2011年1月14日金曜日

日本は苦戦を制してノックアウトラウンドに王手!!

AFC Asian Cup 2011 Qatar Group B Matchday 2 Syria 1-2 Japan @ Qatar Sports Club Stadium
Syria:Firas Al Khatib 76(P)
Japan:Hasebe 35,Keisuke Honda 82(P)

シリアは赤一色のファーストジャージ。システムは4-2-3-1。



日本はブルーサムライのファーストジャージ。システムは4-2-3-1。



日本、シリアに辛勝 10人での戦い制す(sportnavi)

シリア戦後 ザッケローニ監督会見
AFCアジアカップ2011
(sportnavi)

今日は、プレー面ではさほどタフなゲームではなかった。ウチが良くなかったのは前半、あれだけ得点のチャンスがありながら、このゲームを(早い段階で)決定づけられなかったことだ。チャンスを作ってゲームを展開していたのは、われわれの方だった。ヨルダン戦と比べれば、多少は良くはなった。レフェリングについてだが、PKのシーンは相手のシュート(がオフサイド)ではなく、日本のバックパスだったという説明を受けた。あとでビデオで確認したい。われわれは10人だったが、11人のようなプレーをしていた。選手たちには頼もしさが感じられた。

チームの出来には満足している。シリアは初戦に勝って、3ポイントを得て勢いに乗っていた。今日はかなり守りに徹して自陣でブロックを作っていたが、われわれは非常にうまく対応できたと思う。バイタルエリアに何本もボールを入れて、攻撃のバリエーションも増えた。フィジカル的にもヨルダン戦では不安があったが、それも徐々に改善されてきたという印象を持っている。


PKの場面については微妙な判定としかいいようがない。副審がオフサイドの旗を揚げており、判定が違うというのはどうなのだろうか。ビデオで確認しなければならないが、危険な場面にバックパスをするようならザッケローニのチームは混乱していると言える。ただし、あの場面はシリアのシュートであり、今野のバックパスではなく、オフサイドが先で川島のレッドもなかったというのが本当のところではないか。

ただ、勝ったことでグループステージ突破に向けて弾みがついたのは事実だ。前回ランナアップのサウジアラビアが脱落しており、3戦目もきっちり勝っておきたい。

――2列目のポジションだが、右から松井、本田圭、香川となったが、本田圭はやや右側にポジションを取り、右の松井と左の香川もポジションに変化があった。どこまでが監督の指示で、どこからが選手の判断だったのか?(後藤健生/フリーランス)

システムは特に変えていない。(いつもの)4-2-3-1だが、その使い方、理解の仕方は相手によって対応を変えている。シリアはヨルダンのようにブロックを作るカウンター主体のチームだが、ヨルダンとの違いは4バックが中央に絞り気味になることだ。そこでサイドを生かそうということで、両サイドの選手にはワイドに張るように指示した。また本田圭については、ウチのボランチが12番(M・アルゼイノ)に対応していたので、中盤に入って5番(F・イスマイル)を抑えるように指示した。


相手がある以上、システムもマイナーチェンジをしたということか。ザッケローニの戦術は今のところ当たっている。PKの場面で押し込まれたのは事実で、そこは修正しなければならない。

――次のサウジにどう対応するか? また、相手はグループリーグ敗退が決まっているが、そこに難しさを感じるか?

失うものがないチームというものは、何が起こるか分からない。相手は敗退が決まっているので、いい意味で緊張感なく試合に臨めるかもしれない。それが、どういう方向に出るか分からないが、注意は必要だ。サウジは0ポイントのまま帰国したくないだろうし、もともとは優勝候補の1つだった。相手をリスペクトした上で準備しなければならない。日本はほかのチームと比べて準備が遅れているので、この3試合目もしっかり戦って成長のために有効に活用したい。

――川島のPKのシーン、副審はオフサイドのフラッグを上げていた件についてどう考えるか?(外国人記者)

副審がフラッグを上げたのはわれわれも確認しているが、レフェリーはバックパスが入ったと結論づけた。だが「そうではない」というのが、われわれの見解だ。副審がフラッグを上げたのに、主審はあのようなジャッジを下した。

――公式戦初勝利ということになるが、この勝利の意味は?(外国人記者)

質問を聞いて、公式戦初勝利であることに初めて気がついた。それくらい頭はすでに次のサウジ戦に向いている。(サウジ戦には)できるだけいい準備をしたい。(本大会に向けて)準備が進まなかっただけに、2-1で勝てたことは最低限の結果ではあるが、チーム状況を考慮すれば満足できる。今日の勝利で、まだまだ日本には(上のステージに進む)可能性がある。さらに前に進んでいける。できるだけ多く試合をして、このチームの成長を早く促していきたい。


ザッケローニは決して大きなことは言わない。イタリアで監督をしていたときからまったく変わっていない。すべての印象が凝縮されたインタビューだった。研究熱心な監督であり、世界のトップではないが、教師としてうまく機能しているということか。

サウジアラビア戦に向けて準備をしているなら、引き分け以上の結果はでるだろう。引き分け以上で勝ち抜けが決まるが油断をすると足を掬われる。敗退が決まったサウジアラビアに敗退することだけはあってはならない。

2007年の借りを返して、グループステージを突破したい。

■シリア代表 ティタ・バレリュ監督

「日本のレッドカードは正当なもの」

選手たちは最初は(日本に対して)怖がっていたが、次第に雰囲気にも慣れ、(後半に)アル・カティブ(10番)が入ってからは自信を得るようになった。日本のレッドカードについては正当なものだったが、われわれが受けたレッドカードは受け入れ難いのものであった。われわれにとって、結果が引き分け以上でなかったことはハッピーではなかった。われわれは攻撃的なサッカーで勝ち点3の獲得を狙った。だが、日本が勝利したことは認めなければならない。次のヨルダン戦でもベストを尽くしたい。


シリアがいいサッカーをしたのは間違いない事実だ。オフサイドがバックパスと判断されたことも含めてサッカーであり、シリアは地の利がある。勝ち点3を狙ってのサッカーをシリアがしたことでスリリングな展開となり、日本もきちんとした対応を学ぶこととなった。シリアがノックアウトラウンドに上がって日本と再びあたることになれば強敵となる。ザッケローニはよくわかっているだろうが。

マイルストーンとしてのシリア戦 (1/2)
日々是亜洲杯2011(1月13日)
(sportnavi)

試合前のプレスルーム。日本のメディア関係者は、備え付けのモニターの映像に気が気でない。16時15分からアルライアン・スタジアムで行われている、ヨルダン対サウジアラビア。何と、格下と思われていたヨルダンが前半42分に先制点を挙げ、そのままタイムアップを迎えようとしていたのである。初戦でシリアに1-2で敗れ、急きょ監督を代えて背水の陣で臨んだ、中東の雄サウジ。ここでもし敗れれば、グループリーグ敗退が決まる。いや、事はサウジだけの問題ではない。この時点で勝ち点1の日本も、この後のシリア戦でさらなる重圧がのしかかることになる。

やがて試合は90分を超え、アディショナルタイムは5分と表示された。ここはヨルダンの終了間際での「勝負弱さ」に期待したいところ(初戦でヨルダンは、土壇場で日本に同点に追いつかれている)。当然ながらサウジも必死の猛攻を見せる。しかしヨルダンは、守備の要であるハテムをけがで欠きながらも、その堅守は決して崩れることはなかった。結局、1点を守り切ったヨルダンが逃げ切り、この時点で、勝ち点4でグループBのトップに立った。一方、サウジはこれで2連敗。前回大会の準優勝国であり、セミファイナルで日本を撃破したあのサウジが、かくもあっけなく連敗を喫するとは誰が想像しただろうか。そしてFIFA(国際サッカー連盟)ランキング100番台のヨルダンとシリアが、これほどの旋風を巻き起こすことも――。

ヨルダン対サウジの結果は、おそらく日本の選手たちにも伝わっていることだろう。これで日本は是が非でも、シリアに勝利しなければならなくなり、さらなる重圧を抱え込むこととなった。しかもこの日のスタンドは、カタール在住のシリア人で占められていて、ほとんどアウエー状態である。このゲームは間違いなく、ザッケローニ体制となって最初の試練となることだろう。


もとよりサウジアラビアの勝利を当てにする気持ちはなかっただろうが、ヨルダンの勝利で日本にプレッシャーがかかったのは事実。動きはよかったものの先制しても折れないシリアに苦しめられることになる。カウンターではなく、しっかりつないでこぼれを拾ってのセカンドアタックでゴールをこじ開けようと狙うシリアに対して受け身になってしまった。

この日の日本のスタメンは、以下のとおり。
GK川島永嗣。DFは右から、内田篤人、吉田麻也、今野泰幸、長友佑都。MFはボランチに長谷部誠と遠藤保仁。2列目は、右から松井大輔、本田圭佑、香川真司。そしてワントップに前田遼一。11人の顔ぶれとポジションはヨルダン戦と変わらず。ただ、試合が始まってみると、本田圭・香川・松井だったり、松井・本田圭・香川だったり、さらには松井が前田と前線で並んだり、本田圭がボランチのサポートに回ったり、中盤の構成が状況に応じてフレキシブルに対応していることが分かる。

「システムは(いつもと同じ)4-2-3-1だが、その使い方、理解の仕方は相手によって対応を変えている。シリアは4バックが中央に絞り気味になるので、両サイドの選手にはワイドに張るように指示した。また本田圭については、ウチのボランチが12番(ワントップのM・アルゼイノ)に対応していたので、中盤に入って5番(ボランチのF・イスマイル)を抑えるように指示した」(ザッケローニ監督)

とりわけこの日は、本田圭の3列目でのサポートが効果的であった。本田圭が下がれば、遠藤なり長谷部なりが攻め上がり、高い位置からパスを供給したり、厚みのある攻撃を仕掛けたりすることができる。前半の日本の先制ゴールも、こうした中盤の流動性から生まれたものであった。35分、本田圭がドリブルで右サイドから攻め上がり、GKが飛び込む寸前で中央へ折り返す。これを香川が受け、巧みな切り返しで相手DFを振り切ってシュート。いったんは相手GKにはじかれるも、このボールを松井が拾って後方に流し、長谷部が間隙(かんげき)を突くようなシュートを放つ。ボールは一直線にゴールネットに突き刺さり、シリアサポーターの歓声が瞬間的にやんだ。「チームで取った感じ」(長谷部)というゴールが決まり、日本は心理的アドバンテージを得ることとなる。

一方で気掛かりだったのが、前田の不発である。11分に内田からのクロスをヘディングで外したのを皮切りに、42分の遠藤からの絶好の折り返しも、後半4分の香川からのスルーパスも、いずれも得点につなげるには至らなかった。このうち1点でも決めていれば、もっと楽な試合展開になっていただろう。2年連続Jリーグ得点王の肩書を持つ前田だが、このところ代表では沈黙を強いられおり、ヨルダン戦でも前半のみの出場に終わった(李忠成と交代)。さすがにこの日は、引き続き後半もピッチに立つことになったが、後半26分に発生した「アクシデント」によって、またしても結果を残せぬままベンチに退くことになる。


今までの監督とは違い、ポジションチェンジ時の約束事はきちんとしていた。まだ日本代表らしくシステムに穴があることはあるが、穴のあいたポジションがないように動くという約束があり、スペースをきちんと埋めていた。中盤はうまく連動しており、前半はシリアを抑え込んでいる。

アウェイ環境で先制点を奪うのは重要であり、日本は定石通り前半から攻めた。

問題となるのは前田の不発としか言いようがない。絡んではいるのだがフィットはしていない。スペースがないと点をとれないならフリーになる動きをすべきだが、できていない。前田は2戦連続で結果を出せなかったわけで、3戦目はてこいれが必要かもしれない。他にFWがいるかというと岡崎を使うしかないのだが。システム変更が必要となっている時期かとも思う。

後半26分の「アクシデント」。それは、長谷部からの何でもないバックパスから始まった。この時、GK川島との間に微妙な距離感が生じ、シリアの選手が一気に詰めてくる。いったんは川島がクリアするが、これを相手選手に拾われ(この時、主審は近くにいた今野が「バックパスをした」と判断)、再びボールはゴール前に送られる。このボールを受けようとした19番のS・マルキと川島が交錯。S・マルキが倒れた瞬間、イラン人の主審はホイッスルを吹いて迷うことなくペナルティースポットを指し示す。だが、副審はオフサイドフラッグを上げていたため、当然ながら日本の選手は猛烈に抗議した。しかし判定は覆らず、主審はシリアのPKと川島の退場処分を宣告する。10人となった日本は、前田を下げて第2GK西川周作にすべてを託すも、F・アル・カティブの冷静なキックを防ぐことはできなかった。

前半の決定機を決め切れず、PKを献上して同点に追いつかれ、しかも1人少ない状態。まさに、これ以上にない最悪の展開である。「本当に心が折れそうになった」という今野のコメントも、決して大げさなものではなかったと思う。しかし、ここから日本は、さらにアグレッシブな姿勢を鮮明にしてゴールを目指す。34分、遠藤のスルーパスから、本田圭が岡崎慎司(後半20分に香川と交代)とのパス交換を挟んで右足シュート。さらにコーナーキックから、今度は長谷部と本田圭が連続シュートを見舞う。いずれも枠の外だったり、相手のブロックに阻まれたりしたものの、シリアの守備陣をひるませるのに十分有効であった。

そして後半35分、何と日本にもPKが与えられる。相手ペナルティーエリア内で、粘りに粘った岡崎がもぎ取ったビッグチャンスであった。これを本田圭が、大胆にもゴールど真ん中に蹴り込み(リプレー映像で見ると、あと少しでGKの足に当たるところだった)、ついに勝ち越しに成功。余談ながら、この本田圭のゴールは、日本代表公式戦における通算1000ゴール目に当たっていた。やはりこの男、何かを「持って」いるのかもしれない。その後の日本は、6分にも及ぶ長いアディショナルタイムを乗り切り、FKの壁の位置をめぐるいざこざにも冷静に対応(この時、相手選手が2枚目のイエローで退場処分となる)。最後まで集中力を切らすことなく、1点リードを保ったままタイムアップを迎える。勝ち点3を上積みした日本は、総得点でヨルダンを上回り、一躍グループ首位に浮上することとなった。


主審の誤審でPKに川島へのレッド。心が折れてもおかしくなかった。明らかな誤審はサッカーにつきものだが、それでもありえない判定に揉めに揉めた。PK判定が覆された例はいくらでもあるのに今回は覆らず。PKをきっちり決められて、同点に追いつかれる。

ヨルダンが勝っているため、シリアがドローなら最終戦にシリア、ヨルダンのドローで日本は敗退が決まる。絶対に勝たなければならないところで、岡崎、本田圭佑、長谷部が絡んだ攻撃は強力でついにシリアからPKをもぎ取り、勝ち点3をつかみ取った。

これでグループ首位。シリア、ヨルダンの結果に関係なく引き分け以上なら勝ち抜け決定となる。日本が負けた場合は得失点差の争いになり、2点差の負けは許されない。

サウジアラビア戦まで緊張感のある戦いができることは幸運なのか、不幸なのか。組み合わせに恵まれたと思われたが前回ランナアップのサウジアラビアが早くも脱落という死のグループとなった。

ザッケローニ率いる新生日本にとって、初の公式戦勝利となった今回のシリア戦。それは、勝ち点3以上の価値を持つ、ある種のマイルストーンとなるべきゲームであったと思う。確かに、チームとしても個人としても、まだまだ改善すべきところは少なくない。前者に関しては、後半26分のPK献上は明らかに守備陣の連係ミスによるものだ。また後者に関しては、トップフォームから遠ざかっている前田と、サイドのポジションで存在感をアピールできていない香川の今後が気になるところである。それでも、シリアに同点に追いついて以降の日本が、1人少ないハンディをものともせず、まさにチーム一丸となって勝ち越しに成功した経験は、今後さまざまな困難に直面した際にも、きっと有効に働くことは間違いないだろう。

それからもうひとつ。このシリア戦は「キャプテン長谷部」の地位が確立したという意味でも、銘記されるべきゲームであった。もちろん長谷部は、昨年5月30日の対イングランド戦以来、ずっと腕章を巻いている。とはいえ、ワールドカップ終了までの間、チームキャプテンは川口能活であり、長谷部はあくまでもゲームキャプテンであった。その後も、事あるごとに「キャプテンらしさ」を感じさせることはあっても、まだまだ初々しさのほうが前面に出ていたように思う。ところがこの日の長谷部は、あのPK献上の際には節度をわきまえながらも主審に迫力満点のアピールをし、一方でチームメートには冷静さを求めていた。その後シリアに同点とされても、チーム内の心理的動揺が最小限で済んだのは、こうした長谷部の強烈なキャプテンシーに負うところが大きかったはずだ。さらに言えば、日本に与えられたPKが仮に主審の「埋め合わせ」であったとするならば、これまた長谷部がチームを代表してアピールしてくれたおかげであったと言えるだろう。日本は、素晴らしいキャプテンを得たものである。

「2-1で勝てたことについては、最低限の結果ではあるが、チーム状況を考慮すれば満足できる。今日の勝利で、まだまだ日本には(上のステージに進む)可能性がある。できるだけ多く試合をして、このチームの成長を早くうながしていきたい」(ザッケローニ監督)

指揮官の言葉を引くまでもなく、この新しい日本代表は、大会を通して間違いなく成長を続けている。今後、彼らがどこまで勝ち進み、そしてどのような成長を遂げていくのか。今しばらく、見守っていこうではないか。


アジアレベルといえども簡単に勝てる状況ではなくなった。ランキング100位台であっても強いチームは強いということで、日本代表にとって転換期になったのは事実だ。相手にリスペクトを払い、きちんと勝っていくサッカーができるようになれば、さらにステップアップができるはずだ。

日本のキャプテンが長谷部であったことも力強い。中国大会で宮本がキャプテンシーを発揮したように長谷部もしっかりとチームをまとめ上げた。攻めなければPKもとれなかったわけで、長谷部の力は大きいと言わざるをえない。

日本はアジアでも簡単に勝てない。選手は身に染みてわかったはずだ。あとは体が動くように頑張るだけ。日本の試練はまだまだ続く。

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