2010 FIFA World Cup South Africa Asian Qualification Round 4 Matchday 9
Japan 1-1
Qatar @
Yokohama International StadiumJapan:Own goal(Al-Binali) 2Qatar:Yahaya 53(r)Japan 1.30 draw 4.50 Qatar 9.00(
bwin)
カタール戦後 岡田監督会見 (1/2)
2010FIFAワールドカップ・アジア最終予選(
スポーツナビ)
ホームに帰って来て、いい試合をしたいと思っていましたが、選手1人1人は頑張ってくれたものの、チームとして生かしてあげられませんでした。非常に悔しい思いでいっぱいです。やはり、こういう試合を今後にどう生かすかが一番大切なことだと思います。この悔しさを忘れずに、まずは次のオーストラリア戦、向こうはいいメンバーで来てくれるみたいなので、アウエーですが、ぜひいい試合をして勝ちにいきたいと思います。
開口一番「申し訳ございません」と二重敬語と存在しない言葉の否定形を使うというふたつの意味で間違った日本語で、ファンに謝意を表した岡田監督。申し訳ないは「言い訳ができない」という意味で実際には謝意はないのだが、そのあたりは国語力の残念な岡田さん(大学の先輩とはいえ)には無理な注文だろう。気持ちはよくわかるが、カタール戦のサッカーが岡田さんの限界なのではという想いはある。
岡田監督、声震わせ「申し訳ない」…W杯アジア最終予選(
スポーツ報知)
不祥事を犯した企業の社長のように、岡田監督は、声を震わせながら頭を下げた。
「もっと、いい試合をお見せしたかったが、今日は選手を生かしてやることができませんでした。本当に申し訳ありません」
ホーム最終戦で格下・カタールにまさかのドロー。6万人超のサポーターに対し、世界最速のW杯予選突破を報告する晴れの舞台が一転した。多くのサポーターはすでに家路へ。まばらなスタンドの中で“懺悔”の場に変わった。
実際に口にした言葉と見出しが違うというのは記者も岡田さんが間違った日本語を使ったという認識があるからだろう。それを指摘しないのは日本的なよさと思っているのなら大間違いではあるのだが。言葉の問題はいつでも難しい。日本人のほとんどが間違った日本語を使っている今ではなおさらのことだ。
ヨーロッパでのシーズンが終わり、
オーストラリアで1戦して、コンディションのいい相手に、レギュラーを何人か外してどこまでいいサッカーを見せられるのか。
W杯ドイツ大会ベスト16の相手に勝たなければベスト4など到底かなわないということは十分にわかっているだろう。
それでもベスト4というなら具体的にどうするのか見せてもらいたいものだが、このところのサッカーは縦への突破ばかりで両サイドのフルバックとサイドハーフ(あるいはウイング)との連携でサイドを崩すというゲームは見せていない。中央を固められたらほぼ攻め手がなくなるサッカーでどう世界と戦うというのだろう。
中村俊輔はいい選手だが、
セルティックでは見せるエリア内への飛び込みを日本代表ではほとんど見せない。同じようにサイドを捨てるなら
本田圭佑の思いきりのほうがいいのではないかとすら思える。
相手がプレスをかけてこなければ調子よく攻め、プレスをかけてきた途端に守勢に回るというサッカーでは、破綻が来るのは予想ができることで、このままなら
W杯南アフリカ大会は間違いなくドイツの二の舞になる。
――カタール代表のメツ監督は、日本はテクニックはあるが、相手が仕掛けてくると日本は解決方法がないと言っていた。残り1年、試合の中で解決する力を養うにはどうすればよいか
メツさんがどうおっしゃろうと、われわれが今までできている試合はたくさんあって、今日ができなかったと。その1回ができなかったことで、すべてを覆すことは考えていません。メンバーの問題も当然ありますが、今日の相手なら今回のメンバーでも十分やらなければいけないと思っていましたので、そういう意味でできなかったことに関しては、解決していかなければと思っています。ただ、われわれは十分にそういう試合ができる力を持っているわけで、今日はそれを出させてやれなかっただけです。一回負けたからといって、ガタガタするつもりはまったくないです。いや、負けていないか(笑)。
こういう自嘲的な笑いを求めていたわけではない。例えば本戦の3試合ですべて押し込まれた場合、今まではできていたけれども、今日はできなかったというつもりなのか。大事な試合で相手のプレスにきちんと対応することができることが大切ではないか。
キリンカップではできていたが、
ウズベキスタン戦、カタール戦では完全に押し込まれ、相手のシュート精度のなさに助けられた。こういう結果も運だというのなら話のしようがない。
いつまででも運には頼っていられない。
世界と戦うには頑張るだけでは勝てない、運だけでも勝てない、そういうことをきちんと理解すべきなのだ。
岡田さんがいう今までできていたというのはプレッシャーがない状態でできていたということ。少しでもプレッシャーがかかると途端にパニックになる。それでは本戦を勝ち抜くことはできないだろう。そして、そういうチームにしたのは間違いなく岡田さんなのだ。
楢崎「あれはPKじゃない」/W杯予選(
日刊スポーツ)
代表戦で自身は5試合ぶりに失点したGK楢崎正剛(33=名古屋)は判定に納得できなかった。「あれはPKじゃないです。ちょっと怒ってしまい、冷静さを欠いた分、捕れなかった」と振り返った。それでも予選を通して培った自信は変わらない。「チームと成長して、W杯で悔いを残さないようにしたい」と話した。
たしかにPKというには厳しすぎる判定だった。ファールがあったのはエリアの外。マレーシアの主審はエリア内で倒れたためにPKの指示をしたが、それは誤審だったといっていい。
ただ、こういう誤審は本戦でも起こること。この1点でドローになったが、日本がカタールを攻めて3点くらいとれば問題ないシーンだったとも言える。日本が押されたから問題になっただけではないのか。
――今日の試合はどういうコンセプトで臨もうとしていたのか。それから、試合展開が難しくなってしまった要因をどう考えるか
今までいろいろな状況の中でも、それを言い訳にせずに戦えるチームになろうということで、練習ができない、大変疲れている、そういう中でもやってきました。疲れている状況は相手とある程度一緒だと。ひょっとしたら、問題は(W杯)出場権を得たことかもしれない。そういう状況の中でもチームとして戦える姿を見せよう、と言いました。残念ながら、それができなかった。やらせてやれなかったです。
(前半については)選手は暑かったと言っていましたから、ともかく動けなかったですね。それと選手1人1人は頑張っているんですけど、中にはミスをしたくない、そこそこ結果を残したいとか、チャレンジする気持ちが足りなかったり。あとはボールを受けに行かないとか、逆にチャレンジした人がミスになったり。やはり、うちの場合は全員でやるサッカーなので、そういうバランスというかコンビネーションが欠けていると、厳しくなると思っています。
以前、
ジーコは週刊誌のインタビューで日本代表に選ばれただけで満足している選手が大勢いたと答えたことがある。それはジーコがメンバーを固定して広くテストしてこなかったことにも理由があるのだが、岡田さんのもとでも日本代表に残ろうとしてリスクチャレンジをしない選手がいるならそれは問題だろう。
チャレンジをしてミスになるのは仕方がない。サッカーにはミスはつきものだから。しかし、プレスをかけるよりもリトリートを優先したり、ドリブルを仕掛けたほうがいいところでバックパスをしたりという前へという気持ちがない選手を切る決断がないところに岡田さんの弱点はある。
日本サッカー協会は日本をよく知っている外国人ということをよく口にするが、サッカーには外国も日本も関係はない。要は戦えるサッカーができるかどうか。戦うのを怖れている選手がいるならメンバーから外す。こういう非情な決断を抱えこんでいく覚悟が必要なのだ。
それができず、またチャンスを与えるというのではまったく進歩はないだろう。
試合後 カタール代表メツ監督会見
2010FIFAワールドカップ・アジア最終予選(
スポーツナビ)
われわれのチームは大変エクセレントで、優秀な試合をした。このチームの“いい顔”を見せてくれたと思うし、チャンスも非常に多かったと思う。日本もそうかもしれないが、われわれもあれだけのゴールチャンスがあったのだから、日本に勝っていてもよかった。
わたしはこのチームを大変誇りに思う。まだ若いし、いい側面をこの試合で見せてくれた。つまり、プレーの質でも、モチベーションでも、それからメンタルでも、今日のチームに対して誇りに思う。まだまだ若いチームなので、今後が楽しみだし、(自国で開催される)アジアカップ、そして次のワールドカップ(W杯)に向けて期待が持てる。
そして何より、ビッグな日本代表を脅かすことができた。日本はW杯に4回続けて出場するチーム。これだけの観客、そして日本の選手に対して、われわれは大いに彼らの動揺を誘うことができた。
日本がふがいない試合をしたのは事実。相手がカタールで強かったからで納得できるだろうか。結果的に引き分けだったが負けていたかもしれないのだ。
カタールは予選敗退が決まったが、次には勝てるという好印象で予選を終えたのではないか。課題はわかっている。シュートをもっと枠に飛ばす。そして、ミスパスを減らす。さらにいえば、むらっけもなくす。どれか一つでも解消すれば、カタールは強敵になる。その意味でも日本は完膚無きまでにカタールを叩いておかなければならなかったのだが、それはできなかった。
――日本はW杯ベスト4を目指そうとしているが、その実力があると考えるか
日本は技術的には高い資質を持っていると思った。だが、世界を相手にしていく場合には、まだまだ改良しなければならない点がある。つまり、今のレベルに満足してはいけないし、アスレチックな部分でもっと鍛える必要がある。日本はプレスをかけられたとき、そして相手に仕掛けられたときに対抗できない。また、試合をどの方向に持っていくのかを考える場合、相手に混乱させられたり、プレスをかけられたりすると、そこで自分たちの道を見失う部分がある。つまり、そこで解決策を変えていく必要がある。仕掛けられても、プレスをかけられても、しっかりと自分たちのゲームをどっちの方向に持っていくべきか、それができるように考えていく必要がある。
W杯に参戦するには、そのあたりをしっかり練習する必要がある。日本はサッカー大国だが、そういった部分を改善していかなければ、大変残念だが、今のままで日本がW杯4強に入るのは難しいものがあると思う。とはいえ、わたしの見方が間違ってくれればいいのだが。どうか日本にも幸運があるようにと祈っている。
メツさんは懐が深い監督だ。日本がプレスに弱いことはホームでウズベキスタンと引き分けたときからわかっていたはず。いや、ジーコが指揮を執っているときから、日本は仕掛けてくる相手に弱かった。その結果がドイツでの1分2敗という結果だ。ドイツでの結果をポジティブにとらえるファンはほとんどいないだろう。
プレスに弱いという状況をあれから3年経っても解消できないでいる。問題は守備を固めた相手をこじあけるのではなく、プレスをかけられてもパニックを起こさないということにあるのだ。
昨日の試合で
中澤が執拗にカタールがかけてくるプレスにパニックを起こしてバックパスをミスしたようなことがあれば、本戦では間違いなく失点につながってしまう。
W杯日韓大会の
トルコ戦でプレスに怯えて中田浩二が必要のないバックパスで失点につながるCKを与えてしまったことを思い出す。
こういうことをちゃんと言える人間が日本サッカー協会にはいままでいなかった。敗軍の将が贈ってくれたプレゼントに耳を傾けることができないのなら、日本は岡田さんとともに心中ということになる。
寂しき凱旋試合 (1/2)
W杯アジア最終予選 日本代表 1-1 カタール代表(
スポーツナビ)
さらに客観的に日本を見つめていたのが、カタール代表を率いていたブルーノ・メツ監督である。イスラム教を信奉するフランス人指揮官は、今日の引き分けでW杯への夢を断たれたものの、将来性豊かな若いチームの健闘に大変満足した様子。その上で、日本の問題点について「日本はプレスをかけられたとき、そして相手に仕掛けられたときに対抗できない。テクニック的には問題ないが、ソリューション(問題解決)の部分に改善の余地がある」と、何とも耳の痛くなるような指摘をしている。
この言葉で耳が痛くなるなどととんでもない。メツ監督の両手を握って「よく言ってくれた。ありがとう」と頭を下げてお礼をいってもいいくらいだ。
岡田さんが今までなおざりにしてきたプレスに弱いという部分をこれだけ端的に表した言葉も珍しい。そして、一部の評論家は指摘してきたが、マスコミの前でどうどうとコメントしたことで、日本はこの弱点と否が応でも対応せねばならなくなった。これをありがたいと思わないのはバカのすることだ。日本代表神話などははじめからないのだ。
実は私は、この「世界ベスト4」に、これまでずっと懐疑的だったために、あえて言及を避けてきた。だが、予選突破を果たしてからは、メディアも、そして監督自身も、声高に「世界ベスト4」を連呼するようになり、さすがにこの問題に背を向け続けるわけにはいかなくなった。あらためて、過去5大会の「世界ベスト4」を確認してみたい。
2006年(ドイツ大会):イタリア、フランス、ドイツ、ポルトガル
2002年(日韓大会):ブラジル、ドイツ、トルコ、韓国
1998年(フランス大会):フランス、ブラジル、クロアチア、オランダ
1994年(米国大会):ブラジル、イタリア、スウェーデン、ブルガリア
1990年(イタリア大会):西ドイツ、アルゼンチン、イタリア、イングランド
こうして見ると「世界を驚かせた」チームは、意外と少なくないことに気付かされる。02年の韓国と94年のブルガリアは、それまで本大会では1勝も果たすことはできなかった。トルコも、今でこそ中堅以上と目される存在だが、02年大会は48年ぶりの本大会出場であり、まったくのダークホース。クロアチアにいたっては(旧ユーゴスラビア時代のメンバーが残っていたとはいえ)初出場であった。であるからして「世界ベスト4」は列強のみに許される特権ではないし、極論するなら、来年の日本が本大会で大化けして、この“ダークホース枠”に滑り込む可能性も「決してゼロではない」とも言えよう。
ただ、ここで留意すべきは、これらダークホースが大会前から「世界ベスト4」を目指していたわけではない、という事実である。ホスト国であった韓国でさえ、大会当初は「まずは1勝」「何とかベスト16」というのが当面の目標だったと記憶する。
つまりこういうことだ。確かに過去において、アウトサイダーが「結果として」世界を驚かせたことはあった。しかしながら「有言実行で」世界を驚かせようとする日本の場合、その根拠となるものが現時点ではまだまだ希薄であると言わざるを得ない。もちろん、大会が始まってから瞬間風速的にチームが勢いづくことは、十分に考えられる(02年の韓国とトルコがそうだった)。だが、今の段階から「神風」を期待するべきではない。
と同時に、ただやみくもに己がスタイルや思想のみを突き詰めることが、すなわち目標達成の早道ということにもならないのではないか。それに付け加えるなら、もし反対意見や外部からのアドバイスに耳を封じてしまったなら、遠からず限界が訪れることだろう。
岡田監督の「世界ベスト4」発言に対しては、正直なところ、まだまだ私は懐疑的だ。今日のような試合を見せられれば、なおさらである。それでも、否定も盲信もすることなく、できるだけ冷静に、このチームの試行錯誤を見守り続けることにしたい。
宇都宮徹壱さんが言いたいことはわかる。ただし、今更ベスト4発言に懐疑的だったといったとしても後出しじゃんけんという印象は否めない。サッカージャーナリストなら意見は忌憚なくいうべきだ。それが間違っていたら即座に謝罪し、撤回する。その覚悟も必要である。
ぼくはジーコはドイツで惨敗するとずっと言い続けてきたし、どんなに非難されても曲げなかった。その結果はご存知の通り。先見の明を誇りたいわけではない。文章を書く以上、非難されても持論は曲げることはあってはならない。曲げるならよほど確度の高い情報を手に入れたときだけだ。
そして、岡田さんでは南アフリカで同じように負けると考えている。まだ岡田さんは本気の列強とは一度も戦ったことがないのだ。
南アフリカ以外はかならず列強が入るどのグループでも1勝はしなければならない。アジアは同居しない。アジアはアフリカと組むか、北中米と組むかによって違うが、ヨーロッパ2プラスアフリカ(あるいは北中米)という公算が大きい。
その中でどこに勝つというのだろう。ドローを見なければわからないにしても、これだけチームとして大きな弱点を抱えているのではベスト4など夢のまた夢だろう。