2009年2月5日木曜日

フィンランド戦大勝も、オーストラリア戦に向けては課題あり

Friendly Match Kirin Challenge Cup 2009 Japan 5-1 Finland @ National Stadium
Japan:Okazaki 15,32,Kagawa 44,Nakazawa 57,Yasuda 87
Finland:Porokara 50

フィンランド国内ではどんなふうに報道されているのだろう。極東の島国に大敗というのは、World CupにもEUROにも出たことがないが、ヨーロッパで弱小というわけではない国にとってどれくらいの痛手なのか。

Baxterin kokeilumiehistö hävisi rumasti Japanille(HS.fi)

日本人の撥音はやはり難しいのだろうか。Shinji Okazakin,Yuji Nagazawan,Michihiro Yasudanという記述が見える。あとわかりそうなのはポロカラが1点返したというところと、GKマーノヤが駄目だったというくらい。リトマネンの記述もあるが、フィンランド語はまったくわからない。英語の新聞には掲載がなかった。



こんな写真が掲載されているので、がっかりはしたと思うが。ヒステリックに負けたという雰囲気ではない。扱いも小さいしね。

フィンランド戦後 岡田監督会見
キリンチャレンジカップ2009
(スポーツナビ)

テストマッチということで、いくつかポイントとなる点を強調して試合に臨んだのですが、その中でできたところと、まだまだ甘かったところ、オーストラリアのことを考えるともっと厳しくないと難しいというところ、いろいろな収穫があったと思います。特に、あまり今まで出場機会のなかった選手の中で、十分計算できる選手が何人かいたということで、これは(試合)2日前に帰ってきて、すぐ試合という海外組のポジションに十分とって代われるくらいの力を示してくれました。わたしにとっては非常にうれしい誤算。

これからの練習を踏まえて、オーストラリアの戦い方というのはまた今日とはちょっと違うわけで、オーストラリア戦に臨むメンバーを煮詰めていきたいと思います。試合後、いよいよオーストラリアだ、という気持ちが強くなっています。


オーストラリアに対する評価はW杯ドイツ大会での逆転負けを境にして180度変わったと言っていい。本戦前は楽勝、今は最大のライバル。どれだけ相手を認識していなかったというか、実際に目で見ないとわからないというマスコミ、ファンのスカウティング能力のなさを見せている。ヨーロッパのリーグでレギュラーを張っている選手がほとんどという彼らと中村俊輔松井大輔長谷部誠の3人がコンスタントに使われている日本とは大きく違うということを理解したことはようやく現実に近い立ち位置になったと言っていい。

日本はフランクフルトを解雇寸前になっている稲本を招集するような国なのだ。

稲本に“戦力外”報道、監督が招集に不快感(サンケイスポーツ)

ブンデスリーガ・フランクフルトのフンケル監督が4日、地元紙でMF稲本が日本代表に招集されたことに「チェコへ行くのではなく、東京だ」と、疲労がたまりチームで練習できないことに不快感。

稲本の契約は今夏に終了するが、同紙は「おそらく延長されないだろう」と報じ、たびたびチームを離れる稲本に“戦力外”の烙印(らくいん)を押した。


稲本は元々短い期間では力を発揮するが、長いスパンのリーグ戦だとほとんど消えていることが多い選手。戦術理解もできないことが多く、好き勝手に動いているときはいいが、監督の指示があるとそれに縛られて何もできなくなる。だから、だんだんと使われなくなり、クラブを変えることになる。むらっけのある性格のためかもしれない。

しかし、それでも岡田は招集したのだ。バーレーン戦であれだけひどかったにも関わらず。

期待しているのは味方がボールを奪ったときに前線にあがり、ダイナミックなミドルを豪快に決めることだろう。あれで騙される。実際、上がってしまうと戻りは遅いし、パスの精度は低く、ボール狩りが上手くできるわけではない。唯一の武器がたまに決まる豪快なミドルなのだ。

以前は運動量もあってチェイシングに使えたが今ではほとんど動けていない。それを岡田は判断できなかったのか、あるいは判断できても幻想に囚われているのか。トルシエが西澤に、ジーコが柳沢にこだわりすぎて自滅したときの繰り返しにならないように祈るしかない。今回は予選突破なら御の字なのだから。

試合後 フィンランド代表バクスター監督会見
キリンチャレンジカップ2009
(スポーツナビ)

――今日の日本を見て、新しい発見はあったか?

日本は試合をコントロールしていたと思う。もちろん、われわれは日本に意識的にポゼッションをさせるようにしていたが、ボールを保有していることの方が、ボールを速く動かすモビリティーよりも重要視していたように感じる。われわれのディフェンスはオーストラリアと同じスタイルで、早く動くわけではない。簡単に裏を突こうとするとかえって危険だ。われわれはもう少し日本代表に対しては注意すべき点もあったが、岡田監督の狙いはしっかり達成できたと思う。


アジリティの問題でいえば、オーストラリアもそれほど早くない。しかし、プレスをかけるという戦術でフィンランドはあまりにもさぼりすぎた。ハーフプレスすらしなかったために前線に精度の高いボールを放り込むことができた。そこを修正できなかった日本はオーストラリアのプレスに苦しむことになるだろう。

ただし、彼らはヨーロッパから来日するためにかなりのジェットラグに苦しむことになる。そこが攻めどころといえばそうなのだが。

ただ、アジア最終予選で無失点ということは頭の中に入れておいたほうがいい。決定力不足に対して堅守の国は噛み合わせが悪い。

それから、GKのミスにも気をつけるべきだろう。判断ミスひとつでネットをゆらされるということは本当にあるのだから。

飽食のリハーサル (1/2)
日本代表 5-1 フィンランド代表
(スポーツナビ)

岡田監督にとって、このフィンランド戦は、ゴールの数以上に「飽食のリハーサル」となったようだ。懸念されていた遠藤と闘莉王の試合勘は、何とかめどが立った。岡崎はゴールに目覚め、しかも2得点とも岡田監督のコンセプトに十分かなうものであった。トップ下起用が見事に当たった中村憲、ドリブルで積極的に仕掛けていた香川、バランサーに徹しながら惜しいシュートを放っていた橋本、いずれも及第点以上の働きを見せていたと思う。そして何より、第2次岡田政権下で最多の5ゴールをたたき出し、チームとしてバーレーン戦の負のイメージを払しょくできたのも大きかった。

一方で、少なからず課題があったのも事実だ。守備面では、セットプレーからの失点。そして攻撃面では、サイドからのクロスの場面でたびたびチャンスをつぶしたこと。

とりわけ後者については、裏への飛び出しが効いていただけに、あらためて日本の課題としてクローズアップされた感がある。「どうしても最初にニアでつぶれる人間がいなかったり、ニアでつぶれたら裏がいなかったり」と指揮官も語っていたが、小兵ぞろいのFW陣が、中央で空中戦に挑むのはあまりにも無謀だ。184センチの巻が「つぶれ役」になれば、まだチャンスも広がるだろう。が、終盤でのパワープレー要員という現状を考えると、それも難しい。日本が空中戦から得点できるのは、4点目のように、セットプレーから中澤なり闘莉王なりに委ねるしかないようだ。

とはいえ、それ以上に気になるのが、ここから先のチームの積み上げである。

すでに岡田監督は、中村俊輔をはじめ5名の海外組の招集を明言している。そうなると中盤の構成は、昨年9月のバーレーン戦の陣容(中村俊、遠藤、長谷部誠、松井大輔、そしてトップ下に田中)に戻る可能性が高い。確かに、彼ら海外組は経験豊かであり、今はシーズン中だからコンディションも良い。しかし、だからといって、この3試合で積み上げてきたもの――すなわち経験とコンビネーション、あるいは若い選手たちの間で醸成されつつある勢いとモチベーション――などなどを軒並み放棄するのも、あまり得策とは思えないのだが。

グループ最強の敵を迎え撃つにあたり、図らずも岡田監督は、これまでにないほどの選択肢を得るに至った(ただしGKを除く)。オーストラリア戦の直前に、唐突に訪れた「飽食の時代」。何という皮肉であろうか。この状況が吉と出るか、否か。その答えは、1週間後の11日に明らかとなる。


たしかに岡田には選択肢は広がった。しかし、それは選手だけのことで、戦術的にはまったく選択肢は増えていない。4-2-3-1というフォーメーションで2列目の両サイドはフルバックと連携することはほとんどなく、中央からの攻撃にこだわることが多い。両サイドが中村俊輔、松井大輔になったとしても、松井とレフトバックとの絡みがあるくらいだろう。ライトバックの上がりを中村が使えば使うほどその裏を使われ、守備陣の負担が増える。あがれなくなればバーレーン戦と同じようになる。

ドローなら御の字。敗戦ということも考えられる。

勝利のためには前半で2点をとってオーストラリアのモチベーションを落とすことくらいか。1点では逆転したW杯ドイツ大会の経験から落とせない。一気に攻めて、ペースを元に戻すという緩急自在のサッカーができれば勝機はあると思うが、その柔らかさは岡田には足りないように思う。

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