Japan:Kagawa 64
パラグアイ戦後 原監督代行会見 (1/2)
キリンチャレンジカップ2010(スポーツナビ)
――選手たちの取り組み方は前向きだったように感じたが(大住良之/フリーランス)
今回のメンバーに関してはザッケローニ監督が選んだわけではありません。僕や(コーチの)関塚、小倉、和田、あるいは慶越、育成の技術委員長である西村らのメンバーで選んだ。確かに監督が選んだのでないけど、代表として日本のユニホームを着てやるということは、それなりの責任もあるし、やるからには言い訳せずにやろうと。自分の良さを出そう、今後、代表に選ばれるかどうかは自分(次第)なんじゃないかと言いました。初めてやる選手、細貝は今日が初めてでしたよね。昨日まで今野でいくかなと思ったんですけど、今野の足のけがもあったので、思い切って細貝にした。みんなにも、初めての選手もいるけど、たぶん日本人が足りないコミュニケーションとかも含めて、やれることをみんなでやって、いい試合をして勝とうということを言ったので、みんな(試合に)出てない人も含めて練習からやってくれたと思います。
――松井、内田、栗原はけがでひっこんだようだが、けがの状態は
栗原は、今ドクターから聞いた感じですと、足のけいれんだけかなと思ったんですけど、それをかばって逆足を痛めていると聞いています。次の7日の試合は難しいのではないかと聞いています。今野もこの合宿ではなくて、9月1日のナビスコの試合、エスパルス戦ですかね。最後までできたんですけど試合途中で違和感を感じたと。それで次の日のダウンをしたとき、昨日の朝になって違和感があるということで、今日調べに行ってMRIを撮りました。診断の結果は、今日はメンバーに入れない、次の7日も入れない。そういうふうになりました。
松井に関していうと、皆さんご存じのように今回、代表メンバー発表のあとにチームが変わりました。まだそのチームに行っていません。そのチームからレターが来て、こういう事情があるから、今日の試合が終わったら、なるべく早く返してほしいということで、メディカルチェック、ビザの問題とかいろいろありますので、今回はできたら協力してほしいと。ご存じの通りインターナショナルマッチデーですから、こちらが7日まで伸ばしたいということも言えるんですが、そういう事情もあるので、今日の試合までやって、できるだけ早くあっちに行って、チームになじむようにするのが今は一番いいと思います。週明けの(リーグ)再開のときにゼニトというロシアで一番強いチームと当たるそうです。そこでクラブも(松井を)使いたいというレターが着ましたので、それを受け止めて。まあ予選とかでは認めることはできないんですが、今回は移籍の期限ぎりぎりでメンバー発表のあとでクラブが変わったということで、協会としても認めた方がいいと思います。
内田はたいしたことないと思います。あと1試合ですから、みんなモチベーションは高いし、また新たに誰かを追加することはしないで、いるメンバーでグアテマラ戦を戦いたいと思います。
このレベルの試合がホームでできるなら歓迎する。パラグアイも本気度は高かったし、日本もモチベーションが高かった。悪質なプレーはほとんどなかったものの(イエローは合計2枚)、激しいコンタクトプレーはあり、球際の競り合いもガチでやっていた。ワールドカップ南アフリカ大会のノックアウトラウンドのプレッシャーとは比べものにならないだろうが、120分戦ってゴールを割れなかった相手からさらに90分戦ってゴールを奪えたというのは素晴らしいことだと思う。
南アフリカ大会で、松井、大久保が積極的に仕掛けたドリブル突破も松井、香川が仕掛けていったし、あきらかにターニングポイントがあって日本の選手の意識は変わっている。パスを簡単に叩くのではなくて、仕掛けて崩してというところが見られたのは大きな進歩でもある。
栗原にしても本戦前のテストで失格の烙印を押されたが、今回きっちり守備で貢献してリベンジを果たした。本戦の前と直後でプレッシャーは違うだろうが、これから経験を積んでいく選手であり、中澤のようなふてぶてしさを身につければ世界でも通用するようになると思う。本人の努力次第ではあるが。
――当初の予定通り、ザッケローニ監督からは何もアドバイスはなかったのか?
試合前にミーティングで最初に話してくれますかと頼んだ時に、むしろ最後に話したいと、僕とか関塚がやった後に話してくれました。それは、非常に楽しみに試合を見ている。今回に関しては、メンバーは自分ではなく原さん、関塚さんに任せているので、いいプレーをしてください。次のワールドカップに向けてスタートしているというコメントをしてくれて、それで日本語で「頑張って」と言ってくれましたね。そういうふうに言ってくれたことも、選手のモチベーションが上がる原因になったと思いますけど。
――駒野を最後にピッチに入れた理由は?
内田が足が痛くなっていて、入れたというのもありますけど(実際には香川と交代)。PKがあったら蹴るかといったら「いや」といっていました(会場、笑)。
――香川のゴールも含めたプレーの評価について。それからゴール決まった瞬間の喜びについて
香川に関しては、ずっとW杯のときにサポートメンバーとして帯同していましたが、本当にモチベーションも高かったし、コンディションも良かったです。実際にドイツでもプレシーズンからずっと好調だったと聞いていますし、今回見ても、さらに良くなっていると思いました。ただ、さっきも言いましたけど、日本のこの蒸し暑さで体が動かないということは言っていて、確かに前半、ボールに絡むところはいいですけど、それ以外はまめに(前へ)出ていくのが少ないかなと見ていたんですが、後半になってさらに動きが良くなって「まだまだ行けるな」と思っていました。
前半もこっちサイドで入っていって、あれがやっぱり香川の一番得意なプレーだったと思いますし、あそこでの最後のプレー、それと後半も、本田から(パスが)出て、切り返して、打つときに最後タックルされましたけど、ああいうときに点に絡む決定的な仕事ができれば、かなり成長すると思います。(ゴールを)入れた時間帯については、そうですね、いつでもいいです。入れてくれれば。いい時間帯に入れてくれたと思います(会場、笑)。
――試合後のザッケローニ監督の反応は?
彼はやっぱり紳士なので、いちおう監督代行に僕がなっているので、控え室には入ってきていません。ハーフタイムもそうですけど。今回は自分は外から、監督は原さんなので、原さんやってくださいということで。で、終わってから控室にやってきてくれて、本当におめでとうと言ってくれて、いい試合をしたと思うよと言ってくれましたし、選手たちにも声をかけていました。日本のサポーター、日本のサッカーの雰囲気とか、今回だいぶ分かってくれたと思いますし、大阪にも行きますので、ほかの選手も見ることはできるのかなと思います。
ザッケローニが口出しをしなかったことで、日本代表の流動性が生まれたというと言い過ぎだろうか。ザックのサッカーはイタリア流で細かいところまで選手の役割が決められてしまう。ファンタジスタすら戦術に組み込むイタリア流は自由にやっていた選手には息苦しいかもしれない。スペースを潰していくという作業は選手の脳は体力以上に消耗するだろう。システムがどうなるかはわからないが、ザックはウイングをおくと言うということは公言しているので、松井、香川は継続して使われることになるだろう。また、本田圭佑に関してはユベントスでジエゴを上手く組み込めなかったこともあり、難しい扱いになるのではないか。
原技術委員長のインタビューは前任者に比べて面白いというのもある。駒野のPKは緊張をほぐすための話術だろう。ザックになって真摯にインタビューに答える彼が原さん以上に面白いかとなると疑問ではあるが。
これだけいい動きをした日本の真価が問われるのはザッケローニが本格的に指揮をとってから。そしてアジアカップになってからだろう。
試合後 パラグアイ代表マルティーノ監督会見
キリンチャレンジカップ2010(スポーツナビ)
両チームとも均衡した内容で、リズム感もあった。ただワールドカップ(W杯)の対戦と比べてスペースがあったと考える。両チームともゴールチャンスはあった。
――チャンスはパラグアイにもあったが、W杯も今回もゴールがなかった。日本の守備からゴールが奪えなかったのはなぜだと思うか?
時としてこういう試合もある。今回は日本のGKが良かったし、DFが最後のところでわれわれのボールを止めていた。それが(得点できなかった)原因。うちに足りなかったのは(プレーの)正確さだ。試合がうまくいかないのは、相手が素晴らしい場合と自分たちに原因がある場合と両方あるが、その両方が今回の結果につながったと思う。
――パラグアイはW杯でもゴールが少なかった。4年後に向けて得点力をアップさせるためのビジョンについてどのように考えているか?(中西正紀/RSSSF)
パラグアイはW杯の試合も今夜の試合も、いずれも得点チャンスがあったが、決定力不足でゴールに結びつけられなかった。改善点としては、やはり自分たちの決定力を向上させたいが、われわれはまだその前の段階にある。今の段階は、まずチャンスをより作ることに徹したい。(その結果)将来的には決定力も向上すると考えている。
パラグアイは南アフリカのスペイン戦でPKを外したことをいまだに引きずっているのではないか。強引なシュートが目立ったし、決定機で力んでジャストミートできないところがあった。ジャイアントキリングを起こせるチャンスを逃した悔しさというのはずっと引きずるものだ。来日するチームとしてはモチベーションが非常に高く、W杯メンバーも多く含まれていたが、課題の修正というところまではいっていない感じではあった。前半有利なうちにゴールを奪っておけばという点は今後の課題になるだろう。パラグアイとはコパ・アメリカでガチで対戦する可能性があるだけに、今回ゲームができたこと、勝利したことは大きな収穫になるだろう。
エンターテインメントとしての代表戦 (1/2)
日本代表 1-0 パラグアイ代表(スポーツナビ)
この日の日本のスターティングメンバーは以下の通り。GK川島永嗣。DFは右から内田篤人、中澤佑二、栗原勇蔵、長友佑都。守備的MFに中村憲剛と細貝萌。右に松井大輔、左に香川、トップ下に本田圭佑。そしてワントップに森本貴幸。システムは4-2-3-1である。W杯でのラストゲームと比べると、入れ替わったメンバーは5名。特に中盤は、遠藤保仁、長谷部誠、大久保嘉人がいずれもけがやコンディション不良のため、出場や招集が見送られた。代わって守備的MFでの起用が見込まれた今野泰幸も、招集後にけがが発覚したため、急きょ細貝にA代表初キャップのチャンスがめぐってきた。また、W杯ではFW(実質的にはゼロトップだったが)で起用されていた本田はトップ下に、代わって森本がワントップでスタメン起用されることとなった。
全体的に見れば、岡田武史監督が作り上げたラインアップを踏襲しつつも、原監督代行のアイデアが随所に感じられるメンバー構成となった。より分かりやすく言えば、守備面はほとんどそのまま。攻撃面では、よりワイドに展開して、バリエーションのあるクロスからチャンスを作るシーンが、数多く見られた。
まず守備。相手のパラグアイは、変則4-3-3と言うべきシステムで、サンタクルス、バリオス、カマチョ、そしてベラとサンタナが代わる代わる前線に顔を出してくる。後方からの的確なビルドアップに加え、サンタクルスとバリオスの高さ(いずれも187センチ)を生かしたセットプレーは、日本にとって脅威となった。だが日本のディフェンス陣は、強固なブロックを作ってこれを阻止。危ない場面もあったが、最後はW杯でのプレーをほうふつとさせる集中力と気迫のこもったプレーで、相手にゴールを割らせることを許さなかった。日本の新しい守護神となった川島も、スタンドを沸かせるビッグセーブを連発。パラグアイのマルティーノ監督は「今回は日本のGKが良かったし、DFが最後のところでわれわれのボールを止めていた」と、日本の守備の堅実さを素直に認めた。
攻撃面では、両サイドに展開してからが、大きな見せ場となった。右の松井の変幻自在な切り返し、左の香川の鋭いドリブル突破、これに長友と内田の積極的な攻撃参加が加わる。衆目を集めていた本田は、直接FKを含むチーム最多3本のシュートを放っていたが、攻撃面で最も輝いていたのは中村憲と香川であった。前者は遠藤不在をまったく感じさせないくらいパスの起点として機能(守備面での貢献度は遠藤以上だった)、後者は果敢に1対1のドリブルを挑んで貪欲(どんよく)にゴールを目指す。後半19分の日本のゴールは、中村憲の目の覚めるようなスルーパスに、香川が「あうん」の呼吸で反応して生まれたものであったが、まさにこの試合を決めるにふさわしいゴールであったと言えよう。
南アフリカで岡田さんがひとつの解を見つけたのは事実だ。2勝1分1敗という成績は、アウェイの本戦では望外であり、欲をいえば、失うものがなかったパラグアイ戦でカウンターを怖れずもっとアタックをかけておけばというのがあったが、それは結果論というものだろう。
そして、南アフリカでの経験で世界を相手にしても日本人の個人技が十分に通じることがわかったことも大きい。松井、大久保のドリブル、長友のオーバーラップ、本田圭佑のボール裁きなど世界を相手にしてきっちり結果を残したことで自信となっている。
今後はこの自信を確固たるものにしていくことだ。パラグアイは格好の相手であり、リベンジ云々ではなく、日本の攻撃が通じるかどうかを試す相手としては最適だった。守備もよく、トランジションの流れもきっちりしていた。カウンターから一度危ない場面があったが、GK川島がきっちり止めて事なきをえている。
ザックによる守備理論セオリーの投入があり、選手がきちんと吸収して消化できればもっと強くなる可能性はある。もちろん、細かい指示にうんざりしてしまう可能性もあるのだが。
かくしてW杯での最後の相手パラグアイに、日本は見事に90分で勝利し、4年後のブラジル大会に向けて幸先の良いスタートを切ることができた。W杯という極限状態と、国内でのノンタイトルマッチを単純比較すべきではないことは重々承知しているが、それでも、今回のパラグアイがほぼ一線級の選手をそろえてきたことを思えば、十分に評価できる結果であったと言えよう。とはいえ、ここで忘れてならないのが、9月の2試合は「ザッケローニへの引き継ぎ」が主な目的であることだ。では、新監督に引き継ぐべき日本の方向性とは、どのようなものであったのか。技術委員会主導による今回の選手選考、そして選手たちがピッチ上で見せたパフォーマンスから、以下の3点が浮上してくる。
(1)世代交代
まず特筆すべきが、今回の選手の平均年齢である。ベンチを含めて26.1歳、スタメンに限れば25.4歳である。W杯のメンバー23名の平均年齢が27・8歳だったから、2歳以上若返ったことになる。今回のスタメンで30代は中澤のみ。その次に年長なのは松井と中村憲でいずれも29歳。一方で北京五輪世代が、過半数の6名を占めたのも何とも感慨深い。1979年生まれの「黄金世代」が現役時代の晩年を迎えつつある今、世代交代の波が一気に押し寄せるのは間違いないだろう
(2)新戦力の発掘
このパラグアイ戦では、細貝が初キャップを刻んだほか、栗原と岩政大樹(後半23分)と槙野智章(後半44分)が、それぞれキャップ数を3に増やした。細貝はこれからもチャンスがあるだろうが、問題はセンターバックの3人である。いずれもJリーグではそれなりのキャリアを積んでいるのに、代表戦はやっと3試合目。それだけこのポジションは、中澤と田中マルクス闘莉王の寡占状態であったのだ。もちろん中澤も闘莉王も、国内屈指のセンターバックであることは間違いないが、彼らが4年後も盤石の守備を見せてくれる保証はない。この機会に、じっくりと後継者候補を試してもらいたいものだ。余談ながら、先ごろ代表からの引退を発表した中村俊輔の不在は、この試合ではあまり感じることはなかった。中盤の人材については、さほど心配する必要はなさそうである。
(3)海外組の成長
海外での経験は、そのままプレーへの自信に直結する。香川しかり、長友しかり(内田については、まだまだ本領を発揮できていないと思う)。ほんの3カ月前までドメスティックな選手であっても、当人の努力と意欲次第では、短期間でも十分に潜在能力を伸ばせることを、彼らは見事に証明してみせた。思えばスタメンに海外組が7名も名を連ねるのは、ジーコ政権下以来のことであろう。これに、先ごろ海外移籍が決まった阿部勇樹(レスター)や矢野貴章(フライブルク)、さらにはアーセナルへの加入が見込まれる宮市亮(中京大中京)の世代が加われば、4年後は随分と明るいものに感じられる。
もうひとつ、付け加えるならば遠藤、中村憲剛の後継者を早く見つけることだろうか。中村憲剛はブラジル大会では33歳。無理ができないレベルになっているかもしれない。遠藤はもっと年上になる。細貝はショートパスはともかく、展開力には難を残した。本田圭佑は攻撃的なポジションを好む。Jリーグを見ても若手のレジスタ役はほとんどいない。この役割の選手を探すのは急務だろう。松井のバックアッパーとして香川、大久保がいるのは心強いが、さらにウイングタイプの選手が成長してくることを祈りたい。
欲をいえば、森本以上にフィジカルが強いFWということだろうか。森本はカターニアでもまだレギュラーを勝ち取ったわけではない。これからの勝負に勝っていくこと。それが重要だろう。
何、楽観的過ぎる? いやいや、決してそんなことはあるまい。むしろ4年のタームで考えるならば、今が最も未来を楽観視できる数少ないチャンスである。今から悲観していてどうする? と言いたいくらいだ。
ここで思い出してほしい。国内で行われた代表戦で、これほど内容と結果に一定以上の満足が得られて、笑顔で帰路に就くことができたのは、いつ以来であろうか。「勝利」ということで言えば、今年3月3日に行われたバーレーン戦(2-0)以来である。ただしこの試合は、アジアカップ予選の消化試合であったにもかかわらず、岡田監督の進退問題と相まって、実に余裕のない試合内容となってしまった。当時と比べれば、今回のパラグアイ戦はゴールこそ少なかったものの、極めて娯楽性に満ちたゲームであった。ライトファンも「また見に来ようかな」と少なからず思っただろう。
今回の強化試合が、結果として極上のエンターテインメントとなったのは、原監督代行の手腕に負うところが大きい。しっかり結果を出す一方で、最後には駒野友一をピッチに送り込むサービス精神も忘れない。この日、スタンドを埋め尽くした6万5157人の観客の中で、W杯での駒野の涙のPK戦を知らぬ者はいなかったはずだ。背番号3がピッチに足を踏み入れた瞬間、会場はこれ以上ないくらい温かい拍手で包まれた。原博実という人は、こうしたファンサービスを巧みにさい配に織り込むことに長けている人なのだと思う。試合後の会見でも、香川のゴールについて質問されて「いい時間帯で決めてくれました」と答えていたのも、あの人ならではの機微だったのだと思う(意味が分からない人は「原 いい時間帯」で検索してみてください)。
代表戦とは、結果重視の禁欲的なゲームが、その大半を占める。今年に入ってからW杯に赴くまでの代表戦は、まさにそうしたカタルシスに乏しい試合内容ばかりであった。もし本大会での歓喜がなかったら、この日の代表戦に果たして6万人を超える観客が訪れていただろうか。確かに代表戦は、結果が第一である。だが一方で代表戦は、時にエンターテインメントを重視してもよいのではないか。とりあえずこの9月シリーズは、そうした試合が許される数少ないチャンスである。2日後のグアテマラ戦でも、そんな代表戦を「ヒロミジャパン」もとい、原監督代行が率いる日本代表に求めたい。
ガチンコの試合をして、ニコニコ笑って家路につくことができる試合というのはありがたい。結果至上主義になりやすいなかで、この試合は純粋に楽しめるものだった。話題性も南アフリカのリベンジと十分。おたがいにトップチームを揃えた負けられない試合ということで、日本は可能性を見せてくれた。それだけでも十分で、心配するのはこれからのことだ。
よい面ばかりではなく、悪い面も出てくるだろう。ミスも多くなることも考えられる。今回の2試合だけは勝敗を忘れて原さんのサッカーを楽しむことにしよう。
ザックのサッカーが期待を裏切るにしても、期待以上になるにしても。
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