2010年2月12日金曜日

香港戦の苦戦の原因はミスなのか、采配なのか

East Asian Football Championship Matchday 4 Japan 3-0 Hong Kong @ National Stadium
Japan:Tamada 41,82,Tulio Tanaka 65

Netherlands 1/6 Cameroon 10/11 Denmark 6/5 Japan 9/4(William Hill)

William Hillによるグループステージ突破のオッズ。日本は最下位と考えられている。日本にベットすれば2倍以上になって返ってくる。

香港戦後 岡田監督会見
東アジアサッカー選手権2010 決勝大会
(スポーツナビ)

今日の試合に関しては自分たちのサッカー、テンポよくパスを回すサッカーをやろう、自分たちのリズムを取り戻そうとしたんですけど、前半はミスも多く、ゴールを取りにいくという肝心なところで意識が薄かった。後半の途中から遠藤を前めに出してから少しリズムが出始めたかなと。結果的にあと2点くらいは取りたかったんですけど。選手たちは最後まで点を取るために頑張っていたと思います。この2試合、ベネズエラ戦を含めて3試合、いろんな選手を試せて、次の韓国戦ではその中でもベストだと思えるメンバーで臨みたいと思っています。

――後半は稲本が入ってからサッカーの質が向上したと思うが

稲本を入れた時点でワンボランチにして遠藤を前に上げました。その意味で(リズムが出てきたのは)、わたしの言っていることと同じタイミングだと思います。

――ハーフタイムでどのような指示をしたのか? 平山を入れたことでどのような戦術変更をしたのか

前半、相手がしっかりと組織を作っている外側に、ストッパー2人、ボランチ2人、両サイドバック、というふうに6枚が相手の組織の外にいて、そこから中に(ボールを)入れてもどうしても前の人数が足りないと。もっと勇気をもって中へ入っていかないといけない。もっと前で人を動かせないといけない。要するに、ゴールを取りたいと思ったら前に行くだろう。パスを回すためにやっているんではない、パスを回すのは手段であると。もっとゴールを取りたいという気持ちをもってプレーしてほしい。一番大きなことは、そういうことだと言いました。

平山に関しては、前の人数を増やしたい、攻撃的な人数を増やしたいところで、今、前線、中盤では一番平山が組み合わせで適任かなということで、平山を入れました。


岡田さんに危機感はないようだ。中盤にはパサーばかりを並べて、点をとるのはFWの仕事というのはあまりにも無責任だろう。大久保中村憲剛もクラブではあれほどゴールに絡む動きをするのに日本代表だとまったくよさが見えてこない。遠藤中心のチームにしたために、誰もが遠藤に遠慮しているように見える。遠藤だってオシムのときにはゴールに向かって走っていたのだ。その遠藤はほとんど動かず、天皇杯で見せたゴールに絡む動きも見られなかった。岡田さんにそのことを指摘する人も誰もいない。

――ゴールを取りにいく気持ちを闘莉王が前面に出していたが、センターバックがそういうプレーをするというのは得策だと思うか?

前半のような展開のときに、メンバーを変えずに点を取りたいと考えたときに、わたしのシミュレーションにもあったんですが、今野をストッパーにして闘莉王を上げてワンボランチにする方が、得点する可能性は高かったかもしれません。しかし今回は、われわれのサッカーをやるということで、そういう手は打たなかったということがひとつ。闘莉王にそれだけ得点能力があるということは、誰もが認めるところだと思います。彼が攻撃参加することについて、わたしは「ブラジルのルシオのようなプレーをしてほしい」と。攻撃に参加するのは彼の特徴です。しかしそのリスク(を考え)、(ディフェンスラインに)帰るときには全力で帰ってきてほしい。そういうことを理解した上で、少し(前に)行き過ぎていたかもしれませんが、当然彼も、相手のレベルやバランスを考えていたと思っています。

――ゴール前の迫力ということを繰り返して言っていたが、今日の前半はゴールへの意識が薄かった。そのあたりでジレンマを感じているか?

チームを作っていくのはジレンマの連続です。よく言うのが、横への揺れと縦への揺れがあると。横への揺れというのは、パスをつなごうとするとゴールへの迫力がなくなる。ゴールへの迫力を出そうとすると、前へ早くなる。ただ、この揺れというのは必ず必要なことで、その揺れというのが徐々に小さくなるのがチーム作りで、一気に小さくすると両方失う可能性があります。それと縦への揺れということでは、選手もそうですけど、チームというのはずっと右肩上がりにはできません。必ず波があって、それで全体として上がっていく。上に上がっていかない場合は、もう一段上に上がるためのステップだと。そこは指導者の我慢のしどころで、ジレンマというものはチーム作りの中で当然起こることだと思っています。


岡田さんの言っていることは意味不明だ。ゴール前の迫力というのはFWの力強さなのか、人数なのかわからないし、横への揺れと縦への揺れという意味もわからない。抽象的なことを言って煙に巻こうというつもりはないのだろうが、岡田さんの中でどういうサッカーをしたいのかがこなれていないような気がする。

パスをつないでいてもゴールへの迫力があるチームはたくさんある。パスで崩してゴールを奪おうという意識が選手にあるからだ。日本代表がパスをつなぐときに迫力がなくなるのはゴールに向かう意識がないからだろう。パスが崩しのパスになっていないのだ。ただ、ポゼッションのためのパスならいくらでも相手は持たせてくれる。一発のパスで乱すことしか頭の中にないから、こういうわかりにくい表現しかできないのだろう。

試合後 香港代表キム監督会見
東アジアサッカー選手権2010 決勝大会
(スポーツナビ)

ベストを尽くしたが今回も得点できなかった。香港の市民におわびしたい。今回は若い選手に経験を積ませようと思った。組織的には良かったが、セットプレーにはまだまだ弱い。ただ、チームにとっては非常に良い経験になったと思う。

――韓国と日本、両チームと戦ってみて違いをどう考えるか?(韓国人記者)

韓国はボールを奪ったらすぐにシュートに結び付ける動きをする。日本はボールを取ったらビルドアップする傾向がある。ただし、そうした違いがあっても、両チームとも非常に質が高かった。特にセットプレーはどちらも強かった。

――昨年から日本と対戦して、0-6、0-4、そして今回は0-3だった。失点の違い以外にパフォーマンスが向上した部分はあるか?

失点は減ったが、まだまだ日本とは実力的な開きがある。個人的には、前回の香港での試合の方が良かったと思う。あの時はきちんとサッカーができたが、今回は守ってばかりで、ボールを奪ったと思ったらすぐに失うという場面が多かった。

――次の中国戦に向けて、さらなる改善は望めそうか?(香港記者)

守備的な面では、韓国戦よりも今日の試合の方が良かった。中国戦では何とかこちらもゴールを決めたい。

――天候はパフォーマンスに影響を与えたか?

われわれにとって今日のような天候は厳しい。雨が降って、風も強くて、気温も低かった。もう少し天候が良ければ、もっといいパフォーマンスになっていたと思う。


香港は若手を試すだけの余裕があったということだ。チーム作りを常に考えているのだろう。ここにも岡田さんとの差が見える。岡田さんは香港相手でもベストメンバーに近かった。

本戦まで4カ月を切っているからメンバーを固める時期だというエクスキューズは通用しない。岡田さんはずっとベストメンバーで戦ってきたのだ。バックアップメンバーは多くのポジションで不安がある。内田、長友、駒野、徳永と枚数が揃っている両サイドのフルバックはともかく、中澤、闘莉王に続くCBはほとんどテストしていないし、中盤のサイドアタッカーは試してもいない。攻撃のかたちは常に中央突破で、サイドアタックはライトバックとレフトバックに丸投げ状態なのだから。

こんないびつな状態では本戦のグループリーグ突破の確率も最下位扱いされても仕方がない。

「コンセプト度外視」という発見 (1/2)
東アジア選手権 日本代表 3-0 香港代表
(スポーツナビ)

何となく面倒くさいけれど、優勝できないと悔しい。東アジア選手権とは、端的にいえばそういう大会なのだと思う。ワールドカップ(W杯)イヤーの今年、わざわざ本大会に出場しない中国や香港と対戦することに、果たしてどれだけのメリットがあるのか。だったらカメルーンやデンマークにタイプが近い国を招いて親善試合を行う方が、よっぽど代表の強化につながるのではないか。大会前、そう思っていた人は少なくないと思う。私自身、当初はそう考えていた。少なくとも中国戦が終わるまでは。

周知の通り、日本は6日に行われた初戦で中国と0-0で引き分けた。2日のベネズエラ戦に続くスコアレスドロー。オフ明けでコンディションが整っていないとはいえ、4カ月後の本大会に向けて大いに不安を残す結果であった。試合後はささくれ立ったブーイングに包まれ、ネット上では「岡田武史監督の去就」をめぐる議論があちこちで見られるようになった。チームを率いて2年。これまでにも何度か世論の逆風を受けている岡田監督だが、今回ほど激しいものはなかったはずだ。一方でスタンドの空席は、もはや隠しようがないくらいに目立つようになり(2試合続けて3万人を割り込んだ)、この厳しい事態に関係者の誰もが危機感を募らせることとなった。

そんな中、東アジア選手権は思わぬ盛り上がりを見せる。何と中国が、韓国に3-0で勝ってしまったのだ。1978年の初対戦以来、これまで中国は韓国に対して25試合未勝利(FIFA=国際サッカー連盟の公式サイトによると0勝8分け17敗)で「恐韓病」という言葉があったくらいだ。その中国が、韓国に圧勝してしまったのである。確かに初戦の中国は、2年前と比べて新世代が台頭し、非常に高いモチベーションとディシプリンにあふれたチームであった。対する韓国は、決してベストメンバーではなかったとはいえ、どこかに相手に対する侮りがあったのかもしれない。はっきり言えることは、中国の予想外の躍進によって「面倒くさい」大会は、いつしか「優勝しなければならない」大会へと変ぼうしていった、という事実である。

いずれにせよ、これで中国が決して弱い相手ではなかったことは証明された。そして韓国は、日本との最終戦に是が非でも勝利しなければならなくなった。そうして考えると、ランキングに関係なく、常に全力で競い合う隣国同士による公式戦は、これはこれでW杯本大会に向けた立派なシミュレーションであると言えるのかもしれない。


中国韓国に3-0で勝利したことで、日本にとって韓国戦は「絶対に負けられない戦い」になったことは確かだ。もし負けるようなことがあれば、ファンによる岡田解任要求は大きな声となって日本サッカー協会に押し寄せるだろう。中国に引き分けただけであれだけブーイング。香港戦でもブーイング。韓国戦で負ければ、怒号が飛び交ってもおかしくない。

そんな岡田監督だが、当初はこの大会で「できるだけ多くの選手を試したい」と語っていた。もしかしたらこの香港戦で、センターバックのバックアッパーである岩政大樹を加えた守備陣の連係をチェックすることも考えていたかもしれない(キャップ数ひとケタのセンターバックを、ぶっつけ本番で起用するリスクなど誰も冒したくないはずだ)。だが、先の中国戦が引き分けに終わったことで、こうしたプランは一挙に吹き飛んでしまう。かくして、この日のスターティングメンバーは、このようになった。
 
GK楢崎正剛。DFは右から内田篤人、中澤佑二、田中マルクス闘莉王、駒野友一。MFはボランチに遠藤保仁と今野泰幸、右に中村憲剛、左に小笠原満男、トップ下に大久保嘉人。そしてワントップに玉田圭司。初戦の中国戦からは3人の選手が変わったが、岡崎慎司は右ひざの痛み、長友佑都は体調不良で、いずれもベンチ外。よって、小笠原が稲本潤一に代わって入った以外は、ほぼ「いつものメンバー」となった。
 
おそらくこの「いつものメンバー」は、岡田監督にとって、最も安定感があり、最も計算しやすい11人なのだろう。だが見る者にとっては意外性に乏しく、いささか食傷気味な顔ぶれであることも事実だ。昨年、代表戦に10試合出場して1ゴールを挙げただけの玉田、そして08年11月13日のシリア戦以来、ずっとゴールに恵まれていない大久保。指揮官はなぜ、そんな彼らをこれほどまでに重用するのか。逆に、やや茫洋(ぼうよう)としているものの、それでも何かをやってくれそうな平山相太を、なぜスタートから使おうとしないのだろうか。「W杯ベスト4」という壮大な目標を掲げながら、そのくせ選手起用はいつも常識的で小ぢんまりとしている。こうしたイメージと現実の乖離(かいり)は、このまま本大会まで続いていくような気がしてならない。


そう、いつものメンバーなのだ。このいつものメンバーではいつものサッカーしかできず、そしてファンから面白くないとそっぽを向かれている。それが理解できない岡田さんはどんな相手でもいつものメンバーを並べ、いつものサッカーをしようとする。そして、強い相手には負けて、弱い相手にしか勝てない。

こう考えると岡田さんは小心者で臆病じゃないのかとしか思えなくなる。責任問題を持ち出しながら中国とゴールレスで引き分けるとあっさりその言葉を撤回した。小心者ここに極まれりである。

ボールポゼッションでは、日本65・7%に対して香港34・3%。シュート数では日本22本に対して香港1本。これだけ相手を圧倒しながら、スコアが3-0というのは、いささか寂しい気がしないでもない。とはいえ、まずは久々に勝利したこと、そして形はどうあれスコアレスのトンネルから脱したことは評価してよいだろう。それともうひとつ、あまり新味のない顔ぶれの中で、効果的な攻撃のオプションが見られたことも「発見」のひとつに挙げてよい。それは闘莉王の強引な攻撃参加であり、(得点にこそ結びつかなかったが)平山の飽くなきゴールへのチャレンジである。

このうち闘莉王について岡田監督は、その得点能力は認めながらも「(ディフェンスラインに)帰るときには全力で帰ってきてほしい。そういうことを理解した上で、少し(前に)行き過ぎていたかもしれない」とくぎを刺すことを忘れなかった。実際、ポジショニングについては、ブラジル代表DFの「ルシオを見習うように」とも語っていたようである。しかし当の闘莉王は、指揮官の意思は尊重するものの「僕は自分のやり方を磨くだけ」と、あくまでも自分の考えを曲げるつもりはない様子。実際、この日のプレーからは、ある種の確信犯的な決意が強く感じられた。コーナーキックからの2点目は、まさに不退転の決意から生まれたものである。確かに、戦術面での整合性からは逸脱するプレーだったかもしれない。が、今の代表にはこれくらいの貪欲(どんよく)さがあってよい――そんな感情を抱かせる、まさに魂のこもったゴールであった。

平山については、闘莉王ほど確信的ではなく、むしろ「無我夢中」という言葉の方が適切だったような気がする。それでも彼の投入後は、日本の攻撃がいい意味でシンプルになった。後半、攻撃的なポジションから何度もチャンスを演出した遠藤も「キッカーからすると、大きい選手がいると狙いやすい」と語っている。これまた、岡田監督が目指すサッカーからはかけ離れた、単なるオプションでしかない。それでも、平山投入が攻撃陣の活性化を促したことは衆目の一致するところであろう。

いやむしろ、従来のコンセプトに拘泥していた中国戦や香港戦の前半の戦いぶりに、どれだけ本大会での成果をイメージすることができただろうか。平山がスターティングメンバーに名を連ねないのは、指揮官の「コンセプト」のこだわりに起因するところが大であったと思われる。しかしながら、今回の香港戦に関しては「コンセプト度外視」のプレーや選手起用が、結果として停滞していたチーム状態を活性化させている。その意味で岡田監督には、決して素直に喜べない皮肉な結果であったのではないか。


昨日の香港戦で日本代表の試合で常にゴールに向かう意識を持っていたのが、闘莉王と平山だった。闘莉王の思い切りのよさは香港のゴールを脅かしたし、平山はなまくら刀ではあったけれども必死にボールに向かっていた。だが、遠藤、小笠原、中村憲剛といった中盤の選手たちはシュートを撃つという姿勢はみられなかった。FWは決める人、MFはパスを出す人というコンセプトを忠実に守っていたように見える。

だか、そのために攻撃陣が空回りしていたのは事実だ。玉田の2ゴールは相手ミスとポジショニングの妙だったが、それ以外に玉田に決定機が訪れることはなかった。平山、闘莉王には決定機が多くあったが、そのパスを出したのは中盤ではなく、彼らの動きだったのだ。

最後に、この日の入場者数について言及しておきたい。

日本代表戦では、いつも後半の途中に、その日の入場者数を発表している。ただし発表には2通りあって、満員御礼だと「たくさんのご来場、まことにありがとうございました!」と高らかなアナウンスで数字を読み上げるのだが、そうでない場合は電光掲示板に数字を表示するだけでアナウンスはなし、というのが恒例となっている。実際、ここ2試合は3万人を下回る数字だったこともあり、アナウンスはなかった。とはいえ、さすがに気温3・6度、氷雨が降り続く屋根なしスタジアムに訪れた観客に対して、無言で済ませるわけにはいかなかったのだろう。この日は久々に「ご来場、まことにありがとうございました!」のアナウンスを耳にした(もちろん「たくさんの」という表現はなかったが)。

ちなみにこの日の入場者数は1万6368人。国立競技場での代表戦の入場者数としては、Jリーグ開幕以来の最低の数字である。それでも今は、これほどの劣悪なコンディションの中、1万6368人もの観客がスタンドに集い、代表に声援を送ったことをむしろ重視すべきであろう。その意味で、不本意な数字を発表した上で、きちんと感謝の言葉を伝える判断をしたことは純粋に評価したい。代表人気は、もはや疑いようもなく凋落(ちょうらく)傾向にある。ここから盛り返すためには、この日スタンドに来てくれたコアなファンの思いをくみ取るところから、まずは始めるべきだろう。前回のコラムでは「ライト層を大切に」と書いたが、だからといって、こうしたコア層をないがしろにしてよいわけではもちろんない。今後はライトとコア、それぞれに対するケアが求められよう。

いずれにせよ、ライトであれコアであれ、ファンが最も渇望するのは勝利であり、タイトルである。その意味でも、日曜日の対韓国戦は、とことん結果にこだわってほしい。今回の東アジア選手権は、これまで以上に「結果が求められる」大会である。


それなりにリーズナブルな値段になったとはいえ、相手が香港、中国戦での低パフォーマンスのあとでは見に行く気は失せる。それでも1万人を超える観客がいたことには驚きである。ヨーロッパ列強ではこんなに入らないだろう。

5万人の半分も集まったというのはすごいことでもあり、そして、日本代表を応援するコアなファンはどんな試合を見せられても平気なのかという気持ちがしないでもない。

もしかして、岡田さんにブーイングをするためだけに集まったのかという勘ぐりもできるわけだ。

3発じゃ足りない!お寒い日本にまたブーイング(スポーツニッポン)

岡田ジャパンがまたブーイングを浴びた。東アジア選手権に出場している日本代表はFW玉田圭司(29)の2得点などで香港代表に3―0で勝利。勝ち点4とし、中国代表と並んで首位に立った。しかし、格下相手に不満の残る内容で、試合後には観客席からブーイングが起こった。日本代表は14日に韓国代表と対戦する。

もう当たり前の光景になった。試合後の岡田監督のインタビュー。直後にサポーターからブーイングがわき起こった。勝って当然の格下香港を相手にホームで3―0。相手のミスから奪った1点とセットプレーからの2点。流れの中で相手を崩したゴールはなかった。冷たい雨の中、集まったサポーターが不満を爆発させるのも当然だった。

「日本らしいサッカーを取り戻そうとしたが、前半はイージーなミスが多く、ゴールへの意識が足りなかった。ただ後半途中に遠藤を(攻撃的MFに)上げてからリズムが出てきた。あと2点は取りたかったが…。選手は頑張ってくれた」

岡田監督は淡々と振り返ったが、状況に臨機応変に対応できない選手だけが問題ではない。格下相手なのに先発ボランチは守備が持ち味の今野。攻めあぐんだ原因は選手起用にもあった。

指揮官はハーフタイムに「ゴールを取りにいくなら前に行くだろう。パスを回すのは手段。ゴールをとりたいという意識を持て」とゲキを飛ばした。それでも、チームは機能しなかった。後半17分に稲本を投入して1ボランチに変更。やっと良いテンポでボールが回るようになった。

DF闘莉王やMF今野の決定的ヘディングシュートがクロスバーを越えるなどフィニッシュの精度も低かった。昨年の対戦時には6―0、4―0で大勝したが、当時のようなゴールラッシュにはほど遠い。場内に響くのは歓声より失笑、ため息、怒声ばかりだった。

首位に浮上したものの、14日の韓国戦で大量得点を取って勝たなければ初優勝は厳しい状況。負ければ指揮官の進退問題が浮上しかねない。「チームは右肩上がりに(調子が)上がっていかない。必ず波がある。指導者として我慢のしどころ」と厳しい表情で話した岡田監督が、正念場を迎えた。


もしかして、W杯フランス大会に初出場したときの気持ちを忘れているのかもしれない。あのときは本戦に出場できるだけで嬉しかった。3連敗後には一部のファンが成田空港で城彰二に清涼飲料水をかけるということもあったが、多くのファンは出られただけでも喜んでいた。

それからわずか12年後。日本はベスト4にならなければおかしいという状態になりつつある。マスコミの解説者は誰も否定しない。可能性はあるというだけだ。岡田さんのサッカーを否定せず、選手に問題があるように喋る。

一方、ファンはもっと現実的だ。このままでは3連敗もありうるとして、岡田更迭を求めている。サッカーの質は岡田さんに責任があるというわけだ。

この乖離が大きいということが問題なのではないか。

2 件のコメント:

どらぐら さんのコメント...

遠藤、小笠原、憲剛。
それぞれ所属クラブには優秀なパスの受け手がいるので、パスを出せば彼らがなんとかしてくれるし、
相手守備陣がFW陣を警戒すれば、意表をついてミドルシュートなど打つこともできます。
しかし、代表では受け手に問題がある、あるいは受け手となる選手自体が少ないので、彼らの良さが最大限発揮できていないように思います。
だからパスは回れど、得点が奪えない状況が続いているのではないでしょうか。

「W杯ベスト4」という言葉は度々用いられるわけですが、皮肉ならまだしも、そうでないならもう言わないでくれとさえ思うことがあります。
サッカーを知っている人からすれば失笑モノですし、知らない人は本気に思ってしまう危険もあるわけですから。

kiri220 さんのコメント...

>どらぐらさん

遠藤、小笠原、中村憲剛。
それぞれの所属クラブには一発のパスでゴールを決めてくれる優秀なストライカーが存在しますね。
日本人じゃないところが残念ではあるのですが。
一発に慣れているのはそのせいかとも思いますが。

受け手がいないというのは招集でバランスが悪いのでしょう。
オシムのときには受け手がきちんといたのに、今はいないですからね。
決まるかどうかは別としてオシムのときのほうがチャンスの数も多かったですから。

ベスト4で岡田さんは首を絞めている感覚があります。
1勝のために頑張っているといえば、マスコミ受けはしなくても、ここまで叩かれなかったのではないかとも思うのですよね。
それでも、就任のときにがっかりしたのは事実なのですけどね。

たしかにベスト4については、サッカーライターの方は皮肉に使っていることが多いですね。