2010年2月15日月曜日

ギロチンマッチでも岡田の首は切れないのか

East Asian Football Championship Matchday 6 Japan 1-3 Korea Republic @ National Stadium
Japan:Endo 23(r)
Korea Republic:Lee Dong-Gook 33(r),Lee Seung-Ryul 39,Kim Jae-Sung 60

韓国戦後 岡田監督会見 (1/2)
東アジアサッカー選手権2010 決勝大会
(スポーツナビ)

前半立ち上がりに関しては、今までの中で一番、選手間の距離感も良く、テンポも良く、いい流れになってきたと思ったんですけど、守備に関してロングボールを拾うところまでは良かったんですが、そのあとつなぐ意識が強すぎて、それを取り返されすぎて2失点したと。それほど崩されたわけではないんですけど、やっぱりクリアするときは外に大きくクリアするとか、そういうことは必要だったかなと思っています。結果的にホームで点が取り切れなかった。後半になって人数が減ったこともあったんですが、われわれの距離感がちょっと遠くなって、外に起点が作れなくなった。悪い癖がちょっと出たなと思っています。結果的にホームで勝てなくて、本当に申し訳なく思っています。


闘莉王が退場になっていなくても、日本は逆転することができなかっただろう。つなぐサッカーを目指すならそれを徹底的にやるべきだった。しかし、日本のパスサッカーは勝負をしない叩くプレーばかり。自分がとられないために、味方に預けるという逃げのパスばかり上手くなった。バイタルエリアで勝負する意識は薄く、チャンスメイクをやろうというプレーは少なかった。これでは点はとりようがない。それに対して韓国は、つなに長友と内田の裏を狙い続けた。サイドに起点を作り、オーバーロード状態で逆サイドに振るという効果的な戦術で日本を崩そうとした。それに対応できない岡田さんでは限界がきたという象徴的な試合だった。

――指宿合宿ではチームのベースアップと東アジア選手権の優勝を目標としていたが、それが果たせなかった理由、誤算は何か? またこの結果を招いてしまった自らの責任についてはどう考えるか

指宿で言ったベースアップということに関しては、もうちょっと(昨年の)元の状態に早く戻るかなと思っていたのが、1週間以上遅れたということでベースアップはなかなかできなかったかなと。ノーマルといえばノーマルなんですが、もうちょっと早くチームができるという予測はちょっと外れたと思っています。

それとともに東アジア選手権優勝ということを掲げて優勝できなかった。これに関しては先ほど言いましたように、これほど多くのサポーターに来ていただいてホームで勝てなかったことについて、本当に申し訳なく思っております。

それと責任ですが、これは何を言ってもいい訳になるので、批判は甘んじて受けないといけないと思っています。ただわれわれは、ここで足踏みしているわけにはいかないというふうに思っています。

――前に進むということだが、新しい選手もいないし、あとは欧州組が加わるだけ。これでどうやって前に進むというのか?

今のメンバーに新しい選手を入れ替えるとか、マジックがあるわけではなく、今のメンバーでもいいゲームができたことも十分にありました。その意味でチームというのは常に最高のパフォーマンスができるというわけではない。その中でプラス海外組、1人、2人新しい選手が入れば、前に進めると思っています。


今のメンバーでいいゲームができたのは相手がBチームとか格下だった場合だけ。今回は3試合ともひどい出来だった。そのことはシーズンオフだからという理由だけでは片づけられない。W杯本戦は日本はシーズン中だが、ヨーロッパは連戦が終わったシーズンオフなのだ。列強がシーズンオフを理由にW杯の低パフォーマンスを言い訳したことはない。岡田さんはそのことを言い訳に使った。これだけでも意識の差がある。それに記者はこのメンバーでどういういいサッカーをするのかもっと突っ込んで聞くべきだった。

――この大会で選手の対応力を目標に掲げていたと思うが、闘莉王が退場してからの選手の対応力をどう評価していたのか? また監督の方から何か示唆することはあったか

選手だけでの対応力といってもそれは無理なので、闘莉王が退場してからの戦い方ということで当然われわれもサゼスチョンはしています。ただこういうときに攻守で運動量の多い、両方できる選手という手が今日に関してはなかったので、その中でできる限りのわれわれの打つ手、というのはわたしの中で考えて選手に言いました。選手はその中で、点を取るために、あわててトップに(ボールを)入れても難しということは分かっていたと思います。ただやっぱり、ずっとこの大会というか1月から、ラスト3分の1でのゴールへ向かうところ、ちょっとかわしてシュートを打って、こぼれ球を拾ってというところはサゼスチョンし切れていなかった。というか、練習の中でもし切れていなかったな、とは思っています。

――ワールドカップ・ベスト4という発言がよく報道されているが、これについて反省しているか? また発言に選手がプレッシャーを感じているところはあるか(外国人記者)

その目標について変えるつもりはないですし、そのことによって選手、スタッフにプレッシャーを与えているとは思っていません。選手たちもその目標に向かってチャレンジしてくれていますし、われわれは可能性がある限り、それに向かってチャレンジしていくつもりです。

――後半、4本くらい決定的なコンビネーションがあったが最後のところで韓国人DFの足が出ていてカットされた。あれは韓国の守備が素晴らしかったのか、それとも日本に足りないところがあったのか?

韓国の守備が素晴らしかったのはもちろんですが、われわれは点を取るために人をかけるということをやってきています。そういう意味でもう1人、特に後半立ち上がりは良かったんですが、後半の途中から前に人が足りなくなったという感じを受けています。ボランチとストッパー、サイドバックが、相手がゾーンを作っている外にいる時間がちょっと長かったかなと。もう1枚、ゴール前に入っていかないと日本の場合、なかなか点は取れないと考えております。


結局のところ、岡田さんの考えるゴールのイメージはちょっとかわしてシュートを撃って、そのこぼれ球を押し込むというかたち。世界のトッププレーヤーがスーパーゴールと呼ばれるプレーをするイメージだ。そんな選手はひとりもいないにもかかわらず。それこそ、世界中から選手を招集しなければ岡田さんのサッカーは実現しない。そして、世界中から選手を招集したとしても、そのサッカーはつまらなくなるだろう。

この大会で3位ということで、W杯ベスト4という目標はライトファンにも無理だということがわかってしまった。日本は中村俊輔長谷部を除けばベストメンバー、韓国は8人ほど抜けている。絶対に勝たなければならない試合だったにもかかわらず、結果も出せず、試合内容もお粗末だった。

パスサッカーを目指すにしても相手に預けるばかり。トライアングルのパスワークはほどんど見られず。そういう練習をしていないのだから仕方がないが、そういう監督に率いられているのだということを再認識する必要がある。

――責任を取るということに関しては、ご自身が辞めるということも含めて責任を取るということもあると思うが、どう考えているか?

以前も言いましたように進退に関しては、契約上、勝とうが負けようが協会が権利を持っています。そのために会長や技術委員長が見ていると思います。わたしは選手がついてきている限り、選手だけを投げ出すことはできないと思っております。


岡田さんの言い訳は何度も聞いたが、結局のところ修正できていない。言うだけならいくらでも言うことができるのだ。一億円を超える年俸をもらっているのだから、イメージするサッカーをできるチームにするのが仕事ではないのか。できないなら潔く辞任すべき。やめないのは金にこだわっているからか。

――(合宿が始まった)1月25日から今日まで、選手たちの取り組む姿勢についてはどう考えているか?

選手たちは非常に高いモチベーションでやっていました。そしてチャレンジしてくれている選手もたくさんいました。そういう意味でも今日も選手が最後まで戦ってくれていたこと、これには本当にうれしく思っています。ただ自信をなくすとか、そういうことではなくて、僕は逆に、ここでこのチームにとって(今日の敗戦は)良かったのではないかと。ちょっと順調すぎるというか、いろんなゆるみが出ていたのは事実です。そういう中で、これでもう一度、選手たちにも危機感が出ますし、チームとしての危機感も出て、W杯に向けていい準備をしていけるんじゃないかと思っています。


結果至上主義ではないことをまず断っておかなければならないが、この韓国戦同じように負けたとしても決定機を何度も作り、惜しいシュートが何本もあって、撃ち負けたのなら岡田さん続投でも構わなかった。事実、オシムのサッカーでは結果につながらなかったとはいえ、チャンスメイクはかなり上手くできていた。最後のフィニッシュの精度は低かったが、選手全員が出し手と受け手の関係を理解しており、そういう動きをしていた。そのワクワク感が岡田さんになった途端に消えてしまった。サッカーとしては後退したと言っていい。後退を日本サッカー協会は許すのか。その部分を訊ねたいわけである。

試合後 韓国代表ホ・ジョンム監督会見
東アジアサッカー選手権2010 決勝大会
(スポーツナビ)

今日は選手たちが非常によく活躍してくれた。日本について多くのことを研究してきたが、それがうまく戦略として機能したと思う。選手たちが研究し、分析した内容通りに動いてくれた。今日は(韓国では)旧正月で、祭日だったので、熱烈に応援してくれた国民の皆さんに感謝したい。

――中国に敗れ、日本に勝ったわけだが、今大会をどう総括するか(韓国人記者)

今大会に参加したチームについてあれこれ言うつもりはない。われわれの目標はワールドカップ(W杯)なので、今大会を通じてW杯で何が通用するのか、競争力があるのか、そしてどの部分をより強化してどの選手を使うべきか、そういったことをテストする場だった。今のチームについて詳しく述べることはない。ただ、今日の日本は攻撃面で非常に強力だった。それに対して韓国の守備ラインが非常に安定した動きをしていた。今回のチームを土台として、W杯に向けて分析、研究をしていかないといけない。中国に敗れるなど不安定な部分もあったが、W杯に向けてテストしたり、挑戦したりすることができた。そういった意味で今大会はいい経験になった。

――日本を研究したという部分がディフェンス面に表れていたと思うが

右の内田、左の長友が非常に間接パスが多く、左の大久保が絡んでいた。その間接パスをいかに遮断するかというところで研究を重ねた。それについては選手たちは指示通りに動いてくれたと思う。

――W杯へのテストの意味合いが強かったということだが、新たに目にとまった選手はいるか(韓国人記者)

W杯の準備のための大会だったが、目標はあくまでも優勝だった。それができなかったのは残念だし、ファンの皆さんには申し訳なく思っている。W杯で活躍できそうな選手は多く発見できた。具体的な名前は挙げられないが、帰国したらKリーグを視察しながら最終的なメンバーを決めたいと思う。


「相手がどうあろうと自分たちのサッカーをするだけ」ということしか言わない岡田さんと、きちんと日本を研究するスカウティング能力とそれを生かす能力を持った韓国との差がでたということだろう。孫子にも「敵を知り、己を知れば、百戦危うからず」とあるが、岡田さんは自分たちしか見ていない。それでは試合に勝ちようがない。相手にとってはこれほど与し易い近視の監督はいないだろう。

「ギロチンマッチ」の行方 (1/2)
東アジア選手権 日本代表 1-3 韓国代表
(スポーツナビ)

「ギロチンマッチ」というのだそうだ、韓国のサポーターによれば。

「ギロチン」とは、言うまでもなくフランス革命の際に発明された、処刑を効率化するための「首切りマシン」のこと。要するに、この東アジア選手権の日韓戦に敗れたチームの監督は、多分に「クビを切られる」可能性がある、という意味らしい。

確かに日韓両国とも、現代表監督の地位が盤石かと問われれば、いささか心もとないと答えるしかないのが実情である。韓国のホ・ジョンム監督は、先の中国戦で歴史的は敗戦を喫し(何しろ1978年の初対戦以来、初めてのことだ)、その上、宿敵である日本に敗れたとなれば、もはや世論は許さないだろう。一方、日本の岡田武史監督は、昨年9月5日のオランダ戦以降、一度も敗れてはいないものの、ファンの不安と不満は募るばかり。その引き金となったのが、これまたスコアレスドローに終わった初戦の中国戦だった(今大会が盛り上がったのは、多分に中国のおかげである)。いずれにせよ、この日韓戦での敗残の将が、解任の危機に追いやられることだけは間違いなさそうだ。


なあなあで済ましてしまいがちな日本人と、何が何でも勝たなければならないという韓国人との性格の違いというべきか。世界でも占領したほうより、占領されたほうがサッカーでも勝負強いし、執念深く戦ってくる。

その意味では、岡田さんにかかるプレッシャーは少なかった。川淵前会長の解任デモを起こしたように、岡田解任デモでも起こすべきだった。そうしなければ、本戦で結果はでない。監督を代えたからと言ってよくなるという保証はまったくないのだが、今は岡田以外なら誰でもいいという状態であるのは事実だ。まあ、岡田より能力が高ければという条件がつくのは確かだが。

かくして日本のスターティングイレブンは、必然的にテスト度外視の「鉄板」な陣容となる。この日、岡田監督が選んだメンバーは以下の通り。

GK楢崎正剛。DFは右から内田篤人、中澤佑二、田中マルクス闘莉王、長友佑都。MFは守備的な位置に遠藤保仁と稲本潤一、右に中村憲剛、左に大久保嘉人。そしてFWは岡崎慎司と玉田圭司。思わず「岡ちゃん定食」と命名したくなるくらい、代わり映えのしないメニュー、もとい顔ぶれである。1月の合宿スタート時で「チームをベースアップさせる」と宣言しながらも、結局のところ少数精鋭でチーム作りをせざるを得ず、小笠原満男や平山相太といった新戦力にも信を置くことができない。それが、この3週間にわたる合宿で、岡田監督が出した結論だったようだ。

それでも聖地・国立という舞台で、久々にスタンドを埋め尽くした観客を前に(公式発表4万2951人)、宿敵韓国を打倒できるのであれば、何も文句は言うまい。監督のクビを懸けたこの「ギロチンマッチ」。見事に返り討ちにして、敵将に引導を渡すことができたなら、ここ3試合でのストレスを一気に払拭(ふっしょく)することさえ十分に可能だったはずだ。しかし何たることか、実はギロチンの刃はこちらの方に向いていたのである。


岡田さんはこの韓国戦でもその小心者ぶりをいかんなく発揮してくれた。小笠原はアピールチャンスを待っていたはずだが、ピッチに送り出されたのはいつものメンバー。例えば、中村憲剛が小笠原に代わったとしてもサッカーの質は変わるわけではない。中盤で小さくまとまってごちゃごちゃするだけ。高い位置でと言いながら、3センターハーフのような状態でプレーする。サイドに張るはずの大久保は真ん中でプレーしていた。それなら小笠原だろうが、中村俊輔だろうがまったく変わらない。だが、小心者ゆえにいつものメンバーしか選べなかった。

周知の通り、日本は1-3という屈辱的なスコアで韓国に敗れた。今さらながらに得点経過を振り返るのではなく、ここでは日本の敗因についてポイントを絞って言及することにしたい。敗因は3つ。すなわち、1)韓国が綿密に日本を研究していたこと、2)プランが狂ったこと、3)コンセプトに拘泥しすぎたこと、である。それぞれ見ていこう。

まず1)について。韓国のホ監督は、試合後に「日本について多くのことを研究してきたが、それがうまく戦略として機能した」と語っている。具体的には「右の内田、左の長友が非常に間接パスが多く、左の大久保が絡んでいた。その間接パスをいかに遮断するかというところで研究を重ねた」。要するに、アウトサイドで起点となるパスの出どころを封じることで、日本攻撃陣の脅威を排除したのである。また、守備面では決定的な場面で必ず足を伸ばし、ルーズボールは持ち前の球際の強さでマイボールにし、そして奪ったら直線的に相手ゴールを目指す。決して、難しいことをしていたのではない。が、戦略と意図は実に明確で、かつ徹底されていた。3点目のショートカウンターからのゴールは、彼らが目指していたサッカーが最高の形で結実したものだったと言えよう。

次に2)について。この試合はまさに誤算の連続だった。まず前半26分に、大久保が退き(キム・ジョンウのファウルを受けて左足を負傷したため)、代わって入ったのは香川真司。岡田監督は前半で、早くも最初のカードを切らざるを得なかった。その後、韓国に逆転されてから2分後の41分、闘莉王が1発レッドで退場。相手プレーヤーともつれて倒れた際に、報復的なキックを見舞ったところをしっかり主審に見られていた。1人少なくなった日本は、とりあえず稲本がディフェンスラインのカバーに回って前半をしのぎ、後半からは香川を下げてセンターバックのバックアッパーである岩政大樹をピッチに送り込む。これまた予定外の交代であり、ベンチの戦術的なオプションを著しく狭めることとなった。この点については、岡田監督に同情の余地はあったと思う。

ただし3)については、大いに不満が残る。指揮官が3枚目のカードを切ったのは、韓国に3点目のゴールを決められてから12分後の後半37分。しかも、玉田に代わって投入されたのは佐藤寿人であった。もちろん、昨シーズンのJ1で15ゴールを挙げている佐藤の得点能力について疑念を挟むつもりはない。ただし、裏のスペースに抜ける動きをことごとく封じられ、しかも残り時間が10分も満たない状況で佐藤に結果を求めるのは、あまりにも酷な話である。むしろ岡田監督は、従来のコンセプトをいったんリセットして、2点差とされた直後に高さのある平山を投入すべきだったと思う。グラウンダーでのパス回しが機能し切れていないのであれば、高さ勝負に活路を見いだすべきだったのではないか。だが岡田監督は、その考えを意固地に退けた。こうなると、敗戦は必然だったと言わざるを得ない。


両サイドのフルバックの上がりをいかにして押さえるかというのが世界のサッカーのスタンダードになっている。韓国はその基本を踏まえて、サイドハーフをワイドに開いて、長友と内田の上がりを押さえた。一方、日本はサイドアタックは長友と内田に丸投げ。サイドハーフもおかない布陣で韓国は両サイドを常に2枚で攻めることができた。この差は決定的なまでに違う。

大久保の怪我、闘莉王のレッドはオプションを狭めることになったのは事実だが、試合である以上いつでも起こりうること。この程度のアクシデントに対応できないのであれば監督など辞めたほうがいいのだ。スターターとして送り出したメンバーが間違っているのだから3枚の交代カードがあっても難しいが、玉田と岡崎が外に開いて、ボールを受けようとしたのを「サイドバックの上がりに蓋をすることになる」と解説した風間八宏の薄ばかぶりはひどいものだった。彼はPSVアーセナルを撃破したときに使ったFWを両サイドに開かせてアーセナルに対してサイドの有利性を作った戦術をまったく知らないのだろう。

平山の投入だったにせよ、佐藤寿人の投入だったにせよ、遅かったのは事実だ。

岡田さんは交代の時期を決めている節があり、ひとりめは何分、ふたりめは何分という感じでその通りにならないと駄目だと考えているイメージがある。サッカーというスポーツは生き物でプラン通りにはいかないにも関わらず。こうなってくると何かの強迫観念でもあるのかと疑いたくもなってくる。

試合後の国立は、韓国サポーターの『アリラン』と、日本サポーターの怒号やブーイングで溢れていた。かくして、第4回東アジア選手権は無事に閉幕。1位中国、2位韓国、3位日本、そして4位香港という最終順位となった。日本の3位メダル授与のセレモニーでは、再びブーイングの嵐。当然だと思う。この大会での優勝を目標に掲げていたのは、岡田監督自身である。しかも東アジア3位のチームの監督が、この期に及んで「(W杯)ベスト4の目標は変えない」などと大言壮語しているのである。常識的に考えるなら、もはや噴飯物以外の何ものでもないだろう。

かくしてギロチンの刃は、韓国のホ監督ではなく、日本の岡田監督に向かうこととなった。試合後の会見でも、進退に関する質問が出た。しかし当人の答えは「契約上、勝とうが負けようが協会が権利を持っています。そのために会長や技術委員長が見ていると思います」。では、犬飼基昭会長の見解はというと「新しい人はリスクが大きすぎる」。かくして「ギロチンマッチ」の結果は不問とされ、何事もなかったかのように岡田監督の続投が決まった。よほどのことがない限り、3月3日のアジアカップ最終予選、対バーレーン戦でも、意外性もワクワク感もない代表戦が繰り返され、そして試合後には「よくはなってきていると思います」というコメントを耳にすることになるだろう。

試合から一夜明けて、岡田監督の進退に関する議論が、さらなる高まりを見せるのは間違いないだろう。ここで、私自身の立場を明確にしておきたい。私の考えは「条件付きで続投に賛成」である。では、その「条件」とは何か。それは、4カ月後に迫った本大会での「ベスト4」などという無茶な目標設定を撤回し、新たな目標を掲げて日本のファンのコンセンサスを得ることである。その決断を下すのは、日本サッカー協会であり、犬飼会長である。もし「W杯ベスト4」を本当に目指すのであれば、今すぐにでも監督を代えるべきだ。しかし、岡田監督の続投を優先させるのであれば、ファンに納得してサポートしてもらえるような目標設定を新たに掲げ、広く理解を求めるべきである。

例えば「今回のW杯は、日本人の監督、スタッフ、選手を含め、日本サッカー界の叡智(えいち)を結集させてグループリーグ突破を目指したい。そのためのサポートをよろしくお願いします」と、犬飼会長が宣言したなら、サポーターも「よし、応援しよう!」という気持ちになるだろう。だが現状の「ベスト4」という目標は、あまりにも根拠に乏しい、抽象的な絵空事でしかない。

おりしも開幕したばかりのバンクーバー五輪で、女子モーグルのメダルに届かなかった上村愛子の涙を目撃した日本国民は、あらためて「世界4位がどのようなものか」を痛感している(余談ながら、上村の五輪初挑戦は98年の長野大会。くしくも同年、日本代表は初めてW杯に出場している)。上村の12年にわたるチャレンジを知り、その苛酷な結果を目の当たりにした者であれば、いかに岡田監督が語る「ベスト4」が説得力を欠いた目標であるか、競技の枠を超えて容易に理解できよう。


この限定条件でも岡田さんには難しいと考える。岡田さんのサッカーは何一つ変わらないサッカーだからだ。叡智を結集してもどうにもならない。それが見えてしまっているのだ。今目標を下方修正しても、その目標すら達成できない可能性が高い。それならリスクを冒してでも監督交代に踏みきるべきだ。

岡田さんに一億円も払うのなら、もっと可能性がある監督に同じ金額払う方がましだろう。外国人監督はマスコミとの関係を上手く築けないとか、オシムに要求したように中村俊輔と高原の起用は絶対でという阿吽の呼吸が出来なくなるのでという理由では噴飯ものとして言いようがない。

このままじゃW杯戦えない…88・6%が解任要求(スポーツニッポン)

【日本1―3韓国】韓国戦終了直後から「スポニチ・アネックス」で1時間限定の緊急アンケートを行ったところ、岡田ジャパンに対するサポーターの厳しい姿勢が浮き彫りになった。

「このままだと日本代表はW杯でどこまで勝ち進むと思いますか?」の問いに97・6%に相当する1232人が1次リーグ敗退と回答。岡田監督が目標に掲げる4強と答えたのはわずか3人で、優勝と答えた15人を含めても日本が4強以上に勝ち進むと期待しているのは1・4%の18人にすぎなかった。また岡田監督の去就問題に関しては88・6%に相当する1118人が監督交代を求めた。岡田監督続投派は6・9%の87人しかおらず、4・5%の57人が「もう少し様子を見る方が良い」と回答した。


緊急アンケート、86%が岡ちゃん見限った(サンケイスポーツ)

東アジア選手権最終日(14日、日本1-3韓国、国立競技場)日本(FIFAランク40位)は韓国(同49位)に1-3で逆転負け。1勝1分け1敗で大会初制覇を逃すだけでなく、過去最低の3位に終わった。

試合後、サンケイスポーツはスタジアムでサポーターに緊急アンケートを実施。86%の50人中43人が岡田監督のクビを要求するという厳しい結果になった。

東京・練馬区の国武昴之さん(28)=会社員=は「岡田監督では無理。解任でしょう。ショック療法をした方がいい」とバッサリと切り捨てた。選手交代に対しても「残り10分でなんで寿人(FW佐藤)なの? (身長が)小さいのばっかりにして、(1メートル90のFW)平山を呼んだ意味がない」と疑問を呈した。

大田区の田島尚紀さん(16)=学生=は「W杯4強の目標は大きすぎる。まずは1勝にすべき」と現実を突きつけた。

一方で、足立区の中沢吉晃さん(46)=会社員=は「ウチらが応援しないで誰がするんだ」と支持を訴えた。少数派でも信じているサポーターのために、立ち止まることは許されない。


こういうインタビューをするなら、日本サッカー協会主催で監督のプレゼンテーションを公開で行うほうがいい。岡田さんも解任前提ではなく、複数の候補者とともに、どういうサッカーをやり、どういう結果を残すのかをファンの前で喋ってもらう。その上で、もっとも日本のサッカーにあうと考えられる監督を選ぶ。協会が後任候補として招集できた候補の中で岡田さんがもっとも明確なビジョンをもっているならそれで仕方がない。だが、岡田さんはファンの心からも離れているのは事実。何もしないのでは裏切り以外のなにものでもない。

2 件のコメント:

どらぐら さんのコメント...

日韓両国にとっての「ギロチンマッチ」だと思っていたのですが、日本サッカー協会はそうは思っていなかったようで・・・。
今日になって改めて続投宣言をしたわけですが、これでW杯で結果を残せなければ、岡田監督は言うまでも無く、犬飼会長の責任問題に発展することは必至でしょう。
もっとも協会は、岡田さんに全責任を擦り付けてしまいそうな気もしますが・・・。

まあ将来の話はともかくとして、「協会は岡田監督を信頼し、全面バックアップします」だけでは、ファンの理解は得られないでしょう。

kiri220 さんのコメント...

>どらぐらさん

犬飼さんはあれだけ試合内容に文句を言いながら、結局リスクがあるからということで更迭を見送りましたね。
Number Webにもリスクって何だということを書かれていました。

本戦で3連敗して世界を驚かして赤っ恥をかくというリスクしか残っていないのですけどね。
岡田さんの続投と解任のリスクのどちらが大きいかというのはわかっていないのでしょう。

あるいはトルシエやオシムのように、コントロールできないことが怖いのかもしれませんね。