England:Owngoal(Tulio Tanaka) 72,Owngoal(Nakazawa) 83
Japan:Tulio Tanaka 7
イングランド戦後 岡田監督会見
国際親善試合(スポーツナビ)
今日の試合、イングランドということで、2つのポイント(がありました)。1つはディフェンスにおいてプレッシャーをどこまで掛けられて、裏をやられないかということ。もう1つは、この相手にボールを回して攻めていけるかということ。ディフェンスはそこそこ計算できるんですけど、後半になって、今のコンディションではしょうがないと思うんですけど、真ん中がちょっと下がり過ぎたかなと。攻撃は、前半はまあまあ行けたんですが、もっとできると思います。コンディションが上がってくれば、もう少しできるようになるんじゃないかと。
ある意味、(ワールドカップ=W杯)初戦に向けた道筋は見える試合をやらないといけないと思ったんですけど、まあ見えてきたかなと思っています。選手は最後まで、本当によく頑張ってくれたと思います。
岡田さんは本当にサッカーを知っているのだろうか。サッカーは守備と攻撃が明確に分かれるスポーツではない。相手ボールを奪うのが守備で、ゴールを奪うのが攻撃だ。といえば、そうだけれども、ゴールが入らなければすべてミスなので、トランジションは恐ろしい回数で起こることになる。どんなに実力が離れていてもポゼッションが100%になることはありえない。
だから、守備はいいけれども、攻撃に課題がという問題ではない。表裏一体のものを区別しているから、世界標準に追いつけないのではないかと思うのだ。理論家として有名なはずなのに、どうしてもこういう物言いになってしまうのはサッカーを知らないからか、野球の影響なのだろうか。
――4-1-4-1のシステムは、相手が1トップでも使うか?
4-1-2-3のつもりなんですけど、両サイドが下がってくるとどうしても4-1-4-1になるんですけど、相手が1トップでトップ下を2枚の場合だと、やっぱり4-2-3-1の方がベターかなと思います。ただ相手がトップ下1枚なら、4-1-2-3も十分にあるのかなと思っています。
――GKを川島に、キャプテンを長谷部にした理由は?
GKは、川島が練習を見ていると調子が良くて、体に伸びがある感じを受けたので使いました。キャプテンに関しては、もうあと(初戦まで)2週間になったので、ずるずると今までのムードとか流れを引きずるわけにいかないので、ここで1回、そういった流れとかムードを変えるために長谷部にしました。長谷部はこのチームの中堅としてチームを引っ張っていく、みんなが信頼している選手ということと、リーダーシップを取るところがあるので、彼にしました。
感覚の問題なのかもしれない。4-1-2-3だったにしろ、4-1-4-1だったにしろ、サイドの高い位置でプレーした選手はいなかった。本田圭佑にしろ、大久保にしろ、真ん中付近でプレーしていた時間のほうが多かった世思う。4-2-3-1にしろ、ポジショニングがぐちゃぐちゃでプレーエリアを守れない選手ばかりなのだから、もうシステムをいう言葉は使わないほうがいいのではないか。
――攻撃に関しての課題は?(田村修一/フリーランス)
前半のうちは中盤で何回か、もう少しできると思ったんですけど、それでもボールをシンプルに動かしてサイドバックが上がっていくという形があったんですけど、後半に押し込まれて、遠藤とか長谷部がコンディションが良くなくてへばってきたら、なかなか前への推進力が出なかったなと。これがコンディションが上がってきて、そこでタメができれば、サイドバックが上がっていく形ができるんじゃないかなと思っています。
ここでもやっぱり考え方が野球的だ。トルシエが言った「守備はOK」という嫌味をまだ正直に受け止めているだけなのだろうか。相手ボールを奪ってゴールをするという意味では、サッカーはすべてが守備であり、攻撃なのだけど。
――戦術うんぬんよりも、メンタル的に悪い流れがあったと思う。どうやって選手をピッチに送り出したか?(木崎伸也/フリーランス)
メンタル的には、皆さんが思われているほど悪くなかったんですが。ただやはり、韓国戦にしてもそうですし、ボール際の強さ、そういうものが(相手の)レベルが上がると、そこで負けてしまったら戦術うんぬんの前に勝てないと。例えばシュートを打たれるときに、誰もスライディングにいっていないとか、そういうボール際で勝てる、これはある意味メンタリティーなので、強いメンタリティー、1対1で負けないという強いメンタリティー、日本の国を代表しているんだと。ちょっと、スイスの合宿に入って言ったんですけど、われわれはリゾートで来ているんではない、W杯で戦うために来ていると。韓国に負けてから、どうもみんなに危機感がなかったので一度、厳しく言ったんですけど、その意味で選手たちは、今日はいい闘争心をもって(試合に)臨んでくれたんじゃないかと思います。
――後半のスタミナ切れについて、コンディションが整えば解決すると考えているか。また遠藤をあの時間帯まで引っ張った理由は何か?(宇都宮徹壱/フリーランス)
コンディションが上がってくれば、あれだけ中盤の横にスペースがあったので、われわれの方でもボールをつなげられると思うんですが、ただそれが最後まで持つかどうか、その保証は誰にも分からないと思います。やっぱり自分たちの(ボールを)持つ時間を長くしないと、守り切るなら守り切るで、稲本を入れたりとかもあったと思うんですが、ハーフタイムで「今日は1-0を守り切ってどうするつもりだ。もう1点取りにいけ」と言ったんだけど出られなかった。
遠藤、長谷部がへばっていて、今、この試合でそれに代わるくらいのコンディション、それからあのポジションでのプレーができると思える選手が今回はいなかったので、最後まで引っ張りました。
メンタル面というのは難しい。何を言われても平気な人間がいる一方でこんなことでという一言で落ち込んでしまう人間もいる。強く言えばいいというものではないのだが。チームマネージメントの問題だから、そこは岡田さんしかわからないことがあるのだろう。
それよりも、23人を招集して、遠藤と長谷部に代わる選手がいなかったというほうが問題ではないか。怪我人ばかり選ぶからこういうことになる。重要なテストの場なのに本戦を見すえて3人しか交代枠を使わないというのも単なるエゴだろう。イングランドはコンディションがよくなかった。ミスパスを連発し、精度の高いアタックをかけることができなかった。それでも日本は崩しきることができなかったのだ。本戦までに主力が離脱することも考えて、選手に経験を積ませるという選択肢を持てない監督というのは恐ろしく不幸だ。
――阿部のアンカー起用について
(阿部)勇樹は90分持たないんじゃないかと正直思っていたんですけど、90分持ったと。後ろとの連係、前半はルーニーが下がったところに(つぶしに)いけない、(阿部が)引いていなかったんですけど、後半はルーニーが下がったときにストッパーが出たら勇樹がカバーする、勇樹が行ったらストッパーがステイすると。後半の立ち上がり、向こうが4-2-3-1になったので楽になったんですけど、2トップでも、そういうポジショニングというのは非常に良かったんじゃないかと思っています。
――攻撃時ではスピードアップの意識や、パスを前に入れて中で仕掛けていこうという意識づけが見られたと思う。相手が4-2-3-1になっても、それは変わらないか?(河治良幸/フリーランス)
うちがずっとやっている、シンプルにボールを動かしてというところで、やはり縦に(ボールが)入らないと、どんどんプレッシャーをかけられる。特にサイドバックが持ったときに、相手にかぶさられたときにすぐに横を向くと。それはこのスイス(合宿)でかなり言ってきたので、そこは良くなったかなと。ただ、遠藤と長谷部の足が止まったときに、縦へ入ったときのサポートがどうしても止まって、その後が続かない。彼らのコンディションが上がって、それとともにチーム全体の押し上げる推進力が出てくれば、もう少しできるのかなと思っています。
――手応えをつかめたと思うが、何か足りないものがあるのか。あるいはコンディション以外で問題はあるのか?
コンディション以外に、攻撃の連係で前へ行く形がもう少し中盤で作れないといけないんですけど、中盤で十分にパスができるところで、びびってはいないんですけど、前に受けに来ない。勝負のパスを無理やり出している場面もあったので、そのへんの精度は上げていかないといけないと思いますし、最後の2点ともクロスからオウンゴールという形なんですけど、まだその1つ前のボール際が甘い。「ここだったら大丈夫だろう」と。大丈夫じゃないですよ。そのへんのところは、上げていかないといけないと思います。
自分たちがサイドから崩すサッカーを普段からしていないから、その部分のチェックが甘くなる。Jリーグの主流のサッカーはまだまだサイドアタックではなく中央突破だ。クロスよりスルーパスのほうが評価される。同じアシストなのだし、成功率はクロスのほうが高いのだけど。
岡田さんは要求しているのかもしれないが、応えられない選手を選んだのも事実。イングランド戦は善戦と言われているが、それほど甘いものではない。シーズンを終えてコンディションを作り直している相手ならもっときっちり攻撃のかたちを作らなければならなかった。
カメルーン戦への道筋は見えたか?
宇都宮徹壱の墺瑞日記(5月30日@グラーツ)(スポーツナビ)
イングランド戦当日。滞在中の安宿のレストランで朝食を取っていると、すでにあちこちのテーブルがイングランド人たちの巨体で埋め尽くされていた。世界中どこに行っても、彼らの存在は実に際立っている。年季の入った白、もしくは赤のレプリカ。そこからボンと飛び出た太い二の腕に鋭角に刻まれたタトゥー。基本的に男ばかりでグループを作り、ビールを大量にかっくらっては陽気に歌っているか、あるいは憤怒の表情でいすを投げ付けるかしている。さすがに午前中はおとなしくしているが、やはり会話の内容はフットボールばかり。「昨日の親善試合でカメルーンがスロバキアと引き分けた」とか、「アメリカはトルコに2-1で勝ったらしい」とか、そんな会話が何とはなしに聞こえてくる。
それにしてもイングランドのサポーターはなぜに、こんな親善試合にまで大挙して駆け付けるのだろう。確かに、彼らの“スリーライオンズ”(イングランド代表の愛称)への忠誠心は半端ではないし、週末のゲームゆえに格安航空券さえ押さえておけば気軽に観戦できる、という理由もあるだろう。とはいえ、相手はFIFA(国際サッカー連盟)ランキング45位の日本である(イングランドは同8位)。そんな格下相手との調整試合のために、なぜ彼らはわざわざオーストリアまで応援に駆け付けるのだろうか。
ちょっと気になったので、今年のイングランドの国際Aマッチを検索してみた。驚いたことに彼らは、今年に入って2試合しか行っていない。すなわち、3月3日のエジプト戦、そして5月24日のメキシコ戦。いずれの試合もロンドンのウェンブリーで行われ、スコアは共に3-1であった。日本戦がやっと3試合目。そしてその次は、もうワールドカップ(W杯)初戦である。なるほど、これだけ試合数が限られているのなら、多くのサポーターがグラーツに駆け付けるのもうなずける。
これに対して日本は、今年に入って何試合をこなしてきたのだろう。1月6日のイエメン戦は除いても、何と7試合もある。そのうち、国外組が合流してベストの布陣で臨んだのは、わずか2試合。快勝といえるのは、3月3日のバーレーン戦のみである。残りの試合では、得点力不足や守備の崩壊、さらには選手のコンディション不良やバックアッパー不足など、不安要素が次々と明らかになるばかり。もちろん結果論ではあるが、シーズン開幕前の2月初旬からスタートした強化日程は、今のところお世辞にも順調とは言い難い。限られたフレンドリーマッチで、きっちり結果を出しながら本番に臨もうとしている、泰然自若なイングランドと比べると、単なるランキングや実力差を超えた、もっと根底の部分での彼我の差を痛感せずにはいられない。
イングランド人だからといって全員がサッカーに興味があるとは限らない。さっかーよりラグビーという人もいるし、スポーツなら何でも好きという人もいる。彼らは基本的に喋ることが好きで、共通の話題があればいくらでも喋っている。それが政治であれ、経済であれ、サッカーであれ同じだ。議論はしないというのは日本くらいではないか。もっと侃々諤々の議論ができれば日本も面白くなるのではないか。
■イングランドを本気にさせた日本であったが……
先制したのは、何と日本だった。前半7分、コーナーキックのチャンスを得ると、遠藤からのグラウンダー気味のキックに闘莉王がニアサイドから右足で合わせてネットを揺らす。この出はなをくじかれるようなゴールに、もちろんイングランドも、そして監督のカペッロも、決して慌てるそぶりは見せなかった。落ち着いてしっかりボールを回し、両サイドを有効に使いながら正確なキックでクロスやシュートを放り込んでくる。だが、この日の日本の守備陣は、これに冷静に対処。阿部を中心とした守備ブロックが、思いのほかうまく機能していることに気付かされるのに、さほどの時間を要することはなかった。
もちろん、危ない場面は前半から何度かあった。19分、ルーニーがドリブルで持ち込んでスルーパスを送り、走り込んできたレノンがGKと1対1になる局面では、川島が身をていしてシュートをブロック。24分には、ランパードが強烈なFKを繰り出すが、これも川島が体で止めて、こぼれたボールを闘莉王がクリアして事なきを得た。代表では、昨年11月の香港戦以来の出場となる川島だったが、この日は前半31分の不用意な飛び出し以外は、実に安定した守備を見せていた。こうした守備陣の奮闘もあり、前半は日本の1点リードで終了する。
格下の日本にリードを許したことで、さすがにカペッロも危機感を覚えたのだろう。後半になると、イングランドのベンチはGKを含めて一気に5人を入れ替えてきた。ジェラード、キャラガー、ジョー・コール、ライト・フィリップスと、いずれもプレミアリーグでおなじみのスター選手ばかり。今さらながらに、その戦力差には圧倒される。実際、後半にはイングランドが試合の主導権を握り、日本は耐え忍ぶ時間帯が続いた。
11分には、相手FKからペナルティーエリアでのハンドを取られ、PKを献上する大ピンチ。しかし、これも川島が神懸かり的なセーブで防ぎ、なおも1点リードの状況は続いた。次第にイングランドは焦燥感を募らせ、ファウルすれすれのプレーで相手ボールを奪おうとするシーンが顕著になる。世界ベスト10圏内の相手を、日本がこれほどまでに本気にさせるとは、いったい誰が予想し得ただろうか。
その後、雨足が次第に激しくなる中、試合はさらに思わぬ展開を見せることになる。後半27分、J・コールからのパスを受けたレノンのクロスに、闘莉王がダイビングヘッドでのクリアを試みるも、これは無常にもオウンゴールとなる。さらにその11分後、今度はA・コールからの左からの折り返しに、中澤が右足を大きく伸ばしたところ、これまた絶妙にコースを変えてゴールイン。過去の代表戦でもおよそ記憶にない、日本の2連続オウンゴールによって、ついにイングランドが逆転に成功する。
それでも日本は決して試合をあきらめたわけではなかった。後半20分に岡崎に代わって投入された森本貴幸が、たびたびゴール前でシュートチャンスをつかむなど、何度か決定的な場面もないわけではなかった。だが、試合の流れを引き戻すには、あまりにも日本の中盤は消耗し過ぎていたと言わざるを得ない。結局、1-2のファイナルスコアでイングランドが勝利。試合後、ライトニング・シーズの名曲『スリー・ライオンズ』がスタジアムに流れる中、両チームの選手たちは互いの健闘をたたえ合っていた。
イングランドはコンディションは上がっていなかったのだろう。シーズンが終わったばかりだし、バカンスもほとんどとれないままに合宿に入っている。監督は鬼軍曹のカペッロ。
そんな中での日本戦では普段なら見られないミスパスが多く目立った。まだまだ、プレーの精度が上がっていない。まだチームを立ち上げたばかりに見えた。だが、それでもイングランドはしっかり結果を出してきた。PKこそ止められたものの、ゴールを奪うために本気になった。本気にさせたことは立派だが、本気になった相手のアタックを凌ぎきらなければお話にならない。フレンドリーマッチだから2点目を取りにいったという話だが、それでももっときちんとしたサッカーをしておくべきだった。オープンなら打ち合えるが、本戦ならもっとタイトな戦いになる。そのなかでイングランド戦のようにいかないと嘆いても遅いのだ。
■「4-1-4-1」か「9-0-1」か
「フォー・ワン・フォー・ワン――ナイン・ワン?」
試合後の会見で、この日の日本の印象を尋ねられたカペッロ監督は、こう言ってニヤリと笑った。最初はよく分からなかったが、どうやら「日本は4-1-4-1のつもりだったかもしれないけど、実際には9-(0-)1だったのでは?」というニュアンスだったようだ。つまり、それだけ日本は守備的だったと言いたかったのだろう。とはいえ、私は日本の最初のオウンゴールの瞬間、カペッロが「よっしゃあ!」とばかりにガッツポーズしていたのを、決して見逃しはなかった。結局のところこの日のイングランドは、一度も日本の守備陣を崩してゴールを決めていないという事実を、もっと深刻に受け止めた方がよいように思う。
一方で岡田監督は、この日のシステムは「4-1-4-1」ではなく(もちろん9-0-1でもなく)、あくまでも「4-1-2-3」だったと主張する。「両サイドが下がってくると、どうしても4-1-4-1になるんですけど」と語っているように、右の本田と左の大久保が、いつも以上に守備に貢献していたこともあって、結果として4-1-4-1のシステムであったと見るべきだろう。「4-1-4-1」だろうが「9-0-1」だろうが「4-1-2-3」だろうが、結局のところは主観的な数字の羅列でしかない。それでもカペッロ監督は、ディフェンスが9人いたように感じ、岡田監督は前線に3枚いるべきだと考える、それぞれの見方が理解できるという意味では興味深い。
あらためて、この試合で日本がイングランドに対して善戦できた理由について、4点ほど挙げておきたい。
1)メンバーをがらりと変えたことで気分が一新された
2)阿部をアンカーとした4-1-4-1システムがうまく機能した
3)川島が何度もファインセーブを連発した
4)両サイドの守備が安定していて、裏を取られることがなかった
もちろん、あらためて浮き彫りになった課題もある。加えて2)から3)は、いずれもディフェンス面での成果であり、攻撃面ではあまり好材料が見られなかったことも留意すべきだろう。それでもこのイングランド戦が、本大会初戦の対カメルーン戦に向けた「道筋」となる可能性は十分に感じることができた。その点について、もう少し考察を重ねたいところだが、これから夜行列車で15時間かけて、代表の合宿地であるサースフェーに向かわなければならない。この続きは翌日の日記に持ち越すとして、最後に、試合を観戦していたイビチャ・オシム前日本代表監督のコメントを紹介して、本稿を了としたい。
「非常にポジティブな内容だった。70分くらいまでは、どちらが日本でどちらがイングランドか分からないくらいだった。(韓国戦のような)悪い試合の後には、いいリアクションがあるものだ。自分たちが悪かったと気づいていれば(おのずと)いいリアクションになる。その意味で、日本代表はノーマルな状態に戻ったのだと思う。ただ、もう少し勇気がほしかった。それと、最後まで耐え抜く意志と――」
カペッロが言った9-1というのはディフェンダーが9人いたという意味ではなく、中盤以降はごちゃごちゃしていてわかりにくかったということだと思う。プレーゾーンという意識がない日本のサッカーではこういうことはよくあるのだ。
ガッツポーズについては、味方がゴールをして喜ばない監督が率いるチームは勝ち上がるのが難しい。オウンゴールでも流れの中から崩したことは事実。失点は失点として認めなければ。攻撃の流れという意味に限定するなら違うかもしれないが、サッカーという流れのなかで崩されたのは間違いない事実だから。
オシムの言葉を聞くと、サッカーの試合が90分じゃなければ、日本は本当に強いのでないかと思う。走る漁はおそらく世界一。効率は悪いが、相手は戸惑うだろう。だが、70分を過ぎると極端に運動量が落ちる。日本のサッカーはヨーロッパ列強が90分かけてすることを70分に凝縮しているのだ。もっと効率化したほうがいい。いまさら言っても遅いのかもしれないが。