2008年7月25日金曜日

U-23 オーストラリア戦後、反町監督インタビュー!!

U-23 日本代表U-23 オーストラリア代表に2-1と逆転勝ちしたゲーム後、反町監督と選手たちにインタビューが行われた。ここで反町さんの考えるサイドアタック、選手が認識するサイドアタックがはっきりしたので書いておきたい。

U-23オーストラリア戦後 反町監督会見 (スポーツナビ)

――前半20分までリズムが良かったが、その後に少し押し込まれた。課題は?

 上から見ていて気付いた人がいると思いますが、向こうのダブルボランチがかなり低い位置でボールを展開していて、その2人に対してうちは李が1人で行くような形で手堅くやっていました。それが逆に後手を踏んでサイドチェンジされたり、サイドバックが持ち出して、そこから10番(トンプソン)が走って展開する形が多かった。前半の途中から、向こうに主導権を握られるところがありました。それで、はっきりさせて細貝を前の方で行かせました。それによってサイドのMFは左右の守備が少なくなる。体力を消耗しないようにと考えてやりました。劇的な変化はなかったけれど、うちの中盤の両サイドが攻撃にエネルギーを使えるようになったのではないかと感じています。



中盤の両サイドという言い方をしている。本田圭佑と香川のことなのだが、ふたりはワイドではなく、中央に寄った形で構えていたように思う。その外側を内田と長友が走るかたち。二段構えのサイドアタックとも言えるが内田は中に切れ込む癖が強いために本田圭佑は内田とクロスするように外に開かなければならなかったはず。しかし、パサーとして彼が君臨したためにサイド攻撃はうまくいっているようで実は内田や長友の能力頼みということになってしまっていた。そのあたりに突っ込みがなかったのは残念。

オーストラリアは3-3-3-1に構えているように見えたのだが、ふたりの守備的MFで挟んでいるように反町さんは感じたのだろうか。視点の違いかもしれない。

――逆転勝ちは初めてでは? 五輪が近づく中で「勝ちきれない試合」という言葉を使っていたが、勝ち越した意味は大きいのでは

 逆転できたことは非常に良かった。チームに勢いが出るし、今後のわれわれの活動にとっても非常に(大きいと)手ごたえを感じています。記憶の中で(逆転勝ちは)ないかもしれませんが、できれば先制して2~3点取る展開が望ましい。というのは今日はホームだし、こちらの方が暑さにも慣れているので、足が止まるのが早かったのはオーストラリア。交代枠が今日は6人でしたが、(五輪本番で)3人になると、もっとシビアな勝負になる。今日も後半勝負かなとにらんでいて、梶山を後半から出して相手を動かそうという目論見(もくろみ)がありました。うちの両サイドの運動量が落ちなかったし、真ん中のリズムというよりもサイドのリズムが今日は良かったと思います。


ここでいう両サイドというのは本田圭佑、内田、香川、長友のことを指しているのか、それとも内田、長友のことだけなのかはわからない。ただ本田圭佑の代わりに入ったのは岡崎で彼も中寄りでプレーすることが多く、それなら両サイドはライトバック、レフトバックのことなのだろうなと考えざるをえない。ボックス型の4-4-2と変わらないわけで、この戦術の説明ははっきりとなされなかった。

U-23オーストラリア戦後 サッカー五輪代表コメント(スポーツナビ)

■本田圭佑(VVV/オランダ)

(長友)佑都をもう少し使ってあげられたらよかった。そこが今日の反省点。見てはいたんだけれど、ほかにいいパスコースがあって出せなかった。みんな動き出しが早かったのか、今日はパスコースがたくさんあった。ギリギリのところよりも、確実につなげるところで崩したいという心理が働いた。

本田圭佑のコメントからはサイドを使うというのは両サイドのフルバックを使うということのようだ。少なくとも自分はパサーであり、アタッカーでないことは自覚している。

■内田篤人(
鹿島アントラーズ

(A代表に招集されていて)このチームに長くいなかったので、やれることは(全部)やろうと思った。途中で交代するのかなと思っていたけれど、(後半も決勝)点が入るまでは攻めようと思っていた。今日はお客さんが結構入ってくれて、後押しもあって良かった。リズムを(相手より)先につかみたかったので、仕掛けていった。コンディションは鹿島でも試合に出させてもらっているので、こっち(代表)に来てできないというのは言い訳にならない。

内田も積極的に仕掛けるという言葉通り、右サイドからのアタックに貢献している。ここから日本のサイドはフルバックのアタックということがわかる。

李忠成柏レイソル

(前半、森本との2トップは縦の関係だったが?)僕が1個下のポジションで1トップのような形。ただ、今日はボランチからのパスも縦じゃなくて横だったし、サイドからの攻撃で点を取れたことが良かった。これからが楽しみ。(29日に対戦する)アルゼンチンは一番強いと思うので、世界での(日本の)立ち位置が分かると思う。

同点ゴールは内田のクロスから。逆転ゴールは安田のスペースへの飛び出しから、谷口に戻してのクロス。確かにサイドに開いてチャンスを多く作ったが中盤の選手で香川以外でサイドにワイドに開く選手は少なかった。サイドアタック=両サイドのフルバックの上がりではないことは世界の常識なのだが。

■吉田麻也(
名古屋グランパス

(失点シーンのミスについて)アルゼンチン戦も含めて、北京五輪でああいうプレーをしたら命取りになる。深く受け止めて、反省してやっていきたい。ミスをして慌ててしまい、ボールホルダーに(水本と)2人ともが行ってしまった。冷静さを欠いてまずかった。ミスの後の気持ちや姿勢の切り替えは、監督から普段も言われているし、吹っ切れて集中してプレーできたと思う。後半もリスクマネジメントをしっかりやろうと話してやっていたが、ミズ(水本)君がプレスに行った時にほかのメンバーが下がり過ぎたところがあるので修正したい。


失点の場面でのミスについてきちんとわかっているならかまわない。集中していればそんなにミスは起こらないし、起こってしまうときはどうしても起こってしまう。それを意識していれば大丈夫とは思う。

翼が生えた五輪代表 取り戻した自信
U-23日本 2-1 U-23オーストラリア
(スポーツナビ)

 特に右サイドバックで先発出場した内田の存在は際立っていた。試合の序盤、大きく両手を挙げてパスを要求したが、ボールはなかなか来なかった。すかさず中盤の選手を呼び、相手ディフェンスの裏を狙い過ぎずにパスをつなごうと話し掛けた。性格上、大きな口はたたかないという内田は、少し言いづらそうではあったが「相手からのプレッシャーはかかっていなかった」と理由を挙げた。ハッキリ言えば、余裕だった。相手同サイドとの駆け引きで先手を奪い、オーバーラップや1対1でのフェイント突破を積極的に仕掛けた。日本の蒸し暑い気候に苦しんだ相手をあっけなく手玉に取る姿は圧巻。頼もしい限りだ。左サイドバックの長友は、内田の積極的な攻め上がりを見て、攻撃参加を自重した面もあったようだが、今後コミュニケーションを深めていくことで両翼のバランスは良化するに違いない。


翼というとサッカー用語ではサイドアタックを指す。その意味で中盤のサイドと両サイドのフルバックを使う2枚でサイドを崩すというやり方が世界のスタンダードになっているのだが、まだサッカー解説者でもサイドアタックの本質をきちんとわかっていない人が多いようだ。フルバックだけのアタックなら1枚だけの薄いものになり、相手のサイドアタックにうまく対応できない。ということがわかっているのだろうか。

メディアだけではなく、ライターもこれではサッカー文化の質が上がっていかないわけだ。

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