2010年1月7日木曜日

日本は逆転でアジアカップ本大会出場を確定

AFC Asian Cup 2011 Qatar Qualifying Stage Group A Matchday 5 Yemen 2-3 Japan @ Ali Mohsen Al-Muraisi Stadium
Yemen:Al-Fadhli 13,Abbod 39
Japan:Hirayama 42,55,79



日本、逆転勝利で本大会へ 平山がハットトリック達成(スポーツナビ)

今のところ映像がアップされていないため、試合詳細はテキストデータで。

イエメン戦後 岡田監督会見
AFCアジアカップ2011最終予選
(スポーツナビ)

■平山は可能性を感じるプレーをしてくれた

イエメン代表は非常にアグレッシブだったので、非常に難しいゲームでした。立ち上がりは、経験の少ない選手がちょっと怖がったところがあって、その間に失点してしまいました。それとともに、DF4枚とボランチ2枚、6枚が攻守にわたって下がり過ぎていたというところがありました。後半、サイドバックが積極的に前でボールを受けたことでだいぶ改善されて、とにかく若い選手たちが2点のビハインドを跳ね返してくれました。これは非常にうれしいことです。そして勝ち点3が取れたこと。その意味では満足しています。

――前回対戦したときと比べて、イエメンに変化はあったか(地元記者)

イエメンに関しては、前回の対戦よりも非常に組織的で、ボール際も強く、アグレッシブなプレーをしていました。ビデオで(予選の)バーレーン戦を見ていて、簡単な試合にならないと思った通り、前回よりもずっと強いチームになっていたと思います。

――平山がハットトリックを決めたわけだが、彼の評価については?

3点取ったことはものすごく評価すべきだと思います。それが即、フル代表に入って来られるかということはまた別ですが、十分可能性を感じるプレーをしてくれたと思います。

――若手選手で臨んだのはなぜか(地元記者)

スケジュールの問題です。1月20日に試合ができていればフル代表で来たんですが、この時期はW杯を考えるとどうしても主力を休ませないといけなかった。そのため若手にチャンスを与えました。

――前半の2失点から逆転したが、イエメンのどこを弱点と感じたか(地元記者)

イエメンの弱点を見つけたのではなくて、(日本は)後ろに6人いて前に人がいないというバランスの悪さが一番の問題だったので、そこを改善しました。

(以下は囲み取材でのやり取り)

(今日のメンバーは)非常に可能性を感じるプレーをしてくれました。まだチャンスはあると思っています。立ち上がり10分くらいは戸惑いもあったと思います。戦術的な問題があって、サイドバックが全然攻撃に参加せず、ボランチも2枚後ろにいると。守備のときも相手が2枚なのに、6枚下がってこぼれ球を拾われるというように、非常にバランスが悪かったので、まずは槙野と菊地のポジションを変えて、その後に山村を外して、(柏木)陽介がどうしても中に入るのでサイドに張る選手として乾を投入しました。
(山田の状況は)大丈夫だと思います。分からないけど重症ではないと思います。


いまだに日程のことを言っているのは、リスペクトが欠けたコメントではないか。この試合は公式戦でAFCが決めたもの。W杯南アフリカ大会でも今日は都合が悪いから明日に延期してくれと要請するのだろうか。世界に目を向けているのはいいけれども、日程にこだわりすぎるとアジア軽視ととられかねない。代表監督という仕事はそれだけの責任があると自覚すべきだ。

平山相太は途中出場。山田直輝の怪我がなければハットトリックも逆転もなかったかもしれない。結果オーライではあるが、守備的に入ったということはなぜ認めないのだろう。

攻撃的に行ったというなら、相手に押されてずるずる下がるということもないはずなのだが。失点はセットプレーだったのだし。

あるいはイエメンがアタックをかけてきたために後手後手に回ったのかもしれないがいずれにしてもスカウティングの問題でミスをしたということではあるだろう。

ただ、Bチームで逆転勝利というのはイエメンは思ったほど強くはなかったということではあるのだろう。

■イエメン代表 マリチッチ監督

前半は2点を先制できたが、後半は違ったゲームになってしまった。とはいえ、選手たちが試合ごとに成長していることに満足している。ただ、勝つチャンスがあったのに敗れてしまったことは残念だ。今回勝てば予選突破のチャンスがあったが……。


こういうことはよくあること。修正力で岡田に一日の長があったということではあるのだろう。リードしているときに上手く試合をクローズさせられないと逆転を食らう。この経験を生かすことができればイエメンはもっと強くなるだろう。

この結果、日本は1試合を残してアジアカップ出場が決定した。

「若葉マーク」の日本代表、奮闘す (1/2)
アジアカップ予選 イエメン代表 2-3 日本代表
(スポーツナビ)

さて、この日の対戦相手であるイエメンといえば、今回のアジアカップ最終予選の初戦の相手であり、昨年の1月20日に熊本のKKウイングで第1戦を戦っている。この試合は09年の年頭を飾る試合であり、熊本で行われる初の代表戦であり、そして予選の初戦という、まさに初物づくしのゲームであった。と同時に、選手の顔ぶれもまた実にフレッシュであった。先発メンバーの平均年齢が25.1歳、ひとケタキャップ数の選手は7人もいた。ちなみにこの試合では、背番号33を着けた岡崎慎司が代表デビュー5試合目にして初ゴールを挙げている。その後の岡崎の驚異的な成長については、今さらここで述べるまでもないだろう。

今回の招集メンバー19名は、さらに若返って平均年齢は20・9歳。代表キャップ数があるのは、西川周作、金崎夢生、乾貴士、そして山田直輝の4名のみ。いずれもキャップ数わずか「1」である。これほど若いメンバーばかりが集まったのも、1月20日以降に変更されるはずだった試合が、当初の予定通り6日に行われることになったからだ。岡田監督自身、20日以降に試合が行われていたら「フル代表で戦うことを考えていた」と明言している。いわば多分に偶発的な理由による「若返り」であったわけだが、求められるミッションは変わらない。すなわち、勝ち点1以上を積み上げてアジアカップ最終予選を突破すること、である。それをクリアした上で、もしも去年の岡崎のようにブレークのきっかけをつかむ選手が出てくれば、今回のイエメン遠征は大成功といえるだろう。


またもや日程の話になるのだが、フル代表で戦うとかBチームで戦うとかそういうことではなく、これから本戦までの6カ月間で積み上げていかなければならないのはチーム戦術の浸透とともに選手層の厚みだ。中澤と闘莉王のバックアッパーが実質いないセンターバックと次世代を担う中村俊輔と遠藤の後継者、そして岡崎にチャンスボールを多く供給する選手と頼れるFWの発掘だった。

ゴールキーパーは楢崎でほぼ決まり、川島も経験を積んでいる。両サイドのフルバックは徳永、内田、長友で十分。彼らなら次のブラジル大会まで大丈夫だろう。中盤の長谷部は十分に働いているし、本田圭佑も経験を積みつつある。岡崎もまだ若い。

核となるメンバーは揃っている。彼らをきちんと次につなげていくためのメンバーを生かすためには、国際試合の経験しかない。

ただし、今回のように全員が五輪代表世代というのではなく、要所要所にレギュラーメンバーを配置しなければならなかった。日程的にヨーロッパ組は不可能だったが、国内組でも何人かは呼べたのではないか。その融合を考えながら経験を積ませていかなければ別のチームとしてまた0からビルドアップすることになる。

そういうことが指摘できなかったのだろうか。

この日、岡田監督が選んだスターティングイレブンは以下の通り。

GK権田修一。DFは右から、槙野智章、菊地直哉、吉田麻也、太田宏介。MFは守備的な位置に山村和也と米本拓司。右に柏木陽介、左に金崎、トップ下に山田。そしてワントップには渡邉千真。11人中9人が初キャップというのは、おそらくこれまで例がないだろうし、今後もしばらく破られない記録となるだろう。ちなみに山村は、流通経済大学の2年生。大学生のA代表デビューは、1990年の谷真一郎(筑波大)以来、実に20年ぶりのことである。

このフレッシュな――というよりむしろ「若葉マーク」と命名したくなるような日本代表は、序盤は相手の予想以上にアグレッシブな姿勢に大いに面食らうこととなる。開始わずか2分、イエメンはFKから直接ゴールを狙い、慌てた権田がファンブルしたボールを拾って、さらに際どいシュートを放つ。ボールは枠をとらえることはなかったが、この一撃は若い日本を動揺させるのに十分だった。その後も、中盤でもたつく間にカウンターを食らう場面が続いた日本は、じりじりとラインを下げて防戦一方。13分にはコーナーキックから頭で押し込まれ、何もできないうちに先制点を献上してしまう。

悪いことは続くもので、その4分後には、山田が相手DFに背後からタックルを受けて負傷退場。岡田監督は「重症ではないと思う」と試合後に語っていたが、自分では立ち上がれないほど痛んでいただけに、帰国後の診断が気になるところだ。山田をあきらめたベンチは21分に平山を投入。システムを4-4-2とし、ここに「国見ツートップ」が完成する。しかし、その後も日本はピリッとしない。相手の迫力にすっかりのまれてしまい、両サイドバックと守備的MFが最終ラインに吸収されたまま受け身の時間帯が続く。だが、この消極的な姿勢が、かえってイエメンを勢いづかせてしまう。39分には豪快なミドルを決められて0-2。若き代表に、敵地での2点のビハインドが重くのしかかる。

この窮地を救ったのが、途中出場の平山であった。42分、金崎からのコーナーキックを高い打点からヘディングでたたきつけて、豪快にネットを揺さぶる。何と、初キャップで初ゴール。しかし平山は喜ぶ素振りはつゆほども見せず、そのままボールを抱えて自陣へと急ぐ。ちょうど相手GKが痛んで倒れていたこともあり、日本の選手たちは互いに声を掛け合いながら、それまでの浮き足立った状況を何とか克服することができた。その後、ロスタイムには相手のFKが壁に当たり、至近距離からシュートを打たれる場面があったが、ここは権田のセーブで何とかしのぎ、1-2のスコアで前半は終了する。


中盤に経験がある選手がひとりいれば問題なかったはずだ。ビルドアップの問題であり、全員が舞いあがっている状態だった。メンバーを落ち着かせる役目の選手がひとりもいなかったことでイエメンに思わぬ苦戦をした理由だろう。

前半の反省を踏まえて指揮官は、中盤の底で存在感を発揮できなかった山村を下げ、乾をピッチに送り出した。これに併せて、全体の布陣にもアレンジを加える。センターバックの菊地と右サイドの槙野を入れ替え、ボランチを米本1人に任せ、2列目に3人(右から金崎、柏木、乾)を並べて4-1-3-2とした。「非常に(攻守の)バランスが悪かったので、まずは槙野と菊地のポジションを変えて、(柏木)陽介がどうしても中に入るのでサイドに張る選手として乾を投入しました」と岡田監督。結果として、このさい配は見事に的中することとなる。

まず魅せたのが乾である。後半10分、右サイドを果敢に駆け上がると、そのまま低めのクロスを供給。いったんは相手DFに当たるが、こぼれたボールを平山がすかさずターンから左足でシュートを放ち、これが同点ゴールとなる。平山の2点目を演出した乾は、その後は活動の場を左サイドに変えて、たびたびチャンスを演出。一方、右サイドでは菊地が積極的に攻め上がり、右に回った金崎とのパス交換や追い抜くような動きを見せて、攻撃のバリエーションを広げていった。

とはいえ、最も目覚しい働きを見せていたのは、やはり平山であった。前線で果敢に飛び込むだけでなく、サイドに流れて味方にスペースを作ったり、あるいは相手にボールが渡ると執ようにプレスをかけたりと、1つ1つのプレーが実に献身的で、なおかつ尋常ではないひたむきさが感じられる。こんなにすごみが感じられる平山を見るのは、果たしていつ以来のことであろうか。すでにイエメンの選手がスタミナ切れを起こしているだけに、平山のハットトリックは時間の問題のように思われた。

そして後半34分、ついにその瞬間が訪れる。左サイドからの渡邉のクロスに、またしても平山の左足が鋭く振られ、三度(みたび)ネットが揺れる。日本、逆転! 平山は勝ち越しゴールを挙げると同時に、ついにハットトリックの偉業を達成してしまった。代表デビュー戦で3ゴールというのは、何と戦後初の快挙なのだそうだ。まさにこの日は「平山祭り」。今さらながらに、この椿事(ちんじ)が日本で放映されないことが、口惜しく感じられて仕方がない。日本はその後、数人の選手が足をつりかけたものの、イエメンの最後の猛攻を食い止めて、1点リードのままタイムアップ。敵地で貴重な勝ち点3をもぎ取るとともに、アジアカップ最終予選突破を確定させた。


4-1-3-2というシステムは実戦上存在することは難しいので実質は4-1-2-1-2か4-3-1-2だろう。サイドのふたりが攻撃的に振る舞ったためにイエメンが押し込まれたということだろう。

サイドでボールがキープできればイエメンも守備で外に開かざるをえなくなる。そうなればフィジカル面で強い平山に預けるという選択肢がかなり有効になり、イエメンをさらに混乱させる。

こういうシステムで攻撃することは、日本は格下の相手には得意である。問題は格上しかいない本戦でどう生かすかということだろう。リードされた場面でどうしても勝ち点3がほしいときにどうするかというオプションを試す絶好の機会だったわけだが、このイエメン戦が本戦で生かされる可能性は恐ろしく低い。

平山に決めやすいボールを放り込むことだけ考えていればよかったイエメン戦とは違い、レギュラー組は中村俊輔と遠藤のパスにいかにFWがあわせるかという逆の発想で作られたチームだからだ。

中盤が優勢というチームではFWが無理をせざるをえない。この試合でそのことが理解できなければ、再びグループリーグ敗退をいう憂き目を見ることになる。

今回のイエメン戦のメーンテーマは、「若葉マーク」の日本代表がどこまで戦えるか、であった。しかしその延長上には、ここからどれだけの選手がワールドカップ(W杯)メンバーの23名枠にたどり着けるか、という隠れたテーマがあった。その意味で、平山は大いにアピールしたことになるが、あと何名の選手が25日から始まる指宿(鹿児島)での代表合宿に招集されるかは、何とも判断し難い。昨年の今ごろ(すなわちホームでのイエメン戦で)代表デビューを果たした金崎と乾が、その後メンバーに定着しなかったことからも分かるように、ここから南アフリカへのメンバー23名に滑り込むのは至難の業である。それは「意識のレベル、プレーという部分でフル代表とかなり差があることは感じていている」という岡田監督の発言からも明らかであろう。

むしろ私は、今回のイエメン戦を「未来に向けた投資」であると考える。ここで言う「未来」とは、もちろん「2010年以後」という意味だ。平均年齢20・9歳という今回の招集メンバーには、間違いなく2014年W杯を目指す代表の中核を担う選手が含まれている。すでに彼らは、各年代での代表経験は豊富だろうが、やはりフル代表となると背負っているものはおのずと違ってくる。いみじくも主将を務めた槙野は「(キャプテンマークは)所属チームで巻くより緊張感があった」と語っていたが、ほかのメンバーも同様の緊張感と高揚感を持って、試合に臨んでいたはずだ。

重ねて言おう。今回のメンバーから南アのメンバー23名枠に加わる選手は、せいぜい1人か、多くて2人であろう。それでも長い目で見れば、この「未来に向けた投資」はきっと「南ア以後」に大きな意味を持ってくるものと、私は密かに確信している。

それほど遠くない将来、私たちは、敵地サヌアで目の覚めるような逆転劇を演じた「若葉マーク」の日本代表を思い起こし、あの日から新たな物語が始まっていたことを強く実感するのではないか――。いずれにせよ、本当に貴重なものを拝ませてもらった。テレビ中継が見られなかった皆さんには、何とも申し訳ない限りだが。


南アフリカ大会が終わったあとで、日本サッカー協会はどういう路線を歩むのかによる。

岡田、トルシエ、ジーコ、オシム、岡田と一貫性がない監督人事を行ってきた協会。もし、次期監督が岡田と違う考え方を持っている勢力によって担がれたなら選手選考はまったく違ってしまう。

育成、年代別代表、フル代表の戦術はどうするべきか、その一貫性がないために日本はいつまでも同じような位置で留まっている。もちろん、成長はしているのだが、その成長が世界の成長に追いついていかないのだ。

せめてフル代表だけは一貫性を持たせた監督人事にしてほしいものだが。いったいどこを目指しているのか誰にもわからない以上、そんなことは無理なのかもしれない。

2 件のコメント:

どらぐら さんのコメント...

2点ビハインドだと知った時には、やはりこの若いチームには荷が重かったかと思いましたが、平山の活躍でなんとか勝つことができましたね。
怪我をした山田は気の毒でしたが、まさに「怪我の功名」でした(山田の代わりに入ったのが平山)。
でも、山田を怪我させた相手選手のタックルは悪質でしたね・・・。
http://www.jsgoal.jp/photo/00055800/00055839-B.jpg

今回は若手だけで構成されたチームでしたが、代表での出場機会に飢えている選手ぐらいは呼んでも良かったかもしれませんね。
岩政は確か出たいと言ってましたし。

代表の監督人事は、なんか場当たり的な感じがしますよね・・・。

kiri220 さんのコメント...

>どらぐらさん

山田は骨折で浦和の関係者は怒っているでしょうね。
動画はカクカクのものならあったのですが、あれを載せるわけにもいかず。

天皇杯の決勝に出場した吉田も呼ばれましたし、CBや中盤のバックアッパーとしてのメンバーは読んでもよかったですね。

代表の監督人事は変なのですよね。
どういうスタイルをとるかすらわからない状態ですね。