Korea Republic:Park Ji-Sung 6,Park Chu-Young 90+1
韓国戦後 岡田監督会見
キリンチャレンジカップ2010(スポーツナビ)
前半、相手が非常にいいプレッシャーを掛けている中で、なかなか中盤でパスが回らずそこからカウンターを受けると。そこは何とか防げたんですが、サイドバックがボールを持ったときになかなか前に出せずに横パス、バックパスが多くて、なかなか(相手の守備)ゾーンの中に起点が作れませんでした。うちは前半0-0というのが目標だったんですが、なかなか先制点を取られると厳しい、(相手に)守りを固められると。その中でヘディングのこぼれ球から(ゴールを)入れられました。後半になって(スペースが)空いてきたときに(パスを)回すなら可能なんですが、これからは前半ある程度、守備的な選手でやって、後半に攻撃的な選手を使うとかも考えないといけない。そういう戦い方も視野に入れないといけないかなと今日の試合では感じていました。1年に2回も韓国に負けて申し訳ないと思っていますし、当然、責任問題を言われるのも感じていたので(犬飼会長に)尋ねてみましたが「やれ」ということだったので、前へ進むしかないと思っております。
プレッシングを仕掛けて失点したことがないと豪語していたのは誰だったのか。オランダに完敗したときにプレッシングを続けるサッカーを90分継続できればと大言壮語したのは誰だったのか。
プレッシャーをかけると弱いというのはカタール代表監督のブルーノ・メツが指摘したことだが、その弱点はワールドカップ開幕直前になっても修正されず。韓国相手の壮行試合でいいところなく敗れてしまった。
負けたことは問題ではない。どんなに強いチームでもいつかは負けるのだし、課題が出たのはいいことだ。だが、その課題は昨日の試合で初めて出たものではない。毎回同じような展開で苦しみ、そして敗れるべくして敗れた。攻撃から守備への切替、守備から攻撃への切替というトランジションの問題もよくなく、ゴールに向かうのは単発。岡崎や中村俊輔はなぜそこにいるというくらい低くポジションをとり、遠藤に至ってはほとんど走っていないのではないかと思われるくらい運動量がなかった。
オシムの時代、考えながらプレーするというサッカーをしていた選手たちが、岡田になってあっという間に劣化。戦えるはずだった集団は個人の力で何とかしなければならないバラバラのチームになってしまった。
岡田さんが進退伺いを出したというのは単なる逃げだろう。このままでは本戦での3連敗は見えている。みずからぶちあげた「ベスト4への道は見えている」というのも幻想だとわかってしまった。もう何もできることはない。自分がいい子になるためにはここで辞任するしかない。そういうふうに思えるのだ。
辞任の機会はいくらでもあったにも関わらず、なぜこの瞬間なのか。それは岡田さんが自分の立ち位置をはっきりわかっていなかったからではないのか。
そして、日本サッカー協会の犬飼会長は続投を命じた。これでは特攻と同じである。まったく効果はあがらないまま才能は枯渇していく。
――攻撃の連動性が見られなかったが、限られた時間の中で打開策は? また進退伺いは自信がなくなったということか
こういうインターナショナルマッチで、きれいに後ろからビルドアップして崩していけるというのは、本当に限られたことだと思います。韓国のように、トップに(ボールを)入れてそこからこぼれ球を拾っていくということができればいいんですが、うちの場合なかなかそういう攻撃ができないということで、中盤のところでひとつ相手の組織の中に入っていく、それはプレッシャーが緩くなったときに入っていけたら連動性ができるというふうに思います。それから自信をなくしたとかそういうのではなくて「続けていいんですか? 会長もいろいろ言われますよ」という感じで聞いたんです。
モダンサッカーでプレッシャーの少ない場所はサイドしかない。メンバー選考でサイドアタックを捨てた岡田さんには勝ち目はないということを宣言したにすぎない。中央は守りを固めている。チャンスらしいチャンスは大久保のシュートと森本のシュートだけ。たらればだが、あれが決まっていたら、韓国はもっと本気になっていた可能性がある。韓国はかなり勝ち点3の戦い方を意識して、セオリー通りに戦っていた。
岡田さんの言い訳はもう聞き飽きた。もう修正できないのもわかっている。期待できない本戦というのは日本抜きということで楽しむしかないのだろう。
――対戦相手を考えたときにカメルーンはそんなにプレスを掛けてこないのではないか? また中に入るのが難しいときには、カウンターが攻撃の中心になるのか(田村修一/フリーランス)
カメルーンの試合を見たら3チームの中では一番前から追いかけてくるかなと思っています。オランダとデンマークは、ある程度ブロックを作って待っているという感じだと思っています。そういうときに前半の立ち上がりから(相手の組織の)中に入っていくのは、今日のようにまだまだ中盤でインターセプトされる可能性が高いと。いろんな方法があると思います。前半の戦いを徹底して(中へ)入ってからそういう戦い方をするか。そういう(守備的な)メンバーで前半やるとか、それをこれから、いろいろな可能性を考えていきたいと思います。
日本はプレスをかけるとミスを連発するということは研究され尽くされているだろう。先制点を奪えば日本には取り返す力はない。序盤の15分でゴールを奪えれば、あとはコントロールしながらカウンターを狙っていけばいい。カメルーンだけじゃなく、オランダもデンマークもプレッシングサッカーをきちんとやってくる。今は守備ブロックのセオリーを守っているだけで基本は攻撃サッカーだ。そのことが理解できず、守備的なメンバーでと言っている段階でおかしいという指摘ができないのか。
――闘莉王が外れた理由は? 大久保は右ひざを痛めたのか? また中村俊の交代について
闘莉王は、2週間前から右もも裏の張りをずっと感じていて、取れるだろう取れるだろうと思ったら取れなかったということで、昨日MRIを撮りに行かせて炎症があるというので今日は外しました。それから大久保は、今のところ打撲だと聞いています。それから交代した、俊輔、本田、遠藤はみんなコンディション的な問題で代えました。まだ万全のコンディションではないので、途中でかなり落ちてきたので代えました。
――この試合で攻守ともにチェックしたいと言っていたが、どれくらい達成できたのか
昨日の会見で話しましたように、うちはカウンターとロングボールからの失点が大半を占めるということで、カウンターに関しては今までは両サイドバックを上げていたのを今日は1人だけ逆サイドに残そうということでやっていました。それに関してカウンターを受けたときに最後、何とかカバーリングはできていたかなと思っています。ロングボールに関しては、今まで高いラインで駆け引きして、裏へ落とされて走り負けるということが結構多かったので、後ろのしぼりとボランチの(セカンドボールの)拾いを言っていましたが、今日はロングボールに対してボランチが競るところがあって、ボランチが下がりすぎていたので反省をしています。攻撃に関しては、クロスの狙い目、2列目の飛び出しというところだったんですけど、先ほども言いましたように、中に起点ができずに外からというのもなかなか難しくて、いいクロスも2本だけしか上がらなかったかなと。そういう意味では、クロスを狙いにいく前のところ、サイドバックが持ったところから、一度前で起点を作るというのが、クロスの狙い目自体よりも問題だったかなと思っています。
コンディションの問題というのはどういうことなのか。ロシアから帰国したばかりの本田圭佑はともかく、中村俊輔、遠藤はJリーグのシーズン中。コンディションは整っていなければならない。怪我があるなか使ってしまったということなのか、それとも怪我人を使うしかないほど人材不足なのか。
カウンターとロングボールに関してはもう岡田さんの戦術無知を笑うしかない。守備のセオリーができていないからこういう目にあうのだ。もうお話にならない。なせ、斜め後方にポジションをとってカバーをする。前を向いたボールホルダーに向かっては飛びこまない。守備には素早く帰って、カバーリングをしっかりするという基本ができていないのか。本戦で戦うという以前の問題ではないか。
迂闊に飛びこむから攻撃が加速する。そうするとひとり少ない状況で対峙することになる。さらに飛び込み、加速されてカバーリングもできていない。それはカウンターではなく、守りのミスだ。おそらく、岡田さんは守りのミスではないと考えているだろうが、本当にミスばかり繰り返して失点しているのだ。
韓国は選手の背後からプレスをかけていた。前を向いたときには飛びこまなかった。日本は逆だった。その差がでてしまった。それだけの結果だろう。
「力をください!」
日本代表 0-2 韓国代表(スポーツナビ)
もっとも、同じ会場、同じ天気、同じ壮行試合でも、4年前と今とではいくつかの大きな違いがある。まず、当時はW杯メンバー23名発表の前に国内最後の試合が行われたこと。対戦相手はW杯出場国ではないスコットランドで、しかもキリンカップというタイトルマッチでもあったこと(もう1チームはブルガリア)。そして何といっても一番の違いは、当時の代表をめぐる言説は、驚くほど楽観に満ちていたことである。この試合の直前には、世界的なファッションデザイナー、山本寛斎氏プロデュースによる壮行イベントが行われ、お笑いタレントや芸能人をワイヤーでつるしてみたり、龍虎の顔をかたどった巨大な気球を出現させたりと、何とも勇壮で能天気な光景が繰り広げられていた。今にして思えば、当時の代表を取り巻く多幸感を象徴するようなイベントだったと思う。
4年前の壮行試合と比べると、今回の場合は南アフリカに赴く23名はすでに決まっており、ファンの大半は「われわれの日本代表」に対して、気持ちを切り替えて応援モードに入っている。対戦相手がW杯出場国である韓国というのも「これから本番」という雰囲気を醸成する意味では、決して悪い相手ではないと言えよう。しかも日本にとっては、先の東アジア選手権でホームで1-3と敗れている宿敵。この試合の勝ち負けが、本大会で直接的な好影響を与えるとは思えないが、どんな形であれ5年ぶりに韓国に勝利できたなら、代表に対する冷めた空気に変化が起こることは間違いない。さすがに4年前のような熱気には届かなくとも、W杯に向けて国民レベルで応援しようとするトリガー(引き金)となるのではないか。
そこで気になるのが、この試合における岡田監督のプランである。極端な話、この試合で敗れても、もはや首が飛ぶリスクはないはずだ。東アジア選手権でも、そしてアジアカップ予選のバーレーン戦でも、いずれも進退を懸けた余裕のない戦いを強いられてきた指揮官にとり、この壮行試合は勝敗を度外視した、さまざまな試行錯誤が可能となる。問題は、この試合がW杯に向けた壮行試合で、しかも対戦相手が宿命のライバルであること。このテンションの高い状況下で、岡田監督はどんなサッカーを実現できるのだろうか。
W杯ドイツ大会の直前、あまりにも楽観的だった。黄金世代が揃った日本。オーストラリア、クロアチア、ブラジルと同居したグループでもブラジル戦までにはノックアウトラウンド進出決定という報道がほとんどだった。ジーコの批判をする専門家はほとんどおらず、個人のブログでもジーコを批判すると非国民として攻撃された。別のサイトでやっていたぼくのブログも炎上した記憶がある。
だが、あれから4年。ドイツで痛みを知ったファンは世界との差を知ってしまった。今、ベスト4を本気で信じているファンはほとんどいないだろう。メディアも楽観論を流しているがファンとの間に感覚の乖離がある。もう岡田さんでは勝てない。日本代表には興味を持てないというファンが増えている。
勝てなければサッカーの人気が低迷するというのも困ったものだが、日本はそういう流れになっている。サッカーが本当に生活の一部になっていないからだろう。日本よりもワールドカップ本戦に出られなかった国のほうが盛り上がっていたりするのだから。
その中で韓国戦というのは絶好の試金石だった。国内組で完敗した相手にどう戦うのか。修正できているなら問題はないが、今まで修正出来なかった岡田はそのまま無能をさらけ出すのではないか。そういう想いもあった。結果は言わずもがな。世界と戦える力がないことは証明されてしまった。
■テーマは「どこまで韓国に通用するのか」
韓国代表は強いチームだと思いますし、そういうチームとやる中で、われわれがチェックしたいのは2~3点あります。今までのチームには通用したけれど、韓国に対して通用するのか、そのポイントを一番重要視しています」
前日会見で言及した2~3のポイントのうち、最も指揮官が重視しているのは、おそらく守備面についてであろう。昨年、W杯予選を突破してから、日本は本大会出場を決めているチームと5チームと対戦し、そのうち南アフリカを除く4チームからいずれも3失点を食らっている。さらに、逆転に成功したのはガーナ戦のみ。相手に先制された際の反発力の弱さは致命的と言ってよい。となると、本大会を戦うにあたっては、まず失点をゼロに抑えられるだけの強固な守備ブロックを形成することが求められよう。具体的には、4バックの前にアンカーを置くとか、あるいは守備のオプションとして3バックを試すといった奇策もあり得るのではないか――。その意味で、この韓国戦のスターティングメンバーを、私は密かに注目していた。
果たして、この日のスタメンは以下の通り。
GK楢崎正剛。DFは右から長友佑都、中澤佑二、阿部勇樹、今野泰幸。守備的MFに遠藤保仁と長谷部誠、右に中村俊輔、左に大久保嘉人、トップ下に本田圭佑。そしてワントップに岡崎慎司。田中マルクス闘莉王は、右もも裏が炎症を起こしていることが明らかになり、久々に阿部がセンターバックで先発出場。また、前日まで別メニューだった内田篤人に代わり、いつもは左サイドの長友が右に回り、空いた左に今野が入った。
本職が右サイドバックである駒野友一、第3のセンターバックである岩政大樹がサブに回ったのは、確かに不可解ではある。それでも、ずっとバックアッパーに甘んじてきた阿部と今野以外は、ほぼ「いつものメンバー」と見てよいだろう。結局のところ岡田監督は、けが人以外はいつものメンバー、そしていつもの日本のサッカーでもって、スタメンに国外組8人が居並ぶ韓国代表と相対することを決意する。あくまでも「今の日本がどこまで韓国に対して通用するのか」が、この日韓戦のテーマであった。
岡田さんのサッカーがうまくいかない理由は守備と攻撃を別物として考えていることだろう。攻撃は守備と攻撃がめまぐるしく入れ替わる。マイボールと相手ボールの時間帯の繰り返しといっていい。いかに効率のよいボールの奪い方をするか、リスクの少ないところでボールを奪われるかが問題となる。ゴール以外はすべてミス。その繰り返しのゲームと理解していなければ世界のサッカーとの差は大きくなるばかり。それを守備を固めるという10年以上前に終わっているサッカーを持ち出してきたのではお話にならない。
■目的が明確だった韓国と曖昧だった日本
韓国の先制ゴールが決まったのは、試合序盤の6分だった。遠藤の何でもないヘディングのクリアが拾われ、パク・チソンが長谷部を振り切って猛然とドリブルで突っかけてくる。すぐさま今野、遠藤、阿部、中澤と、それこそ「ハエがたかるような」ディフェンスを試みるが、韓国のキャプテンは冷静に右足を振り抜いてゴールネットを揺らした。ちなみに、この試合のパク・チソンのシュートは、これ1本のみ。両チーム最多の3本のシュートを放ちながら、いずれも枠をとらえることのなかった大久保と比較すると、やはり格の違いというものを痛感せずにはいられない。
この日のゲームプランについて、岡田監督は「前半0-0というのが目標」と考えていたようだが、そのもくろみは早々にあえなくついえてしまう。そして、序盤に先制された場合の「プランB」を持たないまま、日本は相手の猛攻に防戦一方となっていく。いつもは優位に立つはずの中盤も、この日は守備の対応に追われてまったく余裕が見られず、ボールを奪ってもパスミスしたり、あるいはセカンドボールを拾われたりして、ピンチのループ状態が続いた。時折、本田が強引なドリブルを見せるものの、そのプレーは散発的でチームとして機能しているとは言い難く、岡崎も前線でのディフェンスでは貢献するものの、ほとんど存在感を示すシーンは見られなかった。
1点リードの韓国は、後半に入って2人の選手を投入する。このうちMFのキム・ナミルは「フォーメーションを変えるため」(ホ・ジョンム監督)であり、FWのパク・チュヨンは「(リハビリ期間があり)試合勘を取り戻すため」(同)である。いずれの交代もその目的は明確であり、後半から韓国は明らかにテストモードに入っていった。ただし日本と違って、彼らはまだメンバーを23名に絞り切っていないため(現在26名)、いずれの選手もアピールしようと必死だ。だから、その後もどんどんメンバーが変わっても、チーム力が落ちる気配は感じられない。健全な競争によってチーム全体が活性化していることが、はたから見ていても十分に伝わってくる。
対する日本はというと、後半18分に中村俊、27分に本田、34分に遠藤と、大ゴマをどんどんベンチに下げていった。このさい配について岡田監督は「万全のコンディションではないので」と説明している。確かに中村俊はこの日は絶不調だったし、本田に代わって中村憲剛が入ってから中盤にリズムが生まれる時間帯もあった。だが、そもそもなぜ、コンディションが万全でない選手を最初からピッチに送り込むのか。むしろあえて主力を休ませて、中村憲や森本貴幸をスタメンで起用する選択肢もあったのではないか。勝利のためのプランが曖昧(あいまい)で、さりとてテストに徹するわけでもなく、どっちつかずの状態で今の韓国と対戦すれば、おのずと結果は見えてくる。結局、ロスタイムに献上したPKをパク・チュヨンに決められ、日本は0-2で完敗した。
岡田監督は頑固で融通が利かない。選手交代もワンパターンだ。後半から選手を代えなければならなかったのは日本だったはずだ。韓国はテストモード。チャンスはあった。だが、岡田さんはいつものメンバーにこだわり、いいところのない中村俊輔、遠藤、本田圭佑を引っ張ることになってしまった。森本も最初から使うべきだったにもかかわらず、そうすることが出来なかった。小心者の岡田さんは本戦になっても同じことを繰り返すのだろう。調子が悪くてもいつものメンバーにこだわり、負けていく。負けるのは悪いことではないが、何の希望もなく負けていく。それはたまらなく辛い。
■あまりにも不用意な「進退伺い」発言
「今まで積み上げてきたものがちょっとずつ消えてきている」(中村俊)
「あらためて、このままではいけないという気持ちになった」(本田)
「もっともっと速い選手、もっともっと仕掛けられる選手が必要だと思う」(長谷部)
試合後のミックスゾーンからは、選手たちの焦燥と戸惑いの声ばかりが聞かれた。無理もない。国内最後の試合、そしてW杯初戦のカメルーン戦まであと3週間というこの時期に、これまで積み上げてきた「自分たちのサッカー」が、世界レベルでは通用しないという現実を突きつけられたのだから。先月のセルビア戦に大敗した際には、まだ「海外組が不在だった」というエクスキューズがあった。だが、この韓国戦の結果を受けて、岡田監督は大きな方向転換を決断せざるを得ないだろう。すなわち、アンカーを用いた守備ブロックを形成し、無失点の時間帯をできるだけ長引かせながら、カウンターアタックに活路を見いだす。そう、文字通りの「弱者の戦い」である。そこまで腹をくくった上で、まずは「初戦のカメルーン戦に勝利すること」にチームの意思統一を図る。これこそ、今の岡田監督に残された道であると私は考える。
その意味でも、試合後の会見での「進退伺い」発言は、実に残念かつ不用意な失言であった。この発言について、あえて弁護の余地があるとすれば、岡田監督はその生真面目な性格から「1年に2回、韓国に負けて申し訳ないと思って」、その責任感ゆえに犬飼基昭会長に尋ねたところ「やれ」と言われた――という経緯を素直に会見で語ったものと思われる。結局のところ、この人は基本的にウソがつけない人なのである。ただ、その実直さが、時に他者の気持ちを必要以上に傷つけることも少なくない。
2月の東アジア選手権で中国に引き分けた際、代表戦のファン離れが進んでいることについて「お客さんのことに関しては、そこまで背負い切れない」と語ったことがあった。この発言も物議をかもしたが、今回は「代表がどんな状況にあっても、ここまで来たのだから最後まで応援しよう」というファンの心を逆なでする内容であった。たとえ、ある種のパフォーマンスであったとしても、あまりにもタイミングが悪すぎたと言わざるを得ない。この雨の中、スタジアムに駆け付けて声をからして声援を送った約5万8000人のファン。そして、さまざまなリスクを承知で南アフリカに向かおうとしているサポーターたち。そうした人々の想いを、岡田監督はどのように感じているのであろうか。
帰宅後、カバンからPCを取り出すと、青いタオルがはらりと落ちてきた。受付でもらった、JFA(日本サッカー協会)のエンブレムが描かれた小さなタオル。よく見ると、そこには「私達に力をください!! 岡田武史」という直筆が印刷されてあった。何ともいえぬ、深いため息がもれる。なぜ岡田監督は、自らの言葉で、ファンやサポーターに「力をください!」と言わないのだろうか。たとえ壮行試合で韓国に敗れても、指揮官が堂々とスタンドに向かって訴えたならば、きっとブーイングではなく「オカダタケシ」コールが沸き起こっていただろう。なぜなら、W杯は監督や選手やスタッフのみならず、国民の総力を挙げて戦うものだからだ。その事実は、ほかならぬ岡田監督自身が、最もよくご存じだと思うのだが。
選手は自信を失っている。新しい選手が必要と思う時点でチームはバラバラだ。メンバー発表が終わり、怪我以外でメンバー交代をすることはできない。モチベーションを下げてしまったのは岡田さん本人。正直に話したにせよ、あまりにも不用意な発言でチームをボロボロにしてしまった。ファンが離れ、選手が離れ、そしてひとりになったとき、岡田さんはなにを考えるのだろう。
4 件のコメント:
しばらく沈黙を守っておりましたが、
昨日の試合はどうにも我慢できず(苦笑)
ここに来て何を今更・・・。
進退伺い(あれは絶対本気だったとワタシは読んでます)なんて、
そりゃチームもボロボロになるでしょう。
信じて応援するしかないんだから、
これ以上がっかりさせないでほしいものです。
W杯出場国の監督と比べて、戦術や采配が決定的に劣っているのはもうどうしようもありませんが、こんな時に冗談であろうがなかろうが進退伺いとは不用意にも程がありますね。
監督がこれでは、まとまるものもまとまりませんよ・・・。
そう言えば自分は4年前、どんな予想をしていたのかと思ってブログの過去記事を見たら、やっぱり「予想は予選グループ敗退」でした。
特に何の根拠もなかったんですけどね。
あの時にkiriさんのブログに出会っていれば、援護射撃はできなくても応援することはできたでしょうに(苦笑)
>勝てなければサッカーの人気が低迷するというのも困ったもの
恐らくサッカーに限った話じゃないですね、この国では。
結局、勝ち馬に乗りたい人が多いのでしょう。
>char1029さん
本気の韓国相手に何もできませんでしたね。
本戦でも何もできないでしょうけど。
進退伺いはもっと以前に出すものであって、あれはないなと思いましたよ。
応援するだけとはいえ、信じられないというのは辛いですね。
>どらぐらさん
冗談だったとは言っていますが、本気だったような気がします。
叩かれたくないのは人情ですからね。
ぼくのブログでは3連敗もありうると書いてひどい目にあった記憶があります。
賛成のコメントはわずかでしたね。
あれから4年、見方も変わってきたのでしょう。
今は勝ち目が薄いほうが主流です。
これも勝ち馬に乗っているという状況なのかもしれませんね。
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