中井治という薄バカの理論は世界には通用しない

賢者は歴史に学び愚者は経験に学ぶというが、中井治国家公安委員長は明らかに愚者だ。FIFAは過去にサッカーに関する政治介入に対して例外なく厳罰を下してきた。ユーゴスラビアしかり、イラクしかり。ユーゴスラビアは西側諸国の捏造だったとも言われているが、サッカーと政治は別のものでスポーツは政治に利用されてはならないというのが基本的な考え方だ。

閣僚“失言”で波紋…日本のＷ杯出場権はく奪も(スポーツニッポン)

日本サッカー協会が閣僚の思わぬ“失言”に困惑した。拉致問題担当相を兼務する中井洽国家公安委員長（６７）は１０日の記者会見で、来年２月に都内で開催される東アジア女子選手権への出場が決まっている北朝鮮女子代表について「（入国は）当然反対だ」と話した。国際サッカー連盟（ＦＩＦＡ）は各国協会に対する政治的介入を許さないスタンスを取っているだけに、最悪の場合、来年６月のＷ杯南アフリカ大会への出場権はく奪という事態にも発展しかねない。

北朝鮮の拉致問題が、サッカー界に思わぬ形で波及した。中井国家公安委員長は北朝鮮女子代表の入国の可否について「制裁が掛かっている段階だから、当然反対だ。スポーツや人的交流の面で入国はほとんどないし、安易に考えてもらっては困る」と厳しい姿勢を示した。

この発言の根拠は、北朝鮮に対する制限措置にある。政府は０６年１０月に「北朝鮮籍者の入国は特別な事情がない限り認めない」などの追加制裁措置を決めた。以降、すべてのスポーツ大会において、北朝鮮チームから入国申請がなされた例はない。今年４月の世界卓球（横浜）でも北朝鮮は参加を取りやめた。

それでも、男女の東アジア選手権を主催する東アジアサッカー連盟にとっては“寝耳に水”。北朝鮮の入国に備えては関係省庁と連携して準備を進め、麻生政権下では内諾を得ていた。政権交代後も外務省を経由して説明を行い、８日には中井委員長に対して直接申し入れた。だが、中井委員長は「入国後は重要な警備対象になるにもかかわらず、日本サッカー協会が警察当局に入国に関する情報を通知してきたのは８日だった」と不快感を示し、Ｗ杯招致に関しても「警察当局との警備に関する協議なしに招致計画を打ち上げた」と批判。そのうえで、北朝鮮女子代表の入国に関しては、関係省庁の副大臣級の会議で最終決定したい考えを示した。日本協会副会長を務める東アジア連盟・小倉純二会長（７１）は「“拉致の観点から議論していないんだろう”と言われた。返事を待つしかない」と困惑気味に話した。

結論は政治的判断に委ねられることになったが、これが問題となる。ＦＩＦＡは各サッカー協会・連盟の独立をうたっており、これまでも政治的介入を行ったイラクなどに処分を科してきた。日本は１８、２２年のＷ杯招致を目指しているが、招致活動に影響を及ぼしかねない。さらに、北朝鮮女子代表の大会出場が認められなければ、最悪の場合、日本代表の１０年Ｗ杯南アフリカ大会の出場権はく奪という事態にまで発展する可能性もある。拉致問題担当相の立場からすれば正論かもしれないが、政治不介入が大原則のサッカー界においては、影響が大きすぎる“中井発言”となった。

東アジア選手権は来年２月に日本で開催される。問題となっているのは出場が決まっている北朝鮮女子代表の入国を中井国家公安院長が拒否する発言をしたこと。中井氏は８日になってから日本サッカー協会が通知してきたというが、大会は２カ月も先。出場チームが決まったら通知しなければならないのか、それとも大会が行われることが決まったら通知しなければならないのか。

大会が決まったときには民主党は政権を握っていなかった。自民党から引き継ぎをされていなければ、また最初からやり直し。東アジア選手権は北朝鮮代表が参加しようとしまいと警備をしなければならないのは間違いない。

拉致問題については重要なことでかならず解決しなければならない問題だ。個人的なことだが、小学生以来の同級生が２０年近く前に拉致されており、他人事ではない。生きて帰ってきてくれることを切に願っている。

だからといって、政治の問題は政治で解決すべきで、スポーツに絡める問題ではない。

Ｗ杯南アフリカ大会から排除されたらどう責任をとるのか。サッカーファンの暴動で何をされても文句は言えない。