2010年6月30日水曜日

日本の大冒険に対しての雑感

2010 FIFA World Cup South Africa Group E Japan 1-0 Cameroon @ Free State Stadium - Mangaung/Bloemfontein
Japan:Keisuke Honda 39

2010 FIFA World Cup South Africa Group E Netherlands 1-0 Japan @ Durban Stadium - Durban
Netherlands:Wesley Sneijder 53

2010 FIFA World Cup South Africa Group E Denmark 1-3 Japan @ Royal Bafokeng Stadium - Rustenburg
Denmark:Tomasson 81
Japan:Keisuke Honda 17,Yasuhito Endo 30,Okazaki 87

2010 FIFA World Cup South Africa Round of 16 Paraguay 0-0 a.e.t. 5:3 PSO Japan @ Loftus Versfeld Stadium - Tshwane/Pretoria

日本代表に最大の感謝をこめて。岡田武史監督に対して最大の敬意と謝意を示して。日本代表の大冒険はクォーターファイナルを目の前にして突然に終わってしまったわけだけれども、結果には満足している。

本戦前にあれだけ迷走していた日本代表は、本戦になると見違えるようなチームに変貌した。カメルーン戦は硬さがあったものの、松井から本田圭佑へのきれいなクロスで先制するとエムビアのミドルがクロスバー直撃という幸運もあり守りきって日本は勝利という僥倖を手に入れた。このとき、まだ世界は懐疑的だった。日本はドン引きサッカーではないかと。

だが、オランダ戦で日本はさらに変貌する。親善試合で特攻的にプレスをかけまくった試合ではなく、基本に忠実にプレーエリアを守ることで効率的なプレスでオランダに自由に攻めさせないサッカーを展開。チャンスこそすくなかったものの日本はオランダを十分に苦しめた。スナイデルのシュートもGK川島が目測を誤らなければ止められた可能性もある。そして、なによりの注目は岡田さんが中村俊輔に引導を渡すかのように途中出場させたシーンだった。ピッチで中村俊輔は何もできないまま、闘莉王のパスもミスでキープできないほどのひどさを見せて、日本は中村俊輔のチームから離れたことをはっきりと意識づけた。

岡田さんが頑固に中村俊輔にこだわっていたら日本は間違いなく3連敗だったはず。不調続きだった日本のプレーメイカーは中村俊輔だったが、彼を外すことで選手は生き生きと動きだし、松井、本田圭佑が次々とゴールに襲いかかった。彼らのオフィシャルが現在つながらない状況なのは日本だけのアクセスではないだろう。

そして、デンマーク戦。日本はポゼッションを奪われながら本田圭佑のFKで先制すると遠藤も続いてゴール。デンマークを混乱に陥れた。バイタルエリアでファールができないデンマークはリトリートで体を張った守りに徹するしかなく、徐々にポゼッションを失い、ミスが目立っていく。プラン通りの試合をやった日本代表は堂々の2位通過でノックアウトラウンドに進出する。

岡田さんは日本にいたときの印象から勝負にこだわるあまり、自分の決めたことを変えられない監督だと思っていた。それが本番一発勝負で変更。奇襲というほどの作戦ではなかったけれども、世界基準に近いレベルで戦い、十分に世界トップ10とも渡り合えることも証明した。

このことについては素直に謝罪したい。今まで無能だ、セオリーを知らないと馬鹿にしていたけれども、その言葉はすべて撤回する。「男子三日会わざれば刮目して見よ」という言葉の意味を改めて知った気がする。いくつになっても成長はとまらない。南アフリカで岡田さんはスイッチが入ったのだろうか。それとも今までの低迷は作戦だったのか。いずれでも結果がすべての世界で、岡田さんは世界を驚かせることに成功する。世界中の新聞が日本をべた褒め。こういう状況というのは想像もできなかった。

日本代表が輝き、そして岡田さんがかっこよく見えた。完全に降参だ。あとは正しい日本語を喋ってくれればいうことはない。

クォーターファイナルを賭けたパラグアイ戦。ポゼッションを奪ったパラグアイが少し不安そうに見えたのはパラグアイが堅守速攻の国だからか。カウンターには慣れていても同じタイプの国とは戦い慣れていない。密集した守備を崩すのには慣れていない。思った通り、パラグアイは攻めあぐね、日本は川島のビッグセーブ連発で攻撃を抑え込む。一方の日本は引いた相手を崩すことには慣れている。カウンターからパラグアイを崩すのは時間の問題だと考えていたが甘くはなく、延長も戦ってゴールレス。最後はペナルティ・シュートアウトで涙を飲んだ。

これからのサッカーとしては、日本のサッカーはきっちりヨーロッパよりにスタンスを固めるべきだろう。トレンドに流されることなく、きちんと目標を作って日本人にあったかたちに消化吸収していく。それを継続して続けられる監督をおく。スターシステムではなく、もっと全員でできるサッカーを目指すべきでもある。

ベスト16だからと驕ることなく、いろんなタイプの選手を育て、世界で活躍する選手を送り出していく。基本はきっちり教え、個性も伸ばし、結果論だけではない育成をやる。そうすることでどんな場面でも楽しめるサッカーができる選手が育っていくはずだ。

そのためには世界で通用する指導者が出てこなければならないけれども、今回の岡田さんの成功で刺激を受けた指導者も多いはず。頑張ればできるわけではないが、努力と勉強はかならず報われる。そう感じさせてくれた日本の大冒険だった。

2 件のコメント:

どらぐら さんのコメント...

日本代表があそこまでしっかりと守れるとは思いませんでした。
しかも“突貫工事”で。
土壇場で戦術変更を決断した岡田監督も称えなければなりませんが、監督の要求に見事に応えた選手たちは本当に素晴らしい。
よく言われますが、彼らが団結していたからこそ、ここまでできたのでしょう。

この結果を無駄にしないためにも、協会には大会のきちんとした総括、世界で通用する選手育成、納得のいく監督の人選をお願いしたいです。

kiri220 さんのコメント...

>どらぐらさん

突貫工事で本当にしっかりと守りましたし、団結力もすごかったですね。
カメルーン戦はドン引きでしたが、その後はきちんとした守備でしたし。
パラグアイ戦はカウンター狙いでちょっとチャンスを生かせずというところが残念ですが、これ以上は望めない結果ですね。
統括はもう一回4試合を見直してやっていこうと思います。

岡田さんはしばらく休養といっていたみたいですが、しっかりレポートを書いてほしいですね。
次につなげる意味でも。

協会とJリーグにもさらなる発展をお願いしたいです。