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2011年6月8日水曜日

ザッケローニは3-4-3に自信を持っているが

International Friendly Match Kirin Cup 2011 Matchday 3 Japan 0-0 Czech Republic @ International Stadium Yokohama

ザッケローニ監督「3-4-3は必要なときまでとっておく」 (1/2)
キリンカップ2011 チェコ戦後会見
(スポーツナビ)


今日は日本が勝利に近づこうとチャレンジしたゲームだった。チェコに比べてゴールチャンスも多かったし、相手よりもチャンスを作っていたと思っている。コンビネーションのところで早い連係、遅い連係とあったが、勝とうという意識が前面に出ていたと思う。選手たちの出来にも非常に満足しているし、期待以上の出来だったと思っている。相手の素晴らしいGK(チェフ)を称賛しないといけない。あくまでもこのシステムはバリエーションの1つだと話してきた。まだまだ始めたばかりだが、良くなっていくと思う。ペルー戦に比べれば、かなり良くなった。この数日間の練習だけでこれだけできるというのは、なかなかたやすいことではないと思う。

――3-4-3で2試合をやったが、サイドは止められて中央にチャンスが多かったと思う。どう評価するか?(大住良之/フリーランス)

サイド攻撃の際にはスピードが遅く、中央ではスピードに乗ったプレーができていたと思う。今日の試合はバイタルエリアとサイドのスペースを狙っていたが、チェコにサイドをケアされたため、(その分)中にスペースがあった。それと、FWとサイドのMFの選手が下がってうちの攻撃に対応してきたので、そういったところでケアされていた。その代わり、相手の攻撃的な選手を2人消すことができたと思う。特に、伊野波と吉田はビルドアップの際に積極的に参加してくれた。


3-4-3で引き続きチェコ戦を戦ったわけだが、本田圭佑がプレーエリアを理解しておらず、中央に入りすぎてために3ラインの3-5-2になる場面が再三見られた。前半はサイドに張ることが多かった彼だが、後半はほぼ中央セントラルMFのポジションでプレー。ザッケローニの新システムのテストは台無しになった。

本田圭佑はシステムなんてどうでもいいと豪語していた選手で、おそらくシステム論に関してはほとんど理解していない。強豪国に対抗するために弱点を埋め、アタッキングのスタイルをシンプルにするために編み出されたシステムをどうでもいい、好きなポジションでプレーするとなれば、中村俊輔が左サイドに大きな穴をつくった岡田監督時代に逆戻りしかねない。


――ペルー戦のときから「引き出しを増やしたい」と語っていだが、3-4-3はほかのシステムと比べてどういうメリットがあるのか。また、どういう場合で使うのが有効と考えているのか?

システムの利点については、ほかのシステムと同様、うまく理解して活用しないといけない。それができたときは、バイタルエリアかサイドのところで1人がフリーになれるという利点がある。また、タイミングについては、4-2-3-1はまあまあできてきていると感じているが、日本の選手たちの特徴を見て、サイドの選手のスピードと持久力を兼ね備えた選手が豊富であること、FWに関してもスピードのある選手が豊富であることを考えて、このシステムが合っていると思っている。

ただし、現時点ではあくまでもオプションのシステムだ。とはいえ、同じシステムでずっとやっていると相手も研究してくるし、同じことばかりでは成長にはつながらない。この2試合で3-4-3を試すことで、それなりの成長を見せられた。これはまた、必要なときまでとっておく。

――攻撃が練習のパターンにとらわれていたように思うが、ハーフタイムでどう修正したのか。それと、日本のメンタリティーのネガティブな部分として、言われたことしかできないと言われているが、あなたはそれを感じたか?(田村修一/フリーランス)

わたしは日本人の特徴に満足している。わたし自身、今日のシステムをよく理解しているつもりだが、数日でここまでできていることは信じられない。こうしたトライをする決断をしたのも、そうした日本人の素晴らしい特徴があればこそだった。ほかの国のほかの選手だったら、今日のような結果は出なかったと思う。ここ数日、選手たちには詰め込みすぎるくらいに情報を与えた。スタートポジションから最後のイメージまで、どうやってたどり着くのか、具体的に話をした。

試合前に選手には、「ここ数日で言ったことを全部やろうとは思うな。スタートポジションのところと、最後のフィニッシュのところだけイメージを持って、そのアプローチに関しては特に固執しないように」と伝えた。選手の中には、練習でやろうとしたことを実践しようとしていた選手もいたので、考えすぎていた部分でプレースピードを遅めてしまったかもしれない。後半になってから、考えすぎの部分もメンタル面でフリーになって、できるようになったと思う。

個人的には、前半の出来も悪くなかったと思う。前半は緊張もあるし、やろうという気負いもあったと思う。繰り返すが、選手たちの出来には満足しているし、いい意味でのサプライズがあった。当然スピードは大切で、数日の練習ではこれくらいかとも思う。攻撃面でいいコンビネーションはできていたと思うが、最後のところでトラップミスがあったりした。


ザッケローニはシステムを変更して中盤をダイヤモンド型にする3-3-1-3にした方がいいのではないか。あるいは3-3-3-1に。数年前には究極のシステムと呼ばれた攻撃的なシステムだ。ウイングとして振る舞う両ワイドが相手のフルバックの上がりを抑え、ウイングバックがサポートする。アンカーが最終ラインに下がれば4バックとして対応できる。そして何より、中央でプレーしたがる本田圭佑をトレクァレティスタとして使うことができる。

ザッケローニは攻守分業の考え方ではなく、最終ラインからもビルドアップを求めているようだが、吉田、伊野波は一定部分できていた。ただし、アンカーは守備力も展開力も高い選手をおかなければならず、遠藤では守備力に不満が残る。長谷部には展開力が足らず、インクルソーレタイプで家長も同じ。遠藤の後継者はきっちり育成しなければならないだろう。


――3-4-3は攻撃的なオプションということだが、90分やってみてチャンスを作れなかった。どういう意味で満足しているのか?

結果とプレー内容を分けて考えることができると思う。個人的には、今日のようなフレンドリーマッチでは内容を重視する。わたしは勝ちたくなかったわけではない。実際、われわれはシュートを11本打っているし、最後の正確性(を欠いたこと)と相手GKの素晴らしさに阻まれたが、11本という数は少なくないと思う。今日のようなフィジカルが強いディフェンスラインに対して、そこまではできないと思う。シュートを11本打っているし、最後のコントロールミスやシュートまで至らないものも含めれば、17か18くらいのチャンスがあった。ただ繰り返すが、わたし自身も勝ちたかった。それよりも、選手たちが、そしてチームが前の試合以上に成長したことに喜びを感じている。

――後半、本田がタッチライン上ではなく内側にポジションをとっているように見えたが、本田の判断か、監督の指示か?(浅野賀一/『フットボリスタ』)

わたしと本田の間で決めた。彼は頭がいい選手なので、サイドでなく中にスペースがあったので、自分がトップ下のところに入りながら、岡崎を2トップの一角のところに押し出した。また、右サイドからバイタルエリアに入ると、彼は左足に素晴らしいものを持っているので、そこで前を向いたときにチャンスも生まれる。

ただ、チェコの左右のMFとFWが下がって対応していたので、そこをきちんと把握して、真ん中にスペースができると。サイドのところではめられているときに縦にボールを入れるには、ある程度キープ力のある選手にボールを入れないといけない。その場合、本田はうってつけの選手だった。本田の特徴は90分間消えないことだ。サイドに張るだけでなく、中に入る判断は間違いではない。手元にデータはないが、おそらく本田が今日一番ボールを触ったのではないか。


本田圭佑がウイングから中に入ったのはザッケローニの指示だったとのことだが、それなら2トップにするのではなく、長谷部か遠藤を外して、右サイドのウイングに選手を入れるべきだった。内田1枚だけの右サイドは弱点となり、攻められれば日本は混乱を起こしていたはずだ。チェコのアタックが日本の左サイドに特化していたことで、左サイドに選手を厚くした日本は事なきをえたが、両サイドをきっちり使うチームなら日本は防戦一方になっていた。岡田監督時代の不調は中村俊輔がプレーエリアを守れなかったことにあり、同じことを繰り返しているように見えてならない。

ザッケローニが許可をしたというなら、なぜウイングをおかなかったのか。そして、本田圭佑の押しに負けたのなら、ザッケローニが監督である必要はないのではないか。


――吉田と伊野波について、あのポジションにどういう資質を求めているか。また、今野をストッパーで使うことは考えていないのか?(後藤健生/フリーランス)

左右の選手に求められるのは、やはりスピード、足元の技術があること、ビルドアップができること、空中戦の強さだ。今野は真ん中でうまくやっているように、(3バックの)左右に入ってもできると思う。彼は非常にユーティリティーな選手なので、今日やった真ん中、左右、内田がやったところ、長谷部がやったところもできるので、個人的に彼のことを高く評価している。

――ペルー戦に比べて良くなったということだが、具体的に何がどう良くなったのか教えてほしい(湯浅健二/フリーランス)

ペルー戦では、ほとんどいいところが出なかったが、2日間の練習だから想定内だった。良くなった部分としては、コンパクトになって、縦への意識が高まったこと。吉田と伊野波が岡崎や本田や李にボールを入れた回数を見ると、良くなったと思う。

日本人は守備もできるし、ビルドアップも参加できる。すべての選手にそういった資質を要求したい。また、内田と長友のポジションの人間が、ペルー戦ではオフ・ザ・ボールの動きというか、スペースに走り込むことができなかったが、今日はそれができていた。あとはクロスをもう少し入れてほしかったが、相手の左右のサイドの選手がかなり戻ってきたこと、上げられたのに上げなかったこと、この2つが原因だったと思っている。それも相手のDFの高さを考えると、致し方ないかなとも思っている。ペルー戦に比べて、バイタルエリアに多くのボールが入っていた。ペルー戦では縦への意識が少なく、横パスに割く時間が長かった。


吉田と内田、伊野波と長友のポジショニングは今ひとつで連携は取れていなかった。いや、攻撃的なシステムといいながら、実は守備的なのに気づいてないことに問題があったか。

縦への意識は確かに高まっていたが、ダイナゴルの動きは多くなかった。バイタルエリアでのコンビネーションも近距離でのパス交換が主で、その他は積極的な仕掛けしかなかった。クロスが入ってもほとんどチャンスがなかったのはチェコの身長もあっただろうが、工夫がなかったことにあるのではないか。

そして、ザッケローニはイタリアでもそうだったように、我の強い選手に迎合しているように見える。本田圭佑の中央でのプレーはそのきっかけではないか。

ビレク監督「日本はクオリティーが高くて強敵だった」
試合後、チェコ代表監督会見
(スポーツナビ)


今日の試合は日本のホームゲームであり、しかも超満員だったので圧倒的に日本に有利な雰囲気だった。かなり大変な試合になることを予想していたが、結果としてペルー戦よりもうまく試合を運べたので満足している。日本はクオリティーが高く、かなり強敵だったので、互角に戦えたのは喜ぶべきことだと思う。

――ロシツキーやプラシルをはじめ主力がいない中で、今回は新しい選手を試すことができたが、次のスコットランド戦に向けてどれだけ収穫があったか?

確かに、ロシツキーやプラシルら有力な選手がいないのは心配だった。だが、今回欠場した選手たちも、今回出ていた選手たちも(試合がある)秋には力をつけているだろう。初めて戦った若手もよく働いていたので満足している。

――10番の選手(コラージ)をペルー戦ではオフェンシブなポジションで使っていたが、今日はディフェンシブだった。これは日本対策だったのか? また3-4-3システムについてどういった対策を考えていたか?(田村修一/フリーランス)

コラージはオフェンシブな選手だが、日本(の戦い)を見て中盤に下げた方がいいと判断した。プラン通りうまくいったと思っている。日本が3-4-3にすることは知っていたが、特に具体的な準備をしていたわけではない。ただ、選手が隅(タッチライン際)に行かないように、必ず組織で行くように、コンビネーションを考えながらチャンスを狙うようにしていた。その意味ではうまくいっていたと思う。

――日本のクオリティーは高いということだが、具体的にどのあたりが高いと考えているか?(湯浅健二/フリーランス)

いくつかある。コンビネーションの良さ、スピード感、そして本田のように創造性というか、作戦を変えて動いていく機敏な選手がいること。日本はアジアカップで優勝しているということで力があることは分かっていたが、今日の試合内容を見ても、これからもっと伸びていく手ごわい相手だと思った。


チェコは慎重に試合を運んでいた。アタックは右サイド偏重で、左サイドのカドレツにまかせっきり。効果的なクロスは上がらず、フェニンも突破をみせることはなかった。ともに決定機が少ないゲームだったが、チェコは決定機といえる決定機は0。経験を積むためにピッチに送り出したのではないかともいえる選手起用だったのではないか。

日本がパスを回せたのもチェコが引き気味でスペースを与えていたからで、その意味では3-4-3は実質機能していない。プレスをかけられたときに、どうなるかはまったくの未知数で、ペルー戦で機能しなかったほうが本当なのではないか。

チェコは負けなかったことで自信を持った可能性はある。日本は崩しきれなかったことを課題にすべきだろう。

「窮屈なサッカー」からの脱却 (1/2)
日本代表 0-0 チェコ代表
(スポーツナビ)


「2004年と今回とではまったく状況が違う。当時はユーロ(欧州選手権)に向けた練習試合のような感じだったので、試合に関する心意気が両チームで違っていた。ほかにも、さまざまな理由があって負けてしまったが、当時の悔しさはよく覚えている」

チェコの守護神、ペトル・チェフは、7年前の屈辱をどうやら忘れていなかったようだ。日本とチェコとの過去の対戦は、04年4月28日にプラハで行われた親善試合にまでさかのぼる。当時のFIFA(国際サッカー連盟)ランキングは、チェコが9位、日本は26位。この当時のチェコはベスト10圏内の常連で、6月にポルトガルで開催されるユーロでも優勝候補の一角に数えられていた。メンバーもまた豪華だった。前年にバロンドール(欧州最優秀選手=現FIFAバロンドール)を獲得したネドベドを筆頭に、ポボルスキー、ロシツキー、スミチェル、ヤンクロフスキといったスター選手や名手がめじろ押し。当時の日本にとり、チェコはランキング以上に仰ぎ見る存在だったのである。

ところが日本は、久保竜彦が前半に決めた決勝ゴールにより、ベストメンバーのチェコにアウエーで勝利してしまう。この時、ゴールマウスを守っていたのが、当時21歳のチェフ(前半のみで交代)。のちにチェコ代表とチェルシーの守護神となる希代のGKにしてみれば、日本というよく分からない相手にゴールを奪われ、あまつさえ敗れてしまったことに、ことさら屈辱感を覚えたことだろう。

一方の日本にとっても、この勝利は大金星以上の価値を有するものであった。当時、ジーコ監督率いる日本代表は、ワールドカップ(W杯)予選で危なっかしい試合を繰り返しており、一部のファンがジーコ解任を要求するデモを敢行する事態にまで発展していた。しかし、このチェコ戦の勝利によって「解任」の2文字は、急速に影を潜めることとなる。チェコ戦の3日後に、都内で開催されることになっていた反対派の抗議集会も、この結果を受けて延期を余儀なくされた。その後の日本が、イングランドとのアウエー戦に善戦(1-1)、さらに中国で開催されたアジアカップで優勝したことは、周知のとおり。こうして見ると、7年前のチェコ戦での勝利は、ジーコ政権のまさにターニングポイントであったことが理解できよう。


この試合は、直後に予定されていたアイスホッケーの試合の影響で90分行われなかったはずだ。88分だか89分だかで打ち切られた記憶がある。ジーコ解任の流れの中で、チェコに勝利。ヨーロッパ遠征で好成績を残したことでジーコは首の皮一枚繋がり、そしてW杯ドイツ大会での惨敗に繋がっていく。日本は崩壊の直前に輝きを取り戻す。その意味でもターニングポイントだった。


もちろん、当時と今では状況はまるで異なる。FIFAランキングでは、今や日本の方が上だし(日本14位、チェコ32位)、ザッケローニに対するファンの評価も現状では好意的なものが大半である。ただし、このチェコ戦の結果と内容次第では、世論がネガティブな方向に転じる可能性は十分にあり得る話だ。

仮に前回のペルー戦に続いて、またしても3-4-3システムが機能不全に陥り、現体制になって初めて敗れてしまったならば、ザッケローニは「システムに拘泥する頑迷な指揮官」というレッテルを貼られてしまうかもしれない。やがて疑心はさらなる疑心を呼び、「なぜ、うまくいっていたシステムを崩すのか?」「イタリアでホサれていたのも、システムのいじりすぎが原因なのでは?」「本当にザッケローニに代表を託してよいのか?」という議論に発展するかもしれない。コパ・アメリカ(南米選手権)の辞退により、強化日程のバッファが失われてしまった今、ファンの心理にも余裕がなくなりつつある。不安が一気に噴出する契機は、常に歓喜と背中合わせとなっているのだ。

もちろん、ザッケローニが信念をもって新システム導入に取り組んでいることについては、論をまたないだろう。それは、チェコ戦の前日会見での発言からも明らかだ。

「あくまでAプランは、これまでやってきた4-2-3-1。このシステムについては、まあまあよくできている。それに加えて、Bプランの3-4-3を練習した。W杯予選では基本的に4-2-3-1でいくことになると思う」
「日本人の特徴としてユーティリティー性が挙げられるだろうし、それに加えて素晴らしい学習能力も持っている。長いスパンで彼らを見た場合、(複数のシステムを使えるようになれば)素晴らしくなると思う」

その一方で、理想を実現させるためには、いつまでも足踏みすることは許されない。最低限の結果を担保としながら、まだ試していない選手や組み合わせについて、さらなるデータ収集を行いたいところだろう。結局、この日のスターティングイレブンは、以下の通りになった(システムは3-4-3)。GK川島永嗣。DFは右から吉田麻也、今野泰幸、伊野波雅彦。MFは内田篤人、長谷部誠、遠藤保仁、長友佑都。FWは本田圭佑、李忠成、岡崎慎司。これまでセンターFWで起用されていた前田遼一はかかとに炎症があり、この日はベンチ。アジアカップ決勝で劇的なボレーシュートを決めた李が、うれしい代表初スタメンとなった。


通常プランAからプランBに移行する場合、攻撃的あるいは守備的にシフトするのが普通だ。4-2-3-1がベースなら4-2-1-3なり4-4-1-1にするほうが選手は理解しやすい。どれも亜流であり、いつでも元に戻すことができるからだ。3ラインの3-4-3は両ウイングが高い位置で張らなければプレーエリアが崩れてしまい、さらに守備の局面ではウイングバックまたはアンカーの動きで4バックに戻す必要がある。意識してやるのは相当に頭を使う作業で練習だけでは上手くいかない。チェコ戦での日本は長友、内田ともに高い位置でプレーし、遠藤、長谷部も攻撃に意識をおいていた。本田圭佑は右ウイングのポジションを放棄していた。プランBは機能せず、機能したのは3-5-2という中央に3MFをおく守備偏重の戦いかただった。


さて、この日の日本の戦いぶりを俯瞰(ふかん)的に見るならば、ペルー戦よりも連係はできていたし、ボールも支配していたものの、何とも「窮屈なサッカー」に終始していた印象はぬぐえなかった。換言するなら、選手1人ひとりが「3-4-3システム」を意識するあまり、本来持っていたはずの伸びやかさや柔軟性、さらには意外性が影を潜める結果となってしまった。もっとも、この試合を「新システムのレッスン」と割り切るなら、それも致し方ないのかもしれない。

序盤の日本はペルー戦の反省から、右の内田と左の長友が、意識的に高い位置を保っていた。対するチェコは、サイドにスペースを与えない策に出る。チェコのシステムは4-5-1。チェコのビレク監督は「タッチライン際に(単独で)行かないで、必ず組織で行くように」選手に指示を出していたという。長身のチェコの選手に、組織でサイドをふさがれてしまったのでは、内田にしろ長友にしろ単独での突破は難しいし、ましてやクロスを供給するのは至難の業である。逆に、チェコがサイドをケアしていた分、中央にスペースが生まれたため、前半の日本のチャンスもここから生まれた。12分、本田のパスを受けた長谷部がドリブルからシュートを放ったシーン。そしてチェフを慌てさせた37分の遠藤のFKも、突破を図ろうとした岡崎が倒されて得たものだった。

後半もザッケローニは3-4-3の堅持を選択。ペルー戦の時のように、選手を入れ替えてシステムを変更することはなかった。だが、相変わらず両サイドにスペースはない。やがて個々の選手の間で、セオリーをアレンジするかのような動きが見られるようになる。具体的には、本田の中央への積極的な関与であり、ストッパーの伊野波や吉田によるビルドアップと攻撃参加である。後半7分のショートコーナーから、本田と李が折り返し、最後は吉田が頭で合わせたビッグチャンス(シュートは枠外)も、そうしたアレンジの成果であった。

日本ベンチはその後、後半19分に遠藤と伊野波を下げて、家長昭博と槙野智章を投入するも、システムは依然として変わらず。しばらくこう着した状態が続いたが、32分には久々にスタジアムを大いに沸かせるシーンが訪れる。本田の山なりのクロスに、岡崎が2人のマーカーを振り切ってヘディングシュート。いったんはGKチェフが防ぐも、セカンドボールを李が左足で押し込む。一瞬、決まったかと思ったが、再びチェフが左手を伸ばしてボールをかき出し、相手DFにクリアされてしまう。この日の李は、再三にわたって裏に抜ける鋭い飛び出しを見せていたが、なかなかパスの出し手との呼吸が合わず、千載一遇のチャンスもチェフの好守に阻まれてしまった。結局、試合はスコアレスドローのまま終了。3試合とも0-0で終わったため、今回のキリンカップは大会史上初となる、3チーム優勝という意外な形で幕を下ろすこととなった。


窮屈だったかと言われると窮屈なプレーではあった。ポジションで違和感を持っていなかったのは遠藤と長谷部、岡崎だけだったのではないか。李忠成はふらふらしていてポジショニングが定まらなかった。岡崎との2トップとなった後半はしっかりしていたが。

つまり、適性をみるあまり選手をピースとして当てはめるのに失敗していたのではないか。

本田圭佑はサイドに適性はない。プレーエリアの意識がない以上、中央にポジションがなければ無理だろう。中央からサイドに開くのは得意だが、サイドで窮屈にプレーする選手では使えないのだ。

試合終了直後、キャプテンの長谷部はドイツでプレーするチェコの選手たちと笑顔で会話し、長友はチェコの選手からユニホーム交換をせがまれていた。いずれも7年前の対戦では、およそ考えられなかった光景である。ヨーロッパとの彼我の差というものは、決してFIFAランキングだけで推し量れるものではない。ただ、近年のチェコがいささか凋落(ちょうらく)傾向にあり、加えて今回のメンバーが若手選手主体だったとはいえ、それでも日本の選手たちの鷹揚(おうよう)とした態度を見ていると、あらためて隔世の感を覚えずにはいられない。もっとも、この日の試合内容については、多くの選手が決して納得していなかったようだ。

「本番でも3-4-3で勝負するのかといったら、絶対的な確信があるわけではない。4-2-3-1のやり方には、ある程度の自信を持っているので、こういうオプションにトライしても、戻れるシステムがあるという意味では強みはある。ただ、どうするかは監督しか分からないです」(長谷部)

試合後のキャプテンの言葉は、この日プレーしたすべての選手の気持ちを代弁しているようにも思える。確かに負けはしなかったし、ペルー戦と比べれば進歩も感じられた。シュート数でも(11:6)、ボールポゼッションでも(63.2%:36.8%)相手を大きく上回ることができた。しかし、一方でパスミスは頻発していたし、サイドでの起点がなかなか作れなかったし、当然の帰結として3-4-3システムの強みを生かすこともかなわなかった。いくら「ペルー戦より良かった」と言っても、選手にとっては単なる気休めにしか感じられなかったことだろう。

キリンカップの2試合を、あえて「3-4-3システムのテストの場」としたザッケローニの判断については、個人的にはある程度ポジティブにとらえている。システムのみならず、新しい選手を試すこともできたので、今後のオプションは確実に増えたはずだ。ただ惜しむらくは、3-4-3の有効性というものが、この2試合でほとんど感じられなかったことである。ザッケローニ自身は、このシステムはあくまで「プランB」であると明言した上で、プランAは4-2-3-1であり、プランBは「必要なときまでとっておく」と語っている。ペルー戦ではプランBからAへのシフトチェンジはあったが、これから始まるW杯予選で、逆のパターンは果たしてあるのだろうか。あるとすれば、それはどのようなシチュエーションなのか。今はまだ、具体的にイメージすることは難しい。

現時点での個人的な印象だが、ザッケローニは「日本代表かくあるべし!」という理想主義者でもなければ、「3-4-3こそが素晴らしい!」というシステム至上主義者でもなく、むしろイタリア人らしい実利主義の指揮官だと思っている。少なくとも、このキリンカップの2試合だけで、この人の資質を語り尽くすべきではないだろう。ゆえに、まだしばらくは、指揮官・ザッケローニの動向をフラットな視線で見守りたい。そのためには、まず私たち自身が、数字の並びに拘泥する習慣をあらためるべきだと思う。数字ありきのサッカーは、プレーする側にも見る側にも、結局は「窮屈なサッカー」を強いているのではないか。「窮屈なサッカー」から、いかに脱却すべきか――それこそが、来るべきW杯予選に向けた、日本サッカー界の重要なテーマなのだと思う。


プランBの3-4-3が使える状態にないことには賛成だ。まだまだ熟成する必要があるし、適性がある選手を見極める必要がある。数字をみるだけではもちろんダメだが、システムはどうでもいいという意見ではダメだ。システムを理解し、そして、実行できる選手ではなければお話にならない。

ザッケローニは機能するか機能しないかで見たはずで、機能したと見たならこのシステムをW杯予選でもテストする可能性はある。

チームの掌握は監督の仕事であるが、日本はきちんとマッチレポートを出して、課題を話し合う必要があるだろう。まったく出番のなかった選手に関しても必要ならテストすべきだった。無得点におわった理由は決定力なのか、それとも、采配なのか。しっかりと確かめて欲しい。

2011年6月7日火曜日

ザッケローニの3-4-3は本田圭佑のポジション放棄で機能せず、チェコともゴールレスドロー!!

International Friendly Match Kirin Cup 2011 Matchday 3 Japan 0-0 Czech Republic @ International Stadium Yokohama

Japan 6/10 draw 12/5 Czech Republic 4/1(William Hill)

両国国旗、フェアプレー旗に続いてFIFA Anthemに乗って両国選手の入場。Eva Miklas-Takamineさんによるチェコ国歌「Kde domov můj?」の独唱、渡辺美里さんによる日本国歌「君が代」の独唱。

日本はブルーサムライのファーストジャージ。システムは3-4-3。



ベンチメンバーはGK西川、GK東口、槙野、栗原、安田、森脇、家長、細貝、柴崎、西、前田、関口、興梠、宇佐美。

チェコは白一色のセカンドジャージ。システムは4-4-2。



ベンチメンバーはGKグリガル、GKフルシュカ、セラシエ、クシュニール、ヤンダ、ピラジ、トラップ、ネチド、M・フブニク。

前半。チェコのキックオフ。

8分、チェコ。右サイドエリア角付近からのFK。カドレツが放り込んだボール。中央でライノフがヘッドでンら鵜がクロスバーの上。

カドレツのクロスにライノフがヘッドをあわせるが枠をとらえられず。

10分、日本。ゴール正面からのFK。本田圭佑が直接狙うが壁直撃。

本田圭佑のシュートは壁に当たってしまう。

11分、日本。右サイドで本田圭佑がキープ。中央の長谷部に戻してのミドル。GKチェフがキャッチ。内田がが飛び込むがボールはこぼれず。

本田圭佑が右サイドで持ち、長谷部に戻してのミドル。内田へのパスだったかわずかに届かず。

11分、日本。中盤でボールを持った長谷部がドリブル突破。そのままミドルを撃つがゴール右に外れる。

中盤からドリブルで仕掛けた長谷部。そのままミドルを撃つが枠をとらえられず。

15分、チェコ。ペトルジェラのCK。ファーでシボクがヘッドをあわせるがクロスバーの上。

レゼクのクロスにシボクがヘッドで狙うが枠をとらえられず。

34分、チェコ。岡崎へのファールでシボクにイエローカード。

岡崎の突破をファールで止めたシボクにイエロー。

36分、日本。ゴール正面からのFK。遠藤が直接狙うがGKチェフが横っ飛びでセーブ。

遠藤が直接狙うがチェフがビッグセーブでCKに。

36分、チェコ。伊野波へのファールでロマン・フブニクにイエローカード。

セカンドボールを拾った伊野波へのファールでロマン・フブニクにイエロー。

39分、チェコ。本田圭佑へのファールでコラージにイエローカード。

本田圭佑に後ろからタックルを仕掛けたコラージにイエロー。

アディショナルタイムは1分。

前半はこのまま終了。0-0で折り返し。

3-4-3は思った以上に機能していない。ペルー戦よりはボールが繋がっているだけマシといったところか。

45分、チェコ。シボクに代えてセラシエを投入。

シボクはセットプレーからのヘッドが脅威だった。カードをもらったことで交代を早めたか。

後半。日本のキックオフ。

51分、日本。遠藤のCK。本田圭佑とのショートからのクロス。ファーで李忠成が折り返し、中央で吉田がヘッドをあわせるがクロスバーの上。

遠藤が本田圭佑に渡し、本田圭佑がえぐってのクロス。ファーで李忠成が折り返してチェフを外してフリーで吉田が飛び込むが枠をとらえられず。

57分、日本。岡崎からのパスを受けた長友が左サイドを突破。カットインしてのシュートはゴール左に外れる。

岡崎から左サイドに振って、長友がドリブルでカットイン。シュートを撃つが枠をとらえられず。

62分、チェコ。カドレツからのフィードをフェニンがポストで落とし、コラージのミドル。クロスバーの上。

フェニンの落としを拾ったコラージのミドル。枠をとらえられず。

63分、日本。遠藤に代えて家長、伊野波に代えて槙野を投入。

遠藤はプレーメイカーとして活躍。伊野波は3バックの一角として安定していた。

65分、チェコ。ラファタに代えてミハル・フブニクを投入。

ラファタはサイドに流れてチャンスを演出。

76分、日本。左サイドの長友のクロスのクリアを拾った本田圭佑がエリア内に放り込む。ファーで岡崎がヘッドで叩きつけるがGKチェフがセーブ、リフレクトに李忠成が詰めるがこれもGKチェフがセーブ。

本田圭佑のフィードにファーへ飛び込んだ岡崎がヘッドを叩きつけるがチェフが態勢を崩しながらセーブ。リフレクトに李忠成が飛び込むがこれもチェフがビッグセーブでゴールを許さない。

79分、チェコ。フェニンに代えてネチドを投入。

フェニンは前線の基準点となっていた。

81分、日本。左サイドエリア角付近からのFK。本田圭佑が直接狙うがゴール右に外れる。

本田圭佑のシュートは枠をとらえられず。

82分、チェコ。ペトルジェラに代えてピラジを投入。

ペトルジェラが右サイドでドリブル突破が目立った。

85分、チェコ。GKチェフからのフィード。前線のネチドに渡ってのミドル。クロスバーの上。

チェフからのフィードは直接ネチドへ。反転してのミドルは枠をとらえられず。

88分、日本。ゴール正面遠目からのFK。本田圭佑が狙うがクロスバーの上。

本田圭佑のシュートは枠をとらえられず。

88分、日本。岡崎に代えて関口を投入。

岡崎は左サイドで活躍。後半は3-5-2の2トップとしてプレー。3ラインの3-5-2になっても大丈夫だったのか。

アディショナルタイムは3分。

91分、チェコ。レゼクに代えてヤンダを投入。

レゼクは左サイドのアタッカーとして機能。

92分、チェコ。李忠成へのファールでヤンダにイエローカード。

李忠成のドリブル突破をファールで止めたヤンダにイエロー。

93分、日本。ゴール正面やや右からのFK。本田圭佑が直接狙うがクロスバーの上。

本田圭佑のシュートは枠をとらえられず。

ゲームはこのままタイムアップ。0-0のドロー。システムを理解できない本田圭佑がレフトウイングからセントラルMFに下がってしまい、ザッケローニのサイドを使うシステムは崩壊。右サイドは内田1枚だけとバランスの悪いシステムになった。修正するには本田圭佑を外すしかないかな。

キリンカップは日本、ペルー、チェコが勝ち点2、得失点差、総得点、直接対決で並び、3チーム優勝となった。

2011年6月2日木曜日

ザッケローニの戦術は浸透していなかった

International Friendly Match Kirin Cup 2011 Matchday 1 Japan 0-0 Peru @ Tohoku Denryoku Big Swan Stadium

ザッケローニ監督「問題は中へ入ってしまったこと」 (1/2)
キリンカップ2011 ペルー戦後会見
(スポーツナビ)










3月11日の震災以来、初めて代表チームとしての公式試合になった。この試合の目的は、新しいシステムがどこまで機能するかということと、今回初めて招集した選手がどれだけできるかをチェックすることだった。ワールドカップ(W杯)予選まで残り時間が少ない中、こうした試合を通じて、できるだけ選手の情報やデータの収集に役立てたいと思っている。

この3バックは2日間しか練習できない中、また3人の選手(本田、長友、吉田)が試合前日でないと到着できない中、それでも3-4-3システムを試してみたいと思っていたが、個人的に必要と思っていた情報は収集することができた。当然、配置されている選手が違ってくるので、思ったよりかはうまくいかなかったかもしれないが、新しい選手であったこと、新しいシステムであったことを思えば、うまくいかないことも想定内であると考えている。問題はどこかというと、うちがボールを持っているとき、ポゼッションしているときに問題が顕著になったと思う。守備はまあまあの出来だったと思っているが、攻撃の際にサイドにスペースがあるのに、中へ中へ入ってしまったことが問題だったと思っている。

両チームとも中盤でかなりスペースを消すような戦いになったので、終盤で(相手は)かなりシュートを打っていたが、それまでは打たれない展開だったと思う。当然、後半になってから、われわれが慣れている(4バックの)システムにして、ボールポゼッションも高まった。試合を通しては、ポゼッションでは五分五分だったと思う。ペルーのコンディションも上がってきているという印象を受けた。コパ・アメリカ(南米選手権)に向けて準備していると聞いていたので、当然ながら試合終了間際まで彼らのコンディションは落ちなかった。


ザッケローニが執った3-4-3は3ラインがフラットに並ぶかたちで同じ3-4-3でも中盤がダイヤモンドとなる3-3-3-1とは違う。ピッチ上に描かれる三角形は非常に少なく、サイドに2枚あるとはいえ、ウイングが中に絞っていたためにパスコースが限られていた。中盤でもサイドでもパスコースを探さなければならず、プレースピードはスローにならざるをえなかった。

遠藤や長谷部が下がってプレーしていたが、そのために西はプレーできなくなり、攻撃が機能したのは安田がいた左サイドだけだった。関口がプレーエリアを理解していなかったために、中に入りすぎていたこともあるが、同時に岡崎もどこにいるのかわからない状態で、前半はまったく機能していなかった。

現在のJリーグの主流が4バックで3バックに慣れていないこともあるが、戦術理解を選手ができなかったことに問題があるだろう。

フラットな3ラインの場合、両サイドの突破力が問題になる。右サイドの西、関口、左サイドの安田、岡崎の連携で突破と指示しておけば違ったはずだがそこまで徹底できなかったようだ。










――これからチェコ戦まで時間があるが、次の試合でも3-4-3を試すつもりか?

当然、チーム状況や選手のコンディションを把握して決めていくことになる。現時点で3バックを行うのは、ややリスクを背負いすぎるかもしれないが、わたしの仕事としては、このチームの引き出しを増やすことだと思っている。今日もかなりの交代があったが、けがなどによりやむを得ずカードを切ったものだ。チェコ戦まで数日あるので、可能性があればまた(3-4-3を)やろうと思っている。ただ何度も言うが、欲しかった情報というものは、ある程度は手にすることができた。

――就任以来、まだ負けていないことについてどう思うか?

できれば今日も、本当は勝ちたかった。やはり自分のチームが目指すところは、常に自分たちのサッカーを展開すること。今回に関しては、これまでの試合と比べて少しそれができなかったと思う。今日ももう少しうまくやれば、スペースがもっと見つかったと思うが、相手の中盤が5枚並んでピッチ中央で人が密集してしまった。サイドにスペースがあったという印象があったが、(システムが)慣れていなかったのでそれができなかったようだ。

ペルーも称賛に値するチームであり、ピッチの中央のところでプレスを掛けてスペースを消していた。うちの選手の状況は、海外組はバカンスに入ってからの合宿になったし、Jの選手はタイトなリーグと(AFC)チャンピオンズリーグを戦っているということもあり、ペルーの方がフィジカルコンディションが上ということは、ある程度は想定内だった。

――西に怒っているように見えたが、もっとできると思ったのか?

西に特別怒っていたわけでないが、たまたま自分に近いサイドにいたので(苦笑)。ほかの選手の指示も西に伝えていたので、そう見えたのかもしれない。西については今日が代表デビューとなったわけだが、少し緊張していたのは当然だと思う。彼の魅力は走力であると考えている。今日も前にかなりスペースができていて、そこにもっと走り込めたと思うが、もともと慣れていない上に、トレーニングできる時間も限られていたので仕方がないと思う。

ペルーの5枚の中盤のラインを越えることができたら、関口、岡崎、西で相手のサイドバックに対して数的優位を作ることができたと思うのだが、今日はそれができなかった。わたしとしては、このシステムがうまく機能するようにしていきたいし、こうしたシステムに対応できる選手を(今後も)招集していく。慣れの問題だと思う。


日本人選手はサイドアタックへの意識が薄い。プレーエリアを守る戦術も徹底していない。サイドアタックは両サイドのフルバックの仕事と考えている節がある。ウイングをおいても中に絞ってサイドで数的有利を作れないのはそこにある。

サッカーのゴールは中央にあり、中央から攻めたほうがゴールに近いのは事実だが、当然相手はゴール前をがちがちに固めてくるわけで、できるならCBを中央から引き剥がしたい。ギャップを作るためにサイドからの攻撃を仕掛けるのであり、サイドから中央、中央からサイドにボールを動かして、人も動かしてスペースをこじあける。ポゼッションを目指すならパスを繋げるように三角形を作るべきだ。フラットな3ラインではポゼッションは難しい。

ザッケローニはペルーのラインを超えてと表現したが、ラインを超えるプレッシングショートカウンターを目指すにしては中途半端な試合だった。今のままではザッケローニの3-4-3はどこに向かっているのかわからない。








――守備はまあまあということだが、前半は5バックになってしまう時間帯もあった。そうなると3-4-3の良さが出ないと思うが、どう評価するか?(大住良之/フリーランス)

おっしゃる通り、5枚になるのはいい傾向ではない。(相手に)うちのペナルティーエリアに来られた場合は、5枚になるのは仕方がないと思うし、あまり練習もできなかった。後ろが5枚になって、前線に3枚を残しているので、そうなると中盤は2人になって負けてしまう。もしくはFWをさらに下げる選択肢もあるが、わたしはそれはしたくない。違ったところでバランスを取らないといけないと思う。

――関口の評価と、岡崎とのポジションチェンジについては?

関口は良かったと思うし、チームに貢献してくれた。岡崎と関口を替えたのは、右サイドに西と関口という、ほぼデビューに近い選手が並んでいたので、代表では実績のある岡崎を持ってくることにした。

――初招集で出番のない宇佐美について、ここ数日を見ての感想は?

何度も言ったことだが、彼を招集したのは彼を手元に呼んで対話したかったからだ。認識してほしいのは、彼は五輪代表の選手でA代表の選手ではないということだ。彼には素晴らしい未来があり、期待もしている。それを良くするのも悪くするのも、彼次第ということだ。


ザッケローニは3-4-3を3バックにも4バックにも対応するシステムだと説明しなかったか。

5バックになっていては本末転倒だ。釣瓶の動きで攻められた側のウイングバックが最終ラインに下がり、逆サイドのウイングバックがカウンターに供えるというならわかるが、両サイドともに下がってしまっては、ロングカウンターしか攻め手がなくなってしまう。

もちろん、守備と攻撃の選手を分けて、前の3人だけで点を取ってこいというシステムもあるが、それはモダンサッカーではない。完璧なシステムはないし、フラットな3ラインが悪いわけでもないが、リスクマネジメントがきちんと出来なければ、宝の持ち腐れになってしまう。いや、フラットな3ラインには強烈な個が必要だ。本田圭佑を入れると3-4-1-2になってしまい、あまりにもひどい状態になる。噛み合わせはほとんどのシステムとも悪く、押し込まれる展開になる。

慣れているシステムだから是ではない。選手が理解できないシステムはすべてダメだ。ザッケローニがフラットな3-4-3を使うのであれば、先生役としてザッケローニはきちんと戦術理解を促す必要があるだろう。







――3バックでやっている時の3人の距離感について、攻められている時に近すぎて、逆サイドが空いているように見えた。3人の距離感についてはどれくらいが理想的と考えるか?(後藤健生/フリーランス)

というよりは、慣れも問題だと思っている。西も安田もディフェンスラインでプレーすることに慣れている選手だから、そういった問題は練習を積み重ねないと解決できないと思う。わたしの理想が実現できていないのは、わたしの責任だと思っている。守備のところではうまく守れたというよりも、本質的には「点を取られなかった」というところだと思う。ある程度は守れたけれど、あのままでは攻撃はダメだよと。(最終ラインが)5人になれば、4人で守るより簡単になるのだから。

――3-4-3は、サイドのゾーンを支配するのが目的だったと理解しているが、次のチェコ戦で試すかどうかはまだ検討中だという。このシステムは攻撃的でリスキーなシステムだと思うのだが、どう認識しているか?(湯浅健二/フリーランス)

ほかのシステム同様に、3-4-3にも長所と短所がある。絶対的なシステムは存在しない。システムの問題ではなく、いかにそのシステムを理解し、活用するかだろう。例えばバルセロナはあのシステムだから勝っているのではなく、システムを最大限に理解して使うことで、(ほかのチームとの)違いを見せている。バルセロナも最初からうまくいっていたわけではないので、われわれもこれから向上していかないといけないと思っている。

3バックについて強いこだわりがあるわけではなく、今後も代表チームで使い続けるということでもない。どこかの試合でこれを出せたり、ある状況で(オプションとして)持っていればいいということで試している。ただ、日本サッカー界はサイドアタッカーを輩出しているし、サイド攻撃が得意な選手が多いという印象を持っている。


2日間の練習で3-4-3を試した結果、上手くいかなかった。何度も繰り返すが選手の理解度の問題もある。しかし、攻守のトランジションが上手くいかなかったのはザッケローニに明確なビジョンがなかったからではないか。イタリアで何度も失敗したのは3ラインに拘りすぎた結果だ。

モダンなサッカーではCBとレジスタを組みあわせて、フルバックを高くあげての一見3バックに見えるシステムでパスコースの三角形を多く作る布陣だ。ポゼッションを保つことで攻撃のリズムを作り、パスカットの成功率を高める。しかし、フラットな3ラインではポゼッションもプレスも効率的にならない。ベンゲルがフラット4からシステムを変更したのはモダンサッカーにあわせるためで、ザッケローニはやはり一世代前の指導者と言わざるをえない。

評価をしたのは柔軟度をみせたからだが、日本の報道陣にはなぜフラットな3ラインに拘るのかを聞いて欲しかった。湯浅さんの攻撃的でリスキーという質問はまったく理解できないが(実際、パスは繋がらずサッカーは停滞した)、ドイツでライセンスを取ったときからサッカーが進みすぎていてわからなくなっているのだろうか。

マルカリアン監督「日本人はサッカーに適した遺伝子持つ」
試合後、ペルー代表監督会見
(スポーツナビ)







――ガッカリしている様子だが、最後は勝ち切れなかったという感じか?(大住良之/フリーランス)

ガッカリはしていない。とてもハッピーだ。なぜなら、選手たちがやるべきことをやってくれたからだ。ボール支配率も両チーム同じくらいだったので、特に残念には思わない。また、ゴールチャンスもシュートを放った回数も、われわれの方が多かったと思う。本来なら、この試合には勝てたかもしれないが、日本が非常に良いチームであったこと、状況に応じて状況にふさわしい選択をしたことによって、われわれは勝てなかったのだと思う。

――日本は前半と後半でシステムを替えたが、対戦してみて気になったか?

日本がシステムを替える可能性があるとは思っていた。われわれペルーもベースとするシステムがあるが、日本が使っている4-2-3-1も試みている。(日本は)MF3枚という可能性もあると思った。当初はそういうシステムだったと思う(※編注:日本は3-4-3でMFは4枚)。自分たちは4-3-3で大変な局面もあった。後半は良かったが、前半はサイドが下がってしまった。これは日本に合わせていて、そうなってしまった。

――互角以上のサッカーをしてくれて、日本にとっていいトレーニングになったと思う。ところでペルーはFIFA(国際サッカー連盟)ランキングでは日本(14位)の3倍くらい下にあると思うが、そのことについてどう思うか?(湯浅健二/フリーランス)

アイ・ドント・ノー(会場、笑い)。FIFAランキングはあくまで自分たちの位置を知る1つの目安だと思う。このチームはスタートして10カ月になるが、当初は84位で今は50位台だと思う(※編注:最新ランキングは54位)。われわれの目的としては、可能な限りFIFAランキングのベスト10に近づけたいと思う。


ペルーは最後まで勝ちに来てくれた。そのことには感謝したい。ペルーが本気でプレーしてくれたことで、日本の問題点が明らかになったからだ。中核となる選手が出ていたにも拘わらず、連携がうまく行かなかったことはシステムの問題か、戦術理解の問題か、それとも新たなことを試みたからかわからないが、結果はゴールレスのドローだった。その意味では、現地点で日本はペルーの守備陣に対して崩しきれるだけの手札がなかったのではないか。

ランキングはまったく関係ない(フレンドリーマッチが多く、勝率が高いほどランキングは上がる)が、ペルーが目指しているのは進歩。その意味で、強い意気込みで勝利を目指してくれた。防戦一方になった後半終盤は大きな課題となり、日本は乗りこえていくべきことであろう。






――「後半は良かったけれど、前半はサイドが下がっていた」と言っていた。ザッケローニ監督は、自分たちは後半の方が良かったと言っている。ペルーとしては後半の日本の方が戦いやすいという印象だったか?

なかなか答えるのが難しいが、わたしは過去の日本代表の試合をいくつも(映像で)見てきた。特に、日本がチャンピオンになったアジアカップでの試合は全部見ている。その印象としては、対戦チームと同じ、もしくはそれ以上のレベルだったということだ。中でもフィジカルな部分で、日本は対戦相手を上回っているという印象を受けた。遺伝子的な体つきの部分は、選手の力量を測る意味で非常に重要な要素だ。わたしの印象では、日本人はサッカーに適したフィジカルの遺伝子を持っていると思う。

――対戦してみて、特に印象に残った日本の選手は誰か?

試合前、本田に注目していた。後半に投入されたが、技術的に非常にうまい。ボール保持ができるし、深いパスもできる。ただ今日に限って言えば、われわれの守備陣が非常に頑張ってくれたと思う。

――コパ・アメリカ(南米選手権)がもうすぐあるが、本大会ではどれくらい選手が入れ替わるか。また大会での目標は?(後藤健生/フリーランス)

選手に関しては変更ではなく、もともとあるリストに今回のメンバーをプラスするという形になる。今回、残念ながら来られなかった選手と、今回来日した選手を使おうと思っている。それからあえて申し上げるが、ペルーは1982年以降、ワールドカップ(W杯)に出場していない。われわれの一番の目標はW杯の本大会に出場することであり、コパ・アメリカはその準備のための通過点だ。10月に始まるW杯の予選を勝ち進むことが、われわれの本当の目標だ。


ペルーはしっかり日本を分析して戦ってくれた。ゴールこそ産まれなかったが、日本を慌てさせることに成功した。ザッケローニは前半だけで機能しない3-4-3をあきらめ、4-2-3-1に戻さざるをえなかった。現在の日本のベストで戦わなければならない状態となったことで試合は面白くはなったが、日本は機能せず、凡戦となった。ゴールレスでも面白いゲームはあるが、日本は消化不良だったと言っていい。一方のペルーはラスト10分の攻撃でアイディアをみせたことで手土産が出来たのではないだろうか。

「失われた5試合」を埋める戦い (1/2)
日本代表0-0ペルー代表
(スポーツナビ)





「このキリンカップについては(ワールドカップ=W杯=予選の)準備期間の中にあるわけだが、わたしたちにとっては、この大会そのものが重要だと思っている。このキリンカップは世界中でその名を知らない人がいないくらい有名だし、われわれもこの大会で勝利している。その過去の栄光に恥じないような戦いをしたいと思う」

ペルー代表のウルグアイ人監督、セルヒオ・マルカリアンは日本戦の前日会見で、このように述べている。ナショナルチーム3チームによる大会フォーマットとなって、今年で19回目となるキリンカップ。近年ではW杯やアジアカップといったビッグイベントの「壮行試合」という傾向が強くなり、日本以外のチーム同士の対戦が省略されることもしばしば。昨年はとうとう、大会そのものが行われなかった(もっとも当時の日本代表は、それどころではない状況だったわけだが)。キリンカップの存在意義が薄れてきた昨今、このまま消滅してしまうのではないかと少し不安に思ったものだが、本来あるべき姿で復活したことには内心安堵(あんど)している。

話をペルー代表に戻す。1982年のスペイン大会以来、ずっとW杯から遠ざかっているペルーは、今ではすっかり南米で「中堅以下」のイメージが定着して久しい。それでも彼らは、過去のキリンカップではなかなかの好成績を残している。何と、参加した99年と05年、いずれも優勝しているのだ。もっとも99年はベルギーと、05年はUAE(アラブ首長国連邦)と、それぞれ同率優勝(いずれも日本が1勝もできなかった)。決して圧倒的な強さを見せていたわけではないが、それでも「過去の栄光に恥じないような戦いをしたい」というマルカリアン監督の言葉に偽りはないだろう。今回のペルーの招集メンバーは、ベストとは言い難いものの、それでもシャルケ04で内田篤人のチームメートであるファルファンが前線にいるのは要注意だ(実際、この日のペルーは申し分のない対戦相手として、大いに日本を苦しめてくれた)。

今回のペルー代表に関して、もうひとつ。東日本大震災による原発事故がいまだに収束しないこの時期に、あえて遠い日本まで遠征してくれたことについては、日本人のひとりとして心から彼らに感謝したい。もし逆の立場だったら、果たしてJFA(日本サッカー協会)は代表チームを送り出す決断を下すことができただろうか。そうして考えると、今回のペルーとチェコの決断が、いかに尊く、ありがたいものであったか理解できるはずだ。


キリンカップが無事に開催されたこと、そして、メンバー的にベストでないものの、戦えるメンバーを送り出してくれたことに最大限の感謝をしたい。そして、日本を大いに苦しめてくれたことも。

問題点がないチームは存在しない。だが、勝ち続けることで慢心してしまう。敗戦がいいとは限らないが、敗戦に限りなく近い(日本は機能しなかったという意味で)ドローでも痛みをもって改革できるのではないか。ザッケローニの優柔不断な部分も頑固な部分も少しはマシになってくれればいいのだが。




さて、この日の日本代表のスターティングイレブンは、以下のとおりである(システムは3-4-3)。GKは川島永嗣。DFは右から、栗原勇蔵、今野泰幸、伊野波雅彦。MFは西大伍、長谷部誠、遠藤保仁、安田理大。FWは関口訓充、前田遼一、岡崎慎司。国内組が7人。しかもキャップ数1けたが5人もいる。この顔ぶれから、今の日本が置かれた状況と、ザッケローニ監督の思惑がストレートに伝わってくる。一言で表すなら「9月からのW杯に向けて待ったなし」となるだろうか。

周知のとおり、震災の影響によりJFAはコパ・アメリカ(南米選手権)への出場を断念する(その経緯については長くなるので、ここではあえて触れない)。当初ザッケローニは、コパ・アメリカで担保されるグループリーグ3試合を、W杯予選へのバッファと考えていたはずだ。どういうメンバーを指揮官が構想していたのか、今となっては知る由もないが、代表メンバーの選択肢を増やすことは十分に可能だったはずだ。それが不可能となった今、直近の公式戦であるアジアカップのメンバーをベースとし、これを発展させていくという判断は妥当――というより「それしかなかった」というのが、より実相に近いだろう。

今回のキリンカップにおける、ザッケローニのミッションは実に明確だ。W杯予選を戦うメンバーの確認とバックアッパーの確保、そして戦術やシステムのオプションを増やすことである。そしてこのペルー戦では、あえて「新戦力のテスト」と「3バックのテスト」という2つのテーマを同時に追求しようとしている。ただし「欲張り」なのではない。「余裕がない」のである。震災ショックでつい忘れられがちなことであるが、日本の最後の公式戦は1月29日。すなわちアジアカップ決勝・対オーストラリア戦である。その後、震災直後に予定されていた国内での親善試合2試合が中止となり、コパ・アメリカでの3試合も失われてしまった。W杯予選までに予定されていた8試合のうち、実に5試合が「失われた」ことになる。この損失は、やはり大きい。

ザッケローニの最近の発言を見ても「代表チームで集まる期間は非常に限られているので、できるだけ長く選手と過ごしたい」とか、「この2試合のうちに、いくつかシステムを試したいと思っている」など、準備時間の少なさを憂う内容のものが目立つようになった。そんなわけでこのペルー戦は、90分の間にできるだけ多くのことを試し、そこで得られたデータを可能な限り収集する必要があったのである。


震災の影響があるのは事実だが、天災に怒りをぶつけても仕方がない。被災された方が一刻も早く普通の生活に戻ることを祈って止まないが、サッカーが天災の影響によって進歩しなかったというのは監督の責任だ。試合が5試合なくなったのは事実で、さらに上を目指す日本にとってはテストの場が減ったことになる。だが、W杯予選までに3試合ある。いろんなテストをするには充分だろう。ペルー戦、チェコ戦で試すことは決まっているはずで、ザッケローニの腕の見せどころとなる。そのためにJリーグの試合を視察していたのだろうから。やりたいサッカーにあう選手はチェックしていたはずだ。



前半の45分間は、ザッケローニにとって我慢の時間となった。「2日間しか練習していないのだから、うまくいかないのは想定内」と選手をかばう発言を繰り返していたものの、コーチングボックスで何度も指示を出すしぐさを見ていると、やはり気が気でなかったのだろう。前半のシステムが機能しなかった一番の原因は、右の西と左の安田が攻撃の起点とならなかったことだ。しかもポジショニングが低めになってしまい、最終ラインに吸収される時間帯が多くなってしまった。こうなると、長谷部と遠藤の攻守の負担はおのずと増えてしまう。前半の日本のシュートは長谷部の2本のみ。川島のファインセーブで何とか無失点で終えたものの、このままで良いはずはない。

後半、替えるのは選手か、それともシステムか。ザックの決断は、選手交代を最小限にとどめて、システムをいつもの4-2-3-1に戻すことであった。2列目の中央に入った本田圭佑(西と交代)は自由に動き回り、最終ラインの左に下がった安田も、視界が開けたのか前半よりも積極的な攻め上がりを見せる。守備では、今野がイニシアチブを取ってラインを統率。アジアカップでの経験を経て、この人にはディフェンスリーダーとしての風格が感じられるようになった。いずれにせよ、慣れ親しんだシステムに戻すことで、後半の日本は落ち着きを取り戻すことに成功。以後の「データ収集」は、このシステムを崩すことなく続けられることとなった。

その後、ベンチはさらに5人の選手をピッチに送り出す。個人的に目を引いたのは、後半22分に長友佑都が左MFで起用され(関口と交代)、わずか4分間ながら同タイプの安田と縦に並んだこと。そして30分、伊野波に代わって右サイドバックに投入された森脇良太が、攻守にわたって積極果敢なプレーを見せていたことである(森脇もこれが代表初キャップ)。とはいえ、メンバーを急激に替え過ぎたことに加え、守備面でのケアがいささかおろそかになったことで、試合終盤は相手の猛攻を許すことになる。後半のペルーのコーナーキックは10本(日本は1本)。そのうち6本は終了10分前に集中している。いかに日本が攻め込まれていたかを如実に示す数字だ。幸い、後半も川島がスーパーセーブを連発。辛うじてペルーの追撃をかわし、0-0のまま試合終了となった。


3-4-3が悪いのではない。ただ、両サイドのフルバックが下がることで5バックとなれば守備からのロングカウンターになってしまう。相手ゴールは遠く、セカンドボールは拾えず、そしてチームは守備に疲弊する。問題は選手の並べ方であって、スターティングメンバーではなく、海外組を含めたメンバーで構成していても同じような機能不全に陥ったはずだ。3ラインのシステムは個の力に頼らなければならない。その着地点を日本は目指していなかった。ザッケローニはチェコ戦でも試すつもりらしいが、今度はどう動くのだろうか。

終盤の猛攻を浴びたことで連携や約束事がきちんと守られていたかは課題となった。ポストに守られる運もあり、ゴールは許さなかったが、決定機を何度も作られたのは事実。解説をしていた松木安太郎、セルジオ越後の両氏がともに戦術音痴で、日本のサッカーはモダンサッカーについて語れる人間が出てこられない状況になっている。それは悲劇ではないか。


「少しずつメンバーが替わって共通理解が少なかった。いつもやっているメンバーだったら、もっとやりやすいかなと思ったり」(本田)
「誰が出ても同じパフォーマンスをしないといけない。みんなが同じプレーというか、チームで求められている、監督が求めているサッカーを体現できるようにならないと、やっぱりW杯の上位には行けない」(長友)
「やりたいことが何なのかも、もうちょっと突き詰めていかないといけない。行き当たりばったりでアジアカップは優勝できたけど、自分たちが本当にどういう攻めが理想なのかっていうところを今日は見せられなかった」(岡崎)

試合後のミックスゾーンは、選手たちの反省の弁で溢れていた。とりわけ海外組の選手や、前半の試合内容をベンチから見守っていた選手からは、歯がゆさと危機感が入り混じったコメントが目立つ。海外組が主流を占めるファーストチョイスのグループと、セカンドチョイスのグループとの差が、今さらながらに浮き彫りになった感が否めない。この経験の差を埋める絶好の機会として、ザッケローニは「失われた5試合」を考えていたのだろうが、今となっては栓無きことである。おそらく7日のチェコ戦では、いつもの海外組をメーンとしながら、さまざまなシステムのオプションを試すことになると予想する。W杯予選スタートまでの余裕のなさを考えるなら、チーム内のふたつのグループの乖離(かいり)は、当面の間は目をつぶるしかなさそうだ。

最後に、個人的にうれしく、かつ不安に思ったことについて触れておきたい。この日の試合前、遠藤の代表100キャップを記念した花束贈呈セレモニーが行われた。実はこの日が107試合目。ちょうど100キャップ目がアウエーの韓国戦で、その後アジアカップもあったので、セレモニーはこの日まで持ちこされることになった。過去に100キャップを達成したのは、わずかに3人。井原正巳(122/引退)、川口能活(116)、中澤佑二(110)。いずれもDFやGKであったことを考えれば、いかに偉大な業績であるか容易に想像できるだろう。とはいえ、3年後にブラジルで開催されるW杯に34歳の遠藤がはつらつとプレーしているかと問われれば、誰もが少なからぬ不安を覚えるはずだ。

このペルー戦では、両サイドのポジションでフレッシュな選手が試されたが、最年長で唯一の3けたキャップ数を誇る遠藤は、最後までピッチに残っていた。精力的に国内外の視察を続けているザックも、こと遠藤の後継者問題に関しては、まだまだ迷いがあるようだ。おそらく年内は、現状維持をベースとしながら、ザッケローニ率いる日本代表はアジア予選を戦っていくのではないか――というのが、現時点での私の見立てである。だが、断定するにはまだ「データ収集」が足りない。その意味で、次のチェコ戦に注目したい。


本田圭佑や岡崎はいつものメンバーであれば戦術理解がなくても戦えたと言いたいのか。岡崎の何をやっているかわからずアジアカップを勝てたというのは驚きだ。サッカーについて理解ができていない状態でプレーすることは可能だが、ペルー戦では限界を露呈したと言っていいだろう。彼はドイツでもゴールをあげたがフィットするのに時間がかかった。本田圭佑もクラブでは絶対的なレギュラーではなくなっている。ピッチ上で行われていることを理解できず、ボールだけのプレーになっていては話にならない。ザッケローニも苦労するに違いない。

遠藤に代わるレジスタは早急に解決しなければならない問題だ。長谷部はインクルソーレタイプで、細貝も同じ。司令塔となる遠藤の代わりはいないのだ。もちろんJリーグで経験を積んでいる選手は多いが中村憲剛も藤本も前目でプレーすることを好む。遠藤も肝炎の影響で運動量は落ちたが、それでもエリアをカバーしてゲームをコントロールできる。代役の育成はしっかりやらなければ万が一の事態に対応できなくなるだろう。

2011年6月1日水曜日

日本、ペルー相手に連携が噛み合わずゴールレスドロー!!

International Friendly Match Kirin Cup 2011 Matchday 1 Japan 0-0 Peru @ Tohoku Denryoku Big Swan Stadium

Japan 2/5 draw 3/1 Peru 11/2(William Hill)

両国国旗、フェアプレー旗に続いてFIFA Anthemに乗って両国選手の入場。ペルー国歌「Himno Nacional del Perú」の独唱、石井竜也による日本国歌「君が代」の独唱。

日本はブルーサムライのファーストジャージ。システムは3-4-3。



ベンチメンバーはGK西川、GK東口、槙野、長友、内田、吉田、森脇、家長、細貝、柴崎、本田、李忠成、興梠、宇佐美。

ペルーは赤一色のセカンドジャージ。システムは4-1-2-3。



ベンチメンバーはGKフェルナンデス、ラモス、カルモナ、バジョン、ゲバラ、ジョトゥン、ロバトン、ルイディアス、チロケ。

前半。日本のキックオフ。

16分、日本。左サイドで遠藤がキープ。安田とのパス交換から遠藤がクロス。中央に関口が飛び込むがGKリブマンがキャッチ。

左サイドで遠藤がキープしながら中央を窺い、安田とパスを交換しながらチャンスを見てのクロス。関口があわせるがリブマンが難なくキャッチ。

22分、日本。ゴール正面右遠目からのFK。遠藤が中央に流して長谷部がミドル。ゴール右に外れる。

遠藤がボールを横にスライドさせてフリーの長谷部のミドル。枠をとらえられず。

26分、ペルー。左サイドのクエバからの戻しを受けたバルビンのミドル。GK川島がセーブしてCKに。

左サイドでこぼれを拾ったクエバがバルビンに戻してのミドル。川島が弾き出す。

23分、日本。前線でボールを奪った長谷部が右に流れながらシュート。ゴール右に外れる。

前線高い位置でボールを奪った長谷部がドリブルで穴を見つけながら流れてのミドル。枠をとらえられず。

31分、ペルー。左サイドをクエバがファルファンとのワンツーで抜け出し、クロス。リフレクトをクエバが拾ってラバナルに戻してのシュート。ゴール左に外れる。

クエバが左サイドを突破。ファルファンを使って抜け出して深くえぐってのクロス。一旦跳ね返すがリフレクトをクエバが拾ってラバナルに戻してのシュート。枠をとらえられず。

36分、ペルー。ファルファンのカウンター。右サイドを駆け上がり左サイドのクエバへのパス。浮き球のパスのリフレクトを拾ったクエバのミドル。ゴール左に外れる。

ファルファンがカウンターから右サイドを駆け上がり、左サイドのクエバに振って中央に。リフレクトを拾ったクエバのミドルは枠をとらえられず。

38分、ペルー。審判への異議でアカシエテにイエローカード。

ファールの判定への異議を唱えたアカシエテにイエロー。

アディショナルタイムは1分。

前半はこのまま終了。0-0で折り返し。

3ラインの3-4-3はモダンではない。パスコースが限定され、パスカットされる場面が目立った。パスコースがなく遠藤、長谷部も出しどころを探すあまりプレーがスローに。ペルー相手に崩しきれない。

45分、日本。西に代えて本田圭佑を投入。

西はシステムに対応できず。迷いながらプレーしていた。日本は4-2-3-1にシステム変更。

後半。ペルーのキックオフ。

54分、ペルー。岡崎へのファールでラバナルにイエローカード。

岡崎の突破をファールで止めたラバナルにイエロー。

55分、日本。ゴール正面からのFK。本田圭佑が直接狙うがゴール左に外れる。

本田圭佑のシュートは枠をとらえられず。

60分、ペルー。クエバに代えてチロケを投入。

クエバは左サイド高めに張り付いてアタックを仕掛けていた。

61分、ペルー。バルビンに代えてバジョン、ラバナルに代えてジョトゥンを投入。

バルビンは中盤の底で安定した守備。強烈なミドルもあった。ラバナルは左サイドの攻守で活躍。

63分、ペルー。右サイドからのFK。クルサードが放り込んだボール。ニアに飛び込んだファルファンがあわせるがゴール右に外れる。

クルサードがゴール前に放り込んだボール。ファルファンが飛び込んでボレー。枠をとらえられず。

65分、ペルー。こぼれ球をジョトゥンに繋いでのミドル。ゴール右に外れる。

セカンドボールを拾ったペルーがジョトゥンに繋ぎそのままミドル。枠をとらえられず。

66分、ペルー。ファルファンに代えてルイディアスを投入。

ファルファンは中央でゲームメイクに貢献。

67分、日本。前田に代えて李忠成、関口に代えて長友を投入。

前田は前線ポストで機能、関口は左右ポジションを変えながらアタックに貢献。

70分、日本。安田に代えて興梠を投入。

安田の負傷による交代。安田は攻守で活躍。

72分、ペルー。クルサードに代えてロバトンを投入。

クルサードはプレースキッカー。中盤でゲームメイクをになっていた。

73分、日本。ジョトゥンへのファールで本田圭佑にイエローカード。

ジョトゥンへの後ろからのタックルで本田圭佑にイエロー。

74分、日本。伊野波に代えて森脇を投入。

伊野波の負傷による交代。伊野波は右サイドで攻撃参加があった。

83分、日本。左サイドでペルーのパスをカットした長友がドリブル突破。中央の本田圭佑に戻してのミドル。ゴール左に外れる。

左サイドでパスをカットした長友が突破。本田圭佑に戻してのミドルは枠をとらえられず。

84分、日本。長谷部、今野と左サイドに繋ぎ、遠藤からのクロス。李忠成のポストから岡崎のシュート。ジャストミートできず。

長谷部から、今野の上がり、遠藤のクロス。李忠成が落として岡崎が狙うが浮いてしまう。

85分、ペルー。岡崎からボールを奪ったジョトゥンがそのまま持ち込んでミドル。GK川島がセーブ。

岡崎がボールを奪われ、ジョトゥンが持ち込んでミドル。川島がセーブ。

86分、ペルー。ロバトンからの浮き球のパスを受けたルイディアスのシュート。ポスト直撃。

ロバトンの浮き球のパスをエリア内で受けたルイディアスのシュート。ポストに嫌われる。

87分、ペルー。GK川島のクリアを拾ったロバトンのミドル。GK川島のビッグセーブでCKに。

川島のクリアを拾ったロバトンが強烈なミドル。川島がビッグセーブで弾き出す。

88分、ペルー。ジョトゥンのCK。アカシエテがヘッドで流し、ファーでラミレスがヘッドをあわせるがポスト直撃。

ジョトゥンのクロスをアカシエテがヘッドで繋ぎ、ファーのラミレスがヘッドで押し込むがポストに嫌われる。

アディショナルタイムは3分。

90分、日本。長谷部に代えて細貝を投入。

長谷部の負傷による交代。長谷部は攻守に活躍していた。

94分、日本。ゴール正面からのFK。遠藤が直接狙うがゴール左に外れる。

遠藤のシュートは枠をとらえられず。

ゲームはこのままタイムアップ。0-0のドロー。ペルーに押し込まれる場面が目立った。海外組がコンディション不良だったとはいえ、動きの質もパスの精度も今ひとつ。前半のシステムでは選手は何をやっていいのかわからないままプレーしているように見えた。後半に動きは戻ったが、最後までゴールは割れず。凡戦としか言いようがないゲームだった。

テレビ朝日の解説、セルジオ越後と松木安太郎のふたりはモダンサッカーの住人ではない。システムが変わった後半からの動きのよさを理解できず、システムなどどうでもいいから点をとれと言っている時点でただの素人だ。もう使うのは辞めて引退したらどうか。

2011年5月17日火曜日

日本はコパ・アメリカ辞退を決定!! 代替招待国はコスタリカ

Japón no puede jugar la Copa América(Asociación del Fútbol Argentino)

Así se lo hizo saber, antes que a nadie, al Presidente del Comité Organizador de la Copa América Argentina 2011, Dr. José Luis Meiszner. Desde el principio quedó claro el enorme esfuerzo que el Presidente de la Asociación Japonesa de Fútbol, Sr. Junji Ogura, y todos los integrantes de su Comité Ejecutivo, llevaron a cabo para resolver esta situación.

Lamentablemente, a raíz de la tragedia que enlutó a Japón y el mundo, no fue posible llegar a difíciles acuerdos con los clubes de otros continentes.

A continuación, transcribimos la carta recibida a las 18.50 horas del 16 de mayo de 2011:

Sr. Julio Grondona
Presidente
Asociación del Fútbol Argentino
Referencia: la Copa América Argentina 2011
Estimado Sr. Julio Grondona

Lamento mucho comunicarle que la selección japonesa no puede participar en la Copa América 2011 Argentina y al mismo tiempo le pido profundamente disculpas.

Siguiendo lo que hablamos en el Congreso de la CONMEBOL, CONMEBOL envió una carta de solicitud de colaboración respecto al asunto a FIFA.
Seguidamente CONMEBOLy AFA enviaron a los clubes europeos una carta para solicitarles que dieran permiso de participar en la Copa América a sus jugadores japoneses. Luego el Sr. Hiromi Hara, el miembro del Comité Ejecutivo de JFA y director del comité técnico, visitó a cada club europeo pidiendo su colaboración y liberar a sus jugadores japoneses durante la Copa América.

A pesar de todo aunque los clubes europeos comprenden nuestra situación, lamentablemente la mayoría de ellos nos han respondido que no pueden liberar a su jugadores para participar en la Copa América.

Como le explicamos en la reunión realizada en el mes de abril, es difícil de juntar los jugadores desde la Liga Japonesa durante la Copa América ya que el calendario de la Liga sufrió un cambio grave por suspenderse durante 6 semanas después del terremoto, el tsunami y el accidente de la planta nuclear. Con todo esto no podemos formar nuestra selección para participar en el torneo tan significativo como la Copa América y desgraciadamente debemos renunciar a nuestra participación.

Le ruego que comprenda nuestra situación tan espinosa a la que nos estamos enfrentando este año.

Le saluda atentamente
Junji Ogura
Presidente


南米選手権出場辞退を通達 小倉会長「大半から出場させることできないと」(スポーツニッポン)

サッカーの南米選手権を7月に開催するアルゼンチン協会は16日、日本サッカー協会の小倉純二会長(72)から日本代表の招待出場辞退を申し入れる通達文が届いたと発表した。東日本大震災の影響で7月のJリーグの日程が変更となり、チーム編成が困難になったため。

日本協会は4月に一度は辞退を決めていた。その後アルゼンチン側から翻意を促されたが、最終決定した。コスタリカが代替出場の見通し。

小倉会長は通達文で「日本代表が出場できないとお知らせしなければならないことをおわびしたい。日本代表選手が所属する欧州クラブに対して南米選手権への招集に応じるよう頼んできたが、大半から出場させることはできないと返答された」と説明している。(共同)


コパ・アメリカへの出場問題で揺れていた日本代表は、「海外クラブ所属選手15人以上」の基準をクリアすることができず、出場辞退を改めて決めたとの通達をアルゼンチンサッカー協会に送っている。ヨーロッパのクラブで主力級の働きを見せた選手を拘束力のない代表戦に供出することを、クラブ側が拒否。理解を得られることなく、Jリーグ優先の立場からも出場辞退となった。

代替えの招待国はコスタリカになる見通し。

Markarian calls to Kirin Cup in Japan(Copa America Aegentina 2011)

LIMA, May 13rd 2011 (AFP) – The coach of Peruvian team, the Uruguayan Sergio Markarián summoned seven foreign players to dispute Copa Kirin in Japan, and among them are Jefferson Farfán, which returns to the team after being forgiven by acts of misbehavior, said the local federation on this Friday.

In Copa Kirin, which will be happens day June 1st to 7th June, Peru will face Czech Republic and the host country Japan.

The tournament will mark the return of the forward of Shalke 04 in Germany.

The players summoned by Markarián are: Santiago Acasiete (Almería, Spain), Josepmir Ballón (River Plate, Argentina), Giancarlo Carmona (San Lorenzo, Argentina).


キリンカップに出場するペルー代表のセルヒオ・マルカリアン監督は日本遠征に主力クラスを揃えることを明らかにした。ファルファンなどの海外組が合流するという。