2008年7月22日火曜日

亜熱帯はサッカーに向かないのか

サッカーファンじゃなくても、日本に住んでいる人間なら誰でも日本の夏は高温多湿ということを体で知っている。経験者ならわかるとおり、中学、高校の部活あるいはもっと小さいときのスポーツスクールでも炎天下のグラウンドで練習というのはそうとうにきつかったはずだ。これはサッカースキルとか運動能力の差はなく、猛暑と高い湿度は遠慮なくスタミナを奪っていく。

多量の汗をかくことは、脱水症状へとつながり、サッカーのプレーが命につながる。

だからというわけではないが、日本のサッカーはそれほど運動量が多くはならない。地球温暖化の影響で夏の期間が非常に長くなり、その疲れもあって秋のサッカーも運動量は落ちたまま。ムービングサッカーは一時の流行で結局のところ、個人技頼みのカウンターに特化していく。

ヨーロッパのサッカーが面白いのはこれまで暑さとあまり関係なかったからということもあるのではないか。スペインイタリアでは暑いところもあるが、フランスドイツイングランドなどは夏でも滅多に30度を超えなかった。クーラーがある家はほとんどなく、高緯度とメキシコ湾流による暖かさの恩恵を受けて、サッカーに敵した環境を謳歌してきた。

事実、亜熱帯での開催となったW杯日韓大会ブラジルトルコ韓国という日本に比較的近い気候の国が勝ち残った。ドイツの勝ち残りはメンタルなのか、サッカーの質が高かったのか、それとも組み合わせに恵まれたのかははっきりとは言えないが、ヨーロッパ諸国がコンディションをあげられなかったのは事実。

あれだけヨーロッパが苦しむというのは日本の気候が実はサッカーに向いていないのではないか。ということさえ考えられる。オシム前監督の指揮で導入されたムービングサッカーも岡田の指揮でなし崩しになっている。

岡田ジャパンの憂鬱。(Number Web)

「人もボールも動くサッカー」

 オシム監督はそれを目指した。

 全員がパスを出しては動き、動いてはまたパスをもらうという、実現すればじつに美しいサッカーだ。しかし、無名のオシムの選手たちはいわれたとおりにパスを回し、走りもしたが、どうすれば相手の意表を突けるかというアイディアを持っていなかったために、いつも最後は疲れ果ててしまい、アジアチャンピオンにもなれなかった(ぼくはジーコの時代がなつかしい。ジーコは、無能だの無策だのとずいぶん批判されたが、ジーコの選手たちはいつもとんでもないアイディアで試合をひっくり返してアジアチャンピオンになったうえに、ともかくワールドカップまで行ったのである)。

 あるいは、昨年の11月に脳梗塞で倒れなければ、オシム監督の美しいサッカーは実現していたのかもしれない。しかし、いまとなっては完全に不可能となってしまった。結果として、オシム監督のやったことは、スターのいない代表チームをつくったことだけになってしまったのである。監督の言うことはよくきくが、自分では何もできないチームだ。こんなチームのサッカーが面白いはずはない。


海老沢泰久氏はアイディアがないということで説明している。

たしかにそれもあるだろうが、猛暑の中ではやろうとすることの半分もできない。フランスでさえノーゴールのままで韓国から撤退したのだ。彼らはスター選手を揃えていたが、暑さに慣れている国に対して動くことができず、アイディアも出なかった。

 そしてそのチームを岡田監督が引き継いだが、アジアの2次予選でのもたつきぶりがよく示しているように、ますます迷走しているように思われる。

 まず、岡田監督がどういうサッカーをしようとしているのかがよく分からない。

 「接近、展開、連続」

 これは監督就任の記者会見で語った言葉だが、もともとはラグビーの代表的指導者だった大西鐡之祐が編み出したラグビーの戦法についていった言葉で、岡田監督自身の言葉ではない。

 また、こうもいった。

 「世界をあっと驚かせるサッカーをする」

 これもジーコが代表監督になったときにいった言葉だ。ジーコがいったときにはみんなそれに夢を託してわくわくしたが、どんな言葉も二度目は色褪せる。

 つまり、われわれが岡田監督の口からきいたのはみんな第三者が語った言葉で、本人自身の言葉ではないのである。だから、われわれはその第三者たちが何をしようとしたのかは知っているが、岡田監督が何をしようとしているのかは知らないのである。これでは、そのサッカーに感情移入することも想像力をはたらかせることもできない。


ただ、岡田さんにアイディアがないということには賛同しよう。岡田さんは就任会見で、あるいはミックスゾーンで選手のように一瞬の判断を求められているわけではない。考える時間はたっぷりあったはず。にもかかわらず、第三者の言葉しか借りてこられないこの貧弱さでは勝てるものも勝てない。

亜熱帯では亜熱帯で行うサッカーがある。カリブの国は決して弱くはない。

だが、指揮官にアイディアがないのでは本当に意味がないのだ。

このことまで理解している指揮官がぜひともほしいものだが、どうだろうか。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

確かに。

日韓W杯の時はフランス何も出来ませんでしたからね。

暑さは最大の敵ですし(苦笑)

それにしても、指揮官のアイデア、本当に何も感じられないのが問題です。

オシムは人もボールも動くといってましたが、アジアカップでは現実的な暑さに対処するためにポゼッションしながら細かなポジションチェンジで崩すというアイデアがありましたが、岡田はアイデアがあるのか、それを伝えて実行させられないのか、とにかく不信任でしかないですねぇ~><

kiri220 さんのコメント...

>soccerkyoさん

暑さは最大の敵ですね(苦笑)
高校生のときに実感していました。

アイディアが感じられないというのはサッカーの限界がみえるということなのですけどね。

それがわかっているのかいないのか。
見えてこないことにやっぱり不信感があったり。

川淵体制の負の遺産ですし、早いところ切ってもらいたいところですが。