2008年10月31日金曜日

日本の新人育成は短すぎないか

プロのサッカー選手になれるのは日本でも海外でもほんの一握り。よほどの才能に恵まれ、そして努力をして、さらに戦術理解がモダンサッカーとマッチしていた上で、ちょっとした運を持っていなければなることはできない。そして、上手くプロになれたとしても才能を活かせずにチームを去らなくてはならない選手もいる。

西川司さん(J.League Career Support Center)

西川司は愛媛ユースで一番上手く、JFL時代にはトップチームでもゴールをあげた選手。名古屋に入団が決まったときには、地元テレビ局がインタビューを行い、トッププロへの夢を語っていた。

愛媛のサッカー界では期待の新星。中盤でもFWでもプレーできるテクニシャンとして愛媛のトップに昇格していたら今とは違った人生になっていたかもしれない。しかし、名古屋に入団し、わずか2年で戦力外通知。

その後のトライアウトでも手をあげるクラブはなかった。

ぼくは実際に彼のプレーを見たことがあり、Jリーグの選手と比べてもテクニック的には劣っているところはなかったように思う。メンタルや戦術理解となるとそれは仕方がないことで、フィジカルが弱いというのならそれはトレーニングコーチの仕事ではないかとは感じた。

彼の場合、理由が明示されないままに名古屋を退団となり、そして引退してウェディングプランナーとして第二の人生を歩き始めた。レポートを見ても楽しそうに頑張っているから、彼にとってはよい選択ではあったと思う。

ただ思うのは、Jリーグのチームの場合、毎年内定選手を出すもののトップチームまで上がってくる選手がほんの一握りという実態だ。本当に0査定の選手は使えないのだろうか。そういう疑問さえ起こってくる。

トップチームの人数は25人前後が適正だろう。その中に毎年新人が入ってきたとしてその分だけ選手が削られる。ローンに出されるならまだ救いはある。しかし、戦力外と言われたら。

西川司のようにあっさりサッカーを捨てられるなら、キャリアサポートセンターで次の仕事を見つけるのもいいだろう。しかし、サッカーが続けたくてたまらなければ。

日本にはJ1,J2というプロの下にJFLがあり、地域リーグがあり、その下に下部リーグがありと働きながらでも草サッカーができる環境はある。だが、下部リーグの頂点は地域リーグが限界で天皇杯に出たとしても選手がプロとして拾われることは滅多にない。

イングランドは実質6部くらいまではセミプロとして存在し、ドイツも10部くらいまではある。イタリアもセリエD以下というランキングがあり、アマに限りなく近いというレベルからでもトップリーグを目指していける。

それに比べて、日本はユースからの引き上げもなく、高校サッカーで、あるいは大学サッカーでプロの獲得がなければほとんどプロになれるチャンスがない。

ユースなら最低でも3年、長ければ10年以上のスパンで見てもらえるが、高校から入った選手はフィジカル全盛の高校サッカーからプロの洗礼を浴びてわずかに2年、3年では短すぎると思うのだ。

活躍しているけれどもものになりそうもない選手もいるだろう。そういう選手はスカウトも声をかけない。

しかし、プロが声をかけ、クラブ入団をさせた以上、引退後のキャリアではなく使えるように育成する義務があると思うのだ。

それがローンでも海外の弱小クラブへの留学でもかまわないから。

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