2009年10月11日日曜日

岡田の方向性はいつまでたってもフィーリングサッカーなのか

Friendly Match Kirin Challenge Cup 2009 Japan 2-0 Scotland @ Nissan Stadium
Japan:O.G.(Berra) 82,Honda 90

スコットランド戦後 岡田監督会見
キリンチャレンジカップ2009
(スポーツナビ)

前半、われわれの基本である早いサポートでパスアンドムーブ、そしてシンプルにボールを動かしていくというのが、サポートの顔出しが遅かったり、(パスを)出す方が遅かったり、選手間の距離が長すぎて、パスの距離が長くなると受けるのが怖くなるんですけど、そういうテンポがなかなか上がってこない状況でした。(テンポは)前半の終わりくらいから上がってきました。長いボールが多いとどうしても、切り替えても周りに味方がいないという状況で、ディフェンスもプレッシャーが掛からない。ちょっと悪循環になりかけていたのをよく持ちこたえて、後半にようやくリズムが出てきました。

ただ、最後の突破のところで相手もしっかりしたディフェンスをしていたので、シュートを打たせてもらえなかったんですけど、駒野が練習通りの素晴らしいクロスを入れてくれました。オウンゴールでしたけど、(相手DFがボールに)触らなかったら後ろに森本がいて、高い確率でゴールになっていたんじゃないかと思います。そういう意味で、新しい選手、今まで試合に出るチャンスがなかった選手たちが、それぞれの特徴や持ち味をよく出してくれました。これからメンバー選考で頭を悩ませる、うれしい悩みだと思います。


短いパスばかりだと相手もプレスをかけやすいのだが、岡田はそのことには気付いているのだろうか。

長短織り交ぜたパスがあるからこそ攻撃に幅がでる。しかし、今の日本はロングフィードという攻撃がほとんどない。短いパスで中盤をつなぎ、スルーパスを狙うという攻撃の効率が悪い方法を選んでいる。パスコースが多くあるはずの4-2-3-1というシステムを使っているがプレーエリアが守られていないために、ミスパスも目立つ。

もちろん、ミスがあるのが当たり前のサッカーだが、イージーなミスはよくない。そのためにもプレーエリアを守ることは大事なのだが、そのことを批判できないような状況になっている。

前任者のオシムは批判されることはいくらでも歓迎するという態度だったが、岡田は批判されることを極端に怖れる小心者なのだ。

試合後、スコットランド代表バーリー監督会見
キリンチャレンジカップ2009
(スポーツナビ)

――今日の失点について(スコットランドの記者)

日本はFKから非常にいいプレーをしていた。われわれのゴードンは非常に素晴らしいGKでいい働きをしていた。1点目はわれわれのミスによるものでがっかりしているが、こういった国際試合はわれわれにとっても重要で、今回は日本のサッカーが素晴らしかったと言わざるを得ない。ほとんどのボールを日本が支配していたし、それに対してわれわれはかなりいいディフェンスをしていたと思うが、今回は日本が少ない機会をものにしたと言える。2点目は日本の力によるものだった。

――日本の選手で目を引いたのは?

わたしはスコットランドの監督なのでその質問は難しいのだが、日本のプレーは非常に生き生きとしていてパス回しのテンポが良かった。特にフロントラインで賢い動きをしていた。全体としてチームを評価することはできても、特定の選手を選ぶのは非常に難しい。それでも日本はワールドカップでもいいところまでいけると思う。


バーリーさんはピッチに出ていた日本の選手を評価してコメントしたのだと思う。つまり、前線に関しては後半多くチャンスを作った『控え組』のほうが出来がよかったということだ。固定されたレギュラーメンバーで戦っていたら違うゲームになっていた可能性はある。

話題性の向こう側に (1/2)
日本代表 2-0 スコットランド代表
(スポーツナビ)

ところが3度目となる今回は、にわかに様相が一変する。何と来日直前になって、スコットランドから大幅なメンバー変更の通達があったのである。メンバーの入れ替えは18名中、実に半分の9名。離脱したのは、前回来日したダレン・フレッチャーや、セルティック時代の中村俊輔のチームメートであるショーン・マロニーなど、一線級ばかりが占められていた。メンバーが急きょ変更になったことについて、スコットランドのジョージ・バーリー監督は「選手が相次いで負傷したため」と答えている。だが、あの屈強なタータン軍団の男たちが、まとめて9人も負傷するとは到底信じ難い話である。

とはいえ「私自身が最もがっかりしている」と語るバーリー監督の言葉は、信じてよいように思う。試合前日の会見でも、招集メンバー変更の理由を日本の記者に立て続けに問われて、監督は見る見る表情をこわばらせ、結局3つの質問に答えただけで会見を切り上げてしまった。おそらくは、すでにW杯への夢を断たれたスコットランド代表に対し、レンジャーズをはじめとするクラブ側から、立て続けに招集を拒否されたと見るのが妥当であろう。その意味でバーリー監督もまた、被害者の1人だったと言える。


怪我というのは言い訳であろうというのはわかっていたことだ。インタナショナルAマッチデイではあるが、スコットランドにとっては重要な試合ではない。サラリーを払っているのはクラブであり、優勝争いをする上で重要な選手を極東まで行って壊されては困るとクラブが考えてもしかたがない。日本がW杯出場を逃し、本戦に向けて強化試合をしたい外国の中堅国から招待される逆の立場だったとしたら、日本は協力するだろうか。ということを考えてみればよくわかる。Jリーグで優勝を争っているクラブはできれば出したくないと考えるだろう。

最初のテコ入れは、前半15分。トップ下の石川と右サイドの本田のコンバートである。右サイドを主戦場とする石川を、あえてトップ下に置いた理由について、岡田監督は「サイドで起点となるのは苦しいだろうから、トップ下から裏に出て」持ち味を発揮してもらおうと思っていたらしい。しかし「外で(ボールを)回すことが多くなったので、本田を中に入れて起点を作りたい」と考えを改め、両者のポジションを入れ替えた。結果として、所属クラブでの本来のポジションを与えられたことで、石川も本田も、より持ち味を生かせるようになった。とはいえ、この時点での日本は、まだまだリズムはちぐはぐで、石川の突破や本田のミドルなど、個人能力での打開ばかりが目立っていた。

0-0で迎えた後半11分、前田に代えて森本が登場し、一気に会場が沸き立つ。しかし、日本の攻撃に本当の意味でのリズムが生まれるのは、その9分後に3人を一気に交代してからである。内田と石川と橋本がアウトで、大久保嘉人と松井大輔と徳永悠平がイン。大久保と松井が中盤の右と左に、徳永が内田のポジションに入り、中村憲は3列目に下がって稲本とコンビを組んだ。この日の中村憲は、積極果敢に前線に飛び出してゴールを狙ったものの、シュートの精度が悪く、気持ちの空回りが攻撃のリズムを削いでいる印象を受けた。むしろポジションを下げて、パスの出し手に回ってからは、小気味よくボールが回るようになる。後半、日本が持ち前のポゼッションを発揮してスコットランドを圧倒できたのも、中盤の底が安定したのが一番の要因だったのは間違いないだろう。

そして仕上げは、後半36分。稲本に代えて投入された駒野友一が左サイドバックに回り、左の今野が本職である守備的MFに移動した。この日は、右の内田がコンディションが悪く、左の今野も窮屈そうにプレーしており、効果的なクロスはほとんど見られなかった。ところが投入されて1分後のファーストタッチで、駒野は職人芸的なクロスを供給。相手GKとDFの間を通す直線的な弾道は、走り込んできた森本に渡る前に、相手DFのオウンゴールを誘発し、ようやく日本が先制する。さらに後半45分にも、またしても駒野のクロスから、森本が巧みに反転してシュート。いったんは相手にブロックされたものの、こぼれ球を本田が躊躇(ちゅうちょ)なく左足を振り抜き、豪快にネットを突き刺す。今度は文句なしのゴール。ほどなくしてタイムアップとなり、即席チーム同士の対戦は、日本が2-0で勝利した。


試合途中での戦術変更はいわゆるベストメンバーではなかなかできない。指示しても選手がいうことを聞かないのか、それとも指示を出していないのかわからないが、まったく効果は出ていない。

しかし、今回は指示が当たっている。これがベストメンバーと同じチームをもうひとつ作るための作戦なら困るが、オプションとなるためのものなら歓迎する。

とはいえ、岡田のインタビューではベストメンバーと同じ戦術をこなすチームを作ろうとしているとしか思えないのだが。

いずれにせよ、先の香港戦、そして今回のスコットランド戦を終えて、指揮官の中では、新たにチャレンジしてみたいフォーメーションが、明確な像を結びつつあることだろう。4日後の10月14日、宮城スタジアムでのトーゴ戦で、岡田監督の答えは明らかになる。9月のオランダ遠征での課題を克服するための「新たなステップアップ」。そのプレゼンテーションの場が、次のトーゴ戦なのである。

そこで気になるのが、来日するトーゴのモチベーションである。急ぎFIFA(国際サッカー連盟)の速報サイトをのぞいてみると、何とトーゴはカメルーンに0-3で敗れ、本大会出場の夢を断たれているではないか! 本当に、この時期のマッチメークは難しい。果たして宮城でのシリーズ第3戦は、どんな結末が待ち受けているのだろう。


結果として、2試合の強化マッチはW杯本戦を前に敗退したふたつの国との戦いになってしまったわけだが。トーゴがメンバーを落としてしまわないか、それだけが心配ではあるね。

4 件のコメント:

char1029 さんのコメント...

後半30分あたりぐらいしか見ていないので,
コメントするのも気が引けるのですが・・・。

見たときはいつもとかなりメンバーが違っていたので,
これもアリかなと思いました。
森本,よかったですね。

いずれにしてもトーゴ戦でどんな選手起用をするのかが見物ですね。
って見られないんですけどねー(苦笑)

どらぐら さんのコメント...

後半の選手交代が奏功しましたよね。
憲剛をボランチに下げてパスが回るようになり、松井も左サイドで良いアクセントになっていました。
代表デビューとなった森本もまずまずの動きを見せました。

W杯本番でも、このようにうまくいけば良いのですが・・・。

kiri220 さんのコメント...

>char1029さん

スタメンでレギュラー組と言えるのは中村憲剛と内田だけでしたからね。

香港戦のメンバーは外れていました。

森本は北京のときに比べて1トップでもボールがキープできるようになったのはいいことですね。

トーゴ戦で香港戦に戻してしまうのか、よかった選手を組み合わせるのか注目ですね。

放送はTBS系の放送なのですね。

kiri220 さんのコメント...

>どらぐらさん

中村憲剛は遠藤の代役が十分に務まりそうですね。

松井はもう少しコンディションがあがるといいのかもしれません。
怪我明けは厳しいですからね。

本番でどこまで通用するかどうかですね。
岡田の控え組のほうが通用しそうなのですが。