたいところである。


宇都宮徹壱のコラムは後出しじゃんけんという感じは拭いきれない。こんなことは岡田が就任したときからわかっていたことではないか。本戦での監督交代という記事を書いたライターもブロガーもたくさんいた。オーストラリアに敗れたから、書くのでは卑怯としかいえない。

今更感があるのだ。

これまで提灯記事を書いて盛り上げてきたが、結局は梯子を外すのか。それではマスコミと同じではないのか。

ライターとしてコラムを書くのなら、ぶれてはならない。意見を取り消すなら謝罪してから取り消すべきだ。その覚悟がないなら、仕事にすべきではない。

日本代表はこのままなら本戦で1勝もできないまま帰ってくることになる。それを避けるためには監督を交代させるしかない。いつになったら気付くのだろう。

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